ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

運命の赤い糸

2012-10-29 08:37:16 | 日記


勇一:健二が結婚を決めたんだってさ。出会って3度目のデートでプロポーズしたらし

   いから、まさに運命の出会いとしか言えないよね。

達三:それはめでたい。もしかしたら赤い糸で結ばれていたのかな。

勇一:そういえば、どうして「運命の赤い糸」って言うんだろ?

達三:いくつかの説を聞いたことがあるよ。ひとつは「古事記」に三輪山伝説という

   物語があり、それが起源だということらしいな。

   昔、美しい姫の元に毎晩通って来る男がいた。その男の素性を知らない姫は両親

   の提案で、ある晩のこと、寝床の周りに赤い土を敷きつめたうえで、男の衣服に

   糸を通した針を刺しておいた。そして翌朝、赤土が付いたその糸をたどっていく

   と、その男が三輪山の神様だということがわかったという話だな。

勇一:ふ~ん、それが定説なのかい?

達三:いや、中国の太平広記の中にある「赤い縄」の話が起源だとする説もあるよ。

   韋固(いこ)という青年が縁談相手の娘と会うために出かけていくと、月明かり

   の下で一人の老人に出会う。その老人は「この縁談はうまくいかない。

   結婚する者同士の足には、人には見えない赤い縄が結ばれている。お前の結婚相手   
   は貧しい野菜売りの婆さんが連れている3歳の娘だ。」と断言した。

   これを聞いて怒った韋固は、ある男にその幼女を殺すよう命じたが、殺害には失

   敗し、額に傷をつけさせてしまう。

   14年後、韋固がやっと結婚することになった娘の額には傷がついていた。かつて

   自分が傷を付けさせた娘だと知った韋固は、全てを正直に打ち明けて、めでたく

   二人は結ばれたという話だ。

   中国の話では、運命によって決められた男女の足には赤い縄が結ばれているとい

   うことだけど、それがいつの間にか「赤い糸」になり、しかも小指同士に結ばれ

   ているという形に変化して伝えられてきたんじゃないかな。

勇一:ほんとかな~?もっと違う説があるかもしれないね。でも、今ではたくさんの人が

   「運命の赤い糸」っていう言い方をするから、その糸は僕にも結ばれているって思

    いたいナ。いったいどんな人と赤い糸が繋がっているのか、早く知りたいものだ。

達三:もしかしたら、すでに君の目の前に現れている人かもしれないぞ。

勇一:ということは、健二の次に結婚するのは僕ってこと?

達三:そんなことは、それこそ「神のみぞ知る」だよ。
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神様の使いになった者たち

2012-10-25 11:08:33 | 日記


ある時、三人の神様が顔を合わせて何やら相談を始めました。

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一の神:あれだけ永い間、争いの絶えなかった人間たちが稲作を覚えて、やっと仲良く

    暮らせるようになったことは本当に喜ばしい。

二の神:だが、不作になると、元のように奪い合いの争いを始めるのではないかと心配

    だ。

三の神:人間たちは「今年も豊作でありますように」と、我々に祈りを捧げに来る。

    その祈りに応えて、我々が直接手を差し伸べたのでは、大切なことを忘れさせ

    てしまうような気がしてならない。彼らが労働の汗の尊さを忘れ、次に食べ物

    を粗末にし、最後には再び争いの世界に戻ることが心配だ。

一の神:そこで皆に集まってもらったのだ。私たちが直接手を下さずに、人間たちの育

    てている作物が豊作になるように手助けする方法はないものかな。

二の神:例えば、私たちの使者を人間の近くに置いて、その使者に私たちの教えを伝え

    てもらうというのはどうだろう。

三の神:それはいい考えだ。だが、その使者を誰に務めてもらうのかが問題だな。

一の神:我々を頼りにしている人間の営みには稲作以外にもいろいろな仕事が生まれて

    いるので、願いの種類が広がっている。だから、我々もそれぞれ異なる使者を

    立てるとしよう。

二の神:それが良い。だが、誰を使者にすれば良いのか心当たりが・・・

三の神:う~ん。少し考える時間が欲しい。

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三人の神様はそれぞれ自分に適した使者を誰にしようかと一所懸命に考えて、ついに

決めたようです。
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一の神:私は「ネズミ」を使者にしようと思う。実はずっと昔の事だが、私が秋のスス

    キヶ原を歩いている時に火事が起き、乾燥していたススキをなめるようにすご

    い勢いで火が迫って来た。

    その時、ねずみが私の足元に出て来て、「この穴は小さいですが中はとても広

    いのです。どうぞ中に入って火を避けてください」といって私を助けてくれた。

    私はその穴の中で火をやり過ごすことができたのだが、穴の中はとても整理整

    頓ができていて塵ひとつなかった。彼らは身の回りを清潔にする習慣が身につ

    いているのだろう。私は健康管理の大切さを人間に伝えたいので、ネズミに私

    の使者を頼みたいと思う。

二の神:私は「シカ」を選ぶことにした。私の住む地域は昔からシカと人間は仲がいい

    のだ。大きな広場ではシカと人間が仲良く並んで食事をしている風景をよく見

    かけるが、私はその光景をとても好ましく思う。

    シカの角は「ロクジョウ」と呼ばれる不老長寿の漢方薬として、人間の役にも

    立っている。私は人間同士だけでなく、命あるものすべてが和して、争いごと

    の少ない美しい国造りに取り組みなさいと伝えたい。人間と仲の良いシカに、

    私の使者になってもらうのが適任だと思うのだ。

三の神:私は「キツネ」に決めた。キツネはいつも人間と距離をおいて生活しているの

    で、一見不向きのように思われるが、人間がキツネを嫌っているわけではない

    ようだ。キツネは人を化かすとよく言われるが、そんな話が出るのはキツネが

    人間にとって意外に親しみのある生き物だということではないだろうか。

    キツネは作物を荒らす悪い奴を追い払ってくれるということもあり、人間はキ

    ツネに対して感謝の心を持ち合せているようなので、使者として向いていると

    思う。私は人間に五穀豊穣を求めるならば、目に見えないものへの気配りと感

    謝の心を忘れてはならないのだということを伝えたい。

    キツネは喜んで協力してくれるだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
こうして三人の神様の使者が決まったそうです。ホントかな???
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<狛ネズミ>

  京都・大豊神社には大国主命(オオクニヌシノミコト)の使いとして「狛犬」なら

  ぬ「狛ネズミ」が座しています。ここは医薬、 学業、勝運、縁結びの神として有

  名です。野原で火に囲まれたところを助けられたという神話があります。

<奈良のシカ>

  奈良にいるシカは春日大社の春日神の使いとして保護されています。ここは「都」

  の鎮守と国家の繁栄を担う神です。春日大社の第一殿の神、武甕槌命(タケミカヅ

  チノミコト)が鹿島神宮(茨城県)から白い鹿に乗って奈良にやってきたという伝

  説があります。

<狛キツネ>

  全国稲荷神社の総大社である京都・伏見稲荷大社。ここは五穀豊穣と商売繁盛の神

  として有名です。稲荷の神と同体と考えられる御饌津(ミケツ)神が誤って三狐神

  と書かれ、そこから狐が登場した。(「ケツ」は狐の意味の古語。

  今でも狐を「ケツネ」と呼ぶ地方があります)・・・一番よく聞く説です。
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白樺賛歌

2012-10-22 08:43:42 | 日記


乗鞍高原を家族で歩いた。高山植物を見ながら遊歩道を進むと、いつの間にか白樺林

の中を歩いていることに気づいた。

一本の白樺にそっと触れてみると、ヒンヤリとして、スベスベの木肌が手にとてもやさ

しい。

耳を澄ましてみた。頭上の枝と葉がそよ風によってからみ合い、サラサラとした乾いた

音が聞こえる。

白樺の根元に腰を降ろし、そのまま仰向けに倒れて空を見上げた。細い枝と小さな無数

の葉の間から、木洩れ日となって降り注ぐ光はどこまでもやさしく、白樺たちの温かい

まなざしに見守られているようだ。

遠くに聞こえるせせらぎの音、時折聞こえる小鳥のさえずり、そして白樺が奏でる乾いた

サラサラとした音を聞いていると高原コンサートの会場に座っているようだ。

一本、一本を良く見ると、根元付近から曲がっている木が多いことに気付く。

この高原では幼木の時に雪の重みを受けている。その重みに耐えて成長できた木が

真っ直ぐ上に伸び、白樺林を形成しているのだ。

 白樺美林はあちこちにあり珍しいものではないが、この高原の白樺は自然林だ。

それだけに一本、一本の白樺がいとおしく思われる一方、美しい容姿の中に秘めた

ど根性も感じさせてくれる。

白樺林は私にひとときのやすらぎを与えてくれた。

子どもたちは目が届かないほど先に行ってしまった。あの子たちも私の年齢になれば

この白樺林の魅力に気付いてくれるようになるのだろうか。
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旅を楽しむ

2012-10-18 08:52:07 | 日記


旅を一段と楽しいものにするのは偶然の出会い。

それは人であったり、風景であったり、小さな生き物であったり・・・

思いがけない出会いこそが旅の醍醐味だ。


単なる名所旧跡の確認作業ではなく、自分独自の旅の思い出を演出するには

欠かせないものがある。

それは研ぎ澄まされた感受性。

この能力こそが偶然の出会いをキャッチする。


多忙な日々の中でガチガチになった神経細胞をゆっくりとほぐせば、

日頃は見逃している事象を感知する能力が表に出てくる。

縛られた精神を思う存分に解き放てば、感受性は自然に高まるものだ。

そして偶然の素晴らしい出会いが実現する。


疲れた時には旅に出よう!

予期せぬ出会いが貴方を待っている。

旅先で空を見上げただけでも、いつもとは違うものが見えてくるかもしれない。

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LED電球の抱える課題

2012-10-15 09:46:13 | 日記


菊男:我が家もLED電球に取り換えようかと考えているけど、LED電球にもまだ課題が

   あると言っていたね。もう少し、詳しく聞かせてくれないかな。

有三:第4世代の灯りとして登場したLED電球だけど、「低消費電力&長寿命だが、

   理想の万能電球ではない」ようだ。大手メーカーも、異口同音に「現段階では

   LED電球と蛍光灯を、特性に応じて使い分けることがベスト」と話しているよ。

菊男:「特性に応じて使い分ける」とはどういうことなの?

有三:白熱電球は除外して、LED電球と電球型蛍光灯の比較で話しを進めるよ。

   まず、購入後のランニングコストの差は大きくないんだ。だから、省エネ性だけ

   を目的に、電球型蛍光灯を高価なLED電球へ置き換えることは、経済的な面から

   は合理的とはいえないね。そして、同じW数タイプでも特性が違うから、適材適

   所の使い分けが必要なんだよ。

菊男:省エネに貢献するというだけでの理由で購入すると経済的な負担が大きいわけ

   ね。 なるほど、特性の違いとは?

有三:発光特性の問題だね。電球型蛍光灯は部屋全体を明るくする用途などに適して

   いるけど、LED電球は、光が直下に集中し電球の横や後ろの発光は非常に弱いん

   だ。だから暗くなる。この特性は近い将来改善される可能性が高いけど、現在の

   改善策として小さいLEDを多く配置して蛍光灯的に使う商品が市場に出ている。

   だけど高価だね。
 
   だから、LED電球の現状ではダウンライトやスポットライトなど、ある部分を照射

   する器具としての使用が最も効果的だよ。

菊男:騒がれているLED電球の良さがまだ話に出てこないよ。

有三:LED電球には4万時間という長寿命性がある。この特性は、高所や狭所など電球

   交換が容易ではない場所には最適だね。また屋外灯など、電球の交換作業回数を

   減らしたい場合にも有効になるね。屋外での使用には、LED電球の特性である

   低紫外線効果により、虫が寄りつかないというメリットもあるんだ。

   さらに低紫外線がもたらすメリットとして、商品などを照らした場合に劣化、

   いわゆる照明焼けをさせにくいことがあるね。洋服や人形などを長期間ショー

   ウィンドーなどで飾る際には最適だね。

   デメリットとしては、色の見え方に大きく影響する演色性は、電球型蛍光灯の方

   が高く、LED電球はメーカーによって低いものがある。料理など色の見せ方にこ

   だわりを持つものへの照射は、蛍光灯が望ましいといえるよ。

菊男:最近は直管型のLEDも出てるけど、どうなの?

有三:直管型蛍光灯に置き換わるLEDランプも発売されているけど、こちらも留意すべ

   き点があるんだよ。既存で設置されている直管型蛍光灯器具の大半が、LEDラン

   プ装着を想定した設計になっていないこと、しかも、前述した発光特性の違い

   から、部屋全体を照らす蛍光灯と同様の明るさを得るためには、器具の増設など

   が必要になる場合があるんだ。現段階では「直管型蛍光灯のLEDへの置き換えは

   慎重な検討が大切」というメーカー関係者は多いんだよ。

菊男:なるほど。家電店で各メーカーのカタログを集めて比較して見たら、省エネ性能、

   長寿命性、きれいなあかりそしてエコであることが強調ポイントだった。

   特に「きれいなあかり」「雰囲気に合わせた光の調光」で各社が競っていたね。

   確かに、居間の灯りとしては値段が高いと言うのが実感だが、蛍光灯にない細や

   かな光の調光は魅力的だと感じたよ。

有三:その調光技術でLED電球の普及を図ろうとしているのが現状だと私も思うよ。

   でも、注意してほしい点があるんだ。深刻な問題だよ。

菊男:LEDが抱える深刻な問題という意味なのかな?

有三:ある意味でそう言えるね。実はLEDは光の三原色で人工的に作っている光りなん

   だ。だからどんな色の調光でも作ることができるんだね。このうち、青色の色調

   が問題になっているんだ。

菊男:光の三原色についてはこのブログで学んだけど、青色が問題というのは理解でき

   ませんね。説明してくれる。

有三:光は色によって波長の長さが違うことは知られているね。青色は最も波長が短い

   色なんだ。この短い波長の物を長く見ると目に障害が出るんだよ。

   だから、パソコンから発する青い色は長く見ない方がいいんだ。部屋の照明とし

   て青色を強調したものはよくないよ。

菊男:もう少し詳しく教えてくれる。

有三:紫外線による傷害の可能性につては広く知られているね。サングラスをかけて街

   を歩いていますからね。波長が紫外線に近接している青色光も人体に傷害を及ぼ

   す可能性があるんだよ。白色LEDの光はこれまでの光源に比べて青色成分が含

   まれる割合が非常に高いため、専門家によって問題が指摘されているんだ。

   さらに、問題の青色光そのものを発光する青色LEDの場合はさらにその危険性が

   網膜への傷害として指摘されているね。「青色光による網膜光傷害」という病名

   までついているんだ。

菊男:居間に使うLED電球については再考する必要がありそうだね。とても勉強になりま

   した。どうもありがとう。

有三:市販の家庭用LED電球に関しては安全性の確認ができているので、問題ないと

   認識しているけど、こういう知識は持っていた方がいいと思うね。
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