VR(virtual reality 仮想現実と訳される)技術が脚光を浴びて早くも3年、すで
に体感されている方はおられるでしょうね。最近まで私のVRについての知識は漠然と
「ゴーグルをつけて、その中に見える3D画像の中で、ゲームをやるやつでしょう?」と
いう程度でした。VR技術=ゲームであり、ゲームに興味がないこともあって、深い関心
を持つことがなかったのです。それでもゲームをはじめとしたエンターテインメント分野
でよく話題に上っていることは知っていました。最近友人からVR技術はゲームの枠を超
え急激に拡大成長しているカテゴリなのだと知らされて、改めてVR技術の最新事情に関
心を持ちました。チャンスがあればVR体験をしてみたいと思っていたところ、お台場の
デックス東京ビーチ(お台場海浜公園駅下車)で、VR映像が上映されていることを知り
出かけました。コストをさほどかけずに最新のハイクオリティなVR体験をしようと思った
場合、最も手っ取り早いのはVR設備を備えているエンターテインメント施設に出向くこと
ですからね。ここではVRの初体験記そしてVR技術の使用例や技術の進化をまとめてみ
ました。
<VR映像初体験記>
VR映像を見るのに大きな施設はいりません。必要なものは顔面に装着するVR用ディスプ
レイ、パソコンそしてVR動画の3つだけです。会場を探したら通路の一部を区切った場所
だったので、これで有料なのかと驚きましたがすぐに納得です。上映は大人気絵本の「え
んとつ町のプぺル」を題材にVRコンテンツで再現した15分間の作品でした。
「制作期間4年半、総勢35人のクリエイターによる分業制で、キャラクターはもちろん、
街並み、風景、小道具に至るまでち密に描き込まれた作品」ということでVRの世界を十
分に楽しむことができました。私は映画「アバター」などの3D映画を見ていますので、
VRの視覚効果は3Dとほぼ同じだと思いました。気付いた違いは、3D映画ではスクリーンを
見るときに3D効果を感じますが、天井と地面を見ると3D効果は消え、すぐ3Dから現実へ戻
ってしまいます。だが、VRの場合は360度3Dの世界に入り込むことができます。見てもら
えるのか分からない背中の方の背景画面など360度の映像がしっかり描かれているので、
制作に人、時間そしてコストが何倍もかかることが分かります。ですから、できた作品は
驚きの没入感で、出演者の脇にいるような臨場感がありました。日本の最先端技術で制作
された物語の中に入り込める次世代のバーチャル体験は楽しいものでした。
<可能性は無限大!VR技術利用例>
ここではよく知られたエンターテイメント分野以外での利用例を記します。
1.医療の現場
①手術のシュミレーション・ナビゲート②医療従事者に対する教育③錯覚による痛み
緩和など患者さんの治療④トラウマやPTSDの克服⑤幻肢通など精神疾患に対するケ
アなどで活用されています。VRは現実の体験と同じように記憶を作り出すことがわか
ってきていますので、無責任な使用は悪影響があるという警鐘も出ています。
2.介護の現場
①トラブルに備えたシュミレーション②認知症や精神疾患の疑似体験③旅行や家庭の
疑似体験など要介護者と介護者の相互理解に貢献しています。
3.スポーツの現場
①観客の立場:いつもなら見ることのできない場所を見られたり、非常に近い場所か
ら見ることができる。②プレイヤーの立場:野球ではどの球団も導入している。スペ
ースを必要としないため、遠征先などにも持っていくことができ、気軽に練習すること
ができる。
4.訓練シュミレーションの現場
①宇宙飛行士の養成からヘリコプターの操縦までの訓練②高層ビルでの高所作業の
訓練③電気・配管工事などの安全トレーニング
5.小売業界でも活躍
①試着のシュミレート②賃貸アパート、販売マンションの部屋案内③メイクの訓練
VRによって、確実に教育レベルが上がれば、事故件数も減るだろうし、技術力も上がるで
しょう。モチベーションにも大きく寄与することもできます。現在データーの重さが課題
ですが、2020年に5G通信が始まって通信速度が向上すれば、このネックが解消されVR技
術が更に盛り上がるのは必須だと思います。現状ではVRの技術革新と普及は進んでいま
すが、まだ課題や障害も多く、黎明期だとみている人は多いようです。
<VR技術の拡大進化について>
最近VR以外にAR / MR / SR/XRなどといった言葉を聞く機会が多くなりましたよね。
(1)VR(virtual reality 仮想現実):仮想の世界を現実のように体験できる技
術だ。でも体験できるのは仮想の世界だけである。
(2)AR(Augmented Reality 拡張現実):現実の世界に仮想の世界を重ねて体験
できる技術。現実世界の映像があり、その上に仮想世界の情報が重なるイメージだ。
スマートフォンのゲームアプリ「ポケモンGO」が活用例です。そのほか、「IKEA
Place」では、ARによって部屋の映像の上に家具の映像を重ねて購入前に配置やイ
メージを確認できる商品デモに使っている。
(3)MR(Mixed Reality 複合現実):コンピューター上の仮想の世界と現実の世
界を更に密接に融合させるもの。恐竜が目の前を歩いている様子を見たり、これか
らできる製品や建造物をリアルに自由な方向から見たりすることができる。
(4)SR(Substitutional Reality 代替現実):仮想世界を現実の世界に置き換
えて認識させてしまう技術だ。ゲームの世界にいるのか、現実世界にいるのか、ヘ
ッドマウントディスプレイを外すまで判断できないようなSF的な世界を体験できる
ようになる新技術だそうだ。
これらの技術を総称して「XR」と呼びます。近年これらはアート作品にも取り入れられて
いるそうですよ。