ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

擬態かくれんぼ

2012-08-30 08:16:24 | 日記



長老 :お~い!仲よし3人組。静かに歩いて、こっちにおいで。
    珍しい生き物がいるぞ。

ポン吉:どんな生き物なの?これまで見たことがないもの?

長老 :多分な。ほれ、そこにいるんじゃが、わかるかな?
    これは「ナナフシ」という昆虫で小枝に擬態しているんだ。

ミミ :どこ、どこ?擬態って何?あら、ただの小枝じゃない。
    キャ~、動いた!飛んだ!

コン太:ほんとに小枝にそっくりだったね。動かずに止まっていたらわからないよね。

長老 :擬態とは周りのものに身体を似せて、敵の目をあざむく手段なんじゃよ。
    小さな生き物たちは鳥やカエル、肉食の虫などにいつも命をねらわれているか
    らな。こうやって身を守っているんじゃよ。
    生きるためのモノマネと言えばわかりやすいかな?

ミミ :へ~、そうなの。擬態のことをもっと知りたいな。どんな方法があるの?

長老 :まずは、今見た「ナナフシ」とか「シャクトリムシ」のように小枝などに似せ
    て、自分を見つけにくくする方法。葉っぱになりすます生き物もいるぞ。
    次は周りにいる危険な虫などに化ける方法がある。「アブ」はハチによく似て
    いるだろう?
    さらに、嫌な臭いを出す虫に似せたり、敵に襲われそうになったら、鳥の目玉の
    ような模様が入った羽根を広げて見せたり、いかにも毒々しい色をして敵を脅か
    したりする方法もある。どうだ、おもしろいだろう。

ミミ :私たちにもできるかな?

長老 :さあ~、どうかな?わしが見つけるから擬態して隠れてごらん。
    「かくれんぼ」だと思うと楽しいぞ。

コン太:周りに似せて長老に見つからなければいいんだね。自信があるからやろうよ。

ポン吉:これまでのかくれんぼよりおもしろそうだ。何に変身しようかな。

ミミ :「擬態かくれんぼ」ね。私はお家に帰って使えるものを探してくる。

長老 :それでは太陽があの大きな木の上に来る頃、見つけに行くぞ。しっかり擬態し
    て、わしに見つからなかった者にはほうびをあげることにしよう。
    それでは始めよう。

ポン吉:僕は丸いものか太いものに変身すればいいんだよな。
    そうだ。森には樹皮がいっぱい落ちている。それを集めて身体に付ければ太い
    木に変身できる。枝も葉っぱも付ければ、絶対に見つからないぞ。

コン太:僕の身体は黄色いから、この色に似ているものに変身すれば擬態できるぞ。
    森の中に黄色いものはないかな?
    そうだ。黄色く色づいた大きなイチョウの木がある。あの葉を身体に付けて、
    イチョウの木につかまっていれば見つからないぞ。

ミミ :家から赤いスカートを持って来たから、首の周りにじょうずに巻き付ければきれ
    いなお花に変身よ。私の赤い目が花粉に見えるかもね。フッフッフ。

長老 :そろそろ時間じゃ。それではまず、ポン吉を探しに行こう。ポン吉は身体が丸
    くて大きいから小さいものには擬態できないな。森の中で大きいものは木じゃ。
    見たことがない形の木を見つけることにしよう。
    ハッハッハ。ポン吉、見つけたぞ。

ポン吉:こんなにうまく擬態したのに、どうして簡単にバレちゃったの?

長老 :簡単じゃよ。身体は上手に樹皮で隠したのだが、残念ながらシッポが出ている
    ぞ。わしが近づいたら緊張してシッポを持ちあげてしまったな。
    それにこんな丸い木はこれまで見たことがないからな。それですぐに分かった。

ポン吉:しまった。擬態って難しいね。

長老 :次はコン太だ。ポン吉もついておいで。コン太は化けるのがうまいはずだぞ。
    自分の身体の色に近いものに似せる方法が手っ取り早いのう。
    そうだ。あそこに黄色く色づいたイチョウの木がある。
    ハッハッハ、見つけた!コン太、見つけたぞ。

ポン吉:どこにポン太はいるの?僕にはわからないよ。

コン太:絶対に見つからない自信があったんだけど、どうしてわかったの?

長老 :簡単じゃよ。風が吹いただろう?そしたら木全体から葉が落ちてきたが、一ヶ所
    だけ葉が落ちない所があった。コン太は葉が落ちないようにしっかりと身体に
    くっつけたが、それが裏目に出たのじゃ。
    次はミミを探すぞ。二人とも一緒においで。

コン太:そこまでは気が付かなかった。自信があったのにな。さすがは長老だね。

長老 :ミミは可愛いものが好きじゃから、きっと花畑にいるじゃろう。
    あそこは擬態するには良い場所だからのう。
    おやおや、これだけいろいろな花があると見つけにくいな?
    じゃが、もう見つけたぞ。ミミ、見つけたぞ!ハッハッハ。

ポン吉:ねえ、どこにいるの?わからないよ。

ミミ :このお花畑で一番多い赤い花に変身して耳も出ないようにしてたのにどうして?

長老 :簡単じゃよ。ミミの花はこの花畑で一番大きくて目立つんだよ。大きすぎるよ。

ミミ :納得。見事に見つけられてしまって、残念だわ。

長老 :今日は擬態について勉強したな。生き物たちは長い年月をかけて進化して、今の
    身体を作ったんだよ。簡単に真似はできないということじゃ。
    もうひとつ、擬態は形だけではないのじゃ。

ミミ :形だけでも大変なのに、他に真似をするものがあるの?

長老 :それは動き方じゃ。周りの環境に合わせて動いているのじゃ。生き物たちは形と
    動き方の両面で工夫をしながら敵をあざむいて、身を守っているんじゃよ。

コン吉:身を守るために姿を変化させているのか。僕も見習う必要があるな。

ポン太:エッ、何を見習うの?

コン吉:身体は変えられないけど頭の中は変えられる。僕はこれから、もっと勉強する
    ぞ。

長老 :なるほど。なるほど。コン太は賢いの~。どれだけ変身できるか楽しみじゃ。

ポン太・ミミ:ムリムリ。絶対に続かない。
       それより「擬態かくれんぼ」の続きをしようよ。

コン吉:僕も入れて~。勉強は明日からにしよう~っと。

長老 :ハッハッハ、元気が一番じゃ。いい子たちじゃのう。
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蜂・甲虫・鳥の誕生秘話

2012-08-27 08:33:16 | 日記


むかしむかし、地上の神様がきれいな花を咲かせる植物を何種類も作りました。

地上の神:これらの植物を何とか地上全体に広めたいのだが、よい方法はないもの
      か?
       そうだ、天上の神に相談して助けてもらうことにしよう。

天上の神:何か相談があるようじゃが、一体、何事かな?

地上の神:きれいな花を咲かせる草や木を作ったので、地上のあちこちに広く分布さ
      せたいんじゃよ。だが、なかなか良い方法を思いつかなくて困っておる。
      良い知恵を授けてもらえると嬉しいのだが…

天上の神:ほほう。それで、それらの草や木を増やすには何が必要なのかな?

地上の神:まずは咲いた花の花粉を運んで、受粉させることが必要。次に受粉によって
      できたタネを地上の隅々まで運ばなくてはならない。

天上の神:そうか、結構大変じゃな。花粉を運ぶにはどうすればいいんじゃ?

地上の神:一番簡単なのは花粉を身体にくっつけて花から花へ移動する方法だと思う
       が。

天上の神:花から花へと簡単に移動できる生き物がいればいいんじゃな。
      となると、羽根があって、空中を飛べることが第一条件じゃな。

地上の神:そうか、飛んで移動する生き物なら最適だ。

天上の神:他に必要なことは何かな?

地上の神:小さな花の花粉を運ぶには、あまり身体が大きくなくて、こまめに動き回る
       ものがいいのではないだろうか。

天上の神:小さな働き者といえば、適任の神がおるぞ。チョット呼んでみよう。

第一の神:お呼びでしょうか?

天上の神:地上に行って、花たちの花粉を運んで欲しいのじゃが、引き受けてくれるか
       な?

第一の神:はい、お望みとあらば何なりと。

天上の神:では、空を飛ぶための羽根以外にお前が必要と思う物を授けるから、
       よろしく頼むぞ。

第一の神:できれば、素早く方向を変えるための軽い羽根が欲しいです。私は身体がち
       いさいので、一度に運べる花粉の量が少ないと思います。
       だから仲間をたくさん連れて行きたいです。さらに剣があれば外敵から身を
       守ることができます。

天上の神:わかった。望みどおりにするから、しっかり役立っておいで。

地上の神:働き者を遣わして頂き、かたじけない。できれば、もう少し大きめの花粉を
      運んでくれる生き物もいるといいのだが・・・

天上の神:そうか。ではあのものを呼んでみよう。

第二の神:お呼びでしょうか?

天上の神:地上に行き、大きめの花粉を運ぶ仕事をしてもらえんじゃろうか?

第二の神:はい、お望みとあらば何なりと。

天上の神:何か必要な物があるかな?

第二の神:私は動きがいささか鈍いのですが、力持ちです。一度に大量の花粉を運ぶこ
      とができると思いますが、できれば、強い背中と羽根それに丈夫な足が欲
      しいです。

天上の神:分かった。望み通りにしよう。では、行っておいで。

地上の神:これでしっかりと花粉を運んでもらえる。ありがたい。ありがたい。
      タネを運ぶ方法が見つかれば、全て解決するのだが・・・

天上の神:タネは遠くまで運ぶ必要があるんじゃったな。それならあのものを呼ぼう。

第三の神:お呼びでしょうか?

天上の神:地上へ行き、花のタネを遠くまで運ぶ役割を引き受けてほしいのじゃが・・・

第三の神:はい、お望みとあらば何なりと。

天上の神:役目を果たすのに必要な物を授けたいが、何がよいかな?

第三の神:遠くまで飛ぶのに耐えられる丈夫な羽根と強い身体。それにしっかりと枝
      足が欲しいです。枝に止まって休憩しながら長旅を続けます。

天上の神:よくわかった。難しい役割じゃが、よろしく頼んだぞ。
      地上の神よ、これでよいのかな?

地上の神:地上全体に美しい花々が咲き乱れるのも遠い日の事ではないであろう。
      ご助力に心から感謝申し上げる。天上の神の智恵はさすがですな。

天上の神:いや、わしはたいしたことはない。使者となったそれぞれの神が立派なの
      じゃ。

     
天上の神様が地上に送った3人の神はそれぞれ蜂・甲虫・鳥となりました。

ホントかな!
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「Serendipity」 と 「Japanity」

2012-08-23 07:40:12 | 日記



自然科学の中で、セレンディピティは、失敗してもそこから見落としせずに学び取るこ

とができれば成功に結びつくという科学的な大発見を、説明するためのエピソードとし

て語られることが多いですね。

私も大好きな言葉で常にこの言葉を意識して仕事に取り組んでいたことを思い出しま

す。

 最近、ネット上でジャパニティという言葉がセレンディピティの反対語として使われ

ていることを知りました。

この言葉は「誰もがやっていることを追いかけて、必然のところで発見する能力」と書

かれており、海外の学者が日本人の研究者を揶揄(やゆ)した言葉のようです。

でもこのジャパニティは、これはこれで重要で、「ノーベル賞狙いのような研究ばかり

では、科学もビジネスも動かない。むしろ、セレンディピティで語られるような成功の

土台はジャパニティによって築かれている」というような使われ方で紹介されていまし

た。

 私がセレンディピティという言葉に会ったのは某研究所で働くようになってから数年

後のことだったと思います。ある研究中に技術上の発見があり、その発見の経緯を報告

した時、先輩からこれはセレンディピティだ!と褒められ、この言葉が脳裏にインプット

されました。

ご存知の方も多いと思いますが、セレンディピティの逸話として有名なエピソードをいく

つか紹介します。

・フレミングは実験室に放置された青カビからペニシリンを発見した。

・ニュートンはリンゴが木から落ちるのを見て、万有引力の法則を発見した。

・レントゲンは蛍光板の不思議な光に気づいて、X線を発見した。

・白川英樹は実験で触媒の量を間違えて、誘電性高分子を発見した。

・3Mのポストイットメモは、楽譜から落ちるしおりをヒントに発明された。

その他、知られたエピソードは紙面に書ききれません。

次に、ジャパニティの逸話を紹介したいと思いますが、これはノウハウとして表に出な

いものが多いので、最近感動した「はやぶさ」の帰還で紹介したいと思います。

小惑星探査機「はやぶさ」の偉業達成はこのジャパニティの賜物と言えると思います。

帰還までのドキュメントをテレビで見しましたが、部品一つ一つに込められた匠の技術

そしてそれを7年間に渡って運用した組織の団結力、更に行方不明になってから再発見

までの職員の執念を見た時、ジャパニティには「チームワーク」があるなと感じました。

「セレンディピティに恵まれないと大抵のノーベル賞は生まれないかもしれませんが、

新規の生産技術を獲得する王道やビジネスの成功はジャパニティにある」という意見が

ありました。

確かに、セレンディピティに頼っていると、開発資金をいくら用意しても長続きしません

よね。

尚、ジャパニティという言葉はネット上では見られますが、テレビや新聞では見かけてい

ません。今後、皆さんの目にとまる機会が増えるかもしれませんね。

最後にルイ・パスツールの言葉を紹介します。

「幸運は準備のできた人だけに訪れる」
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キレそうでキレない≪パート 3≫

2012-08-20 09:02:04 | 日記



着れそうで着れない「振袖」

幸子:娘の成人式用に振袖を注文したのよ。とても素敵な柄だから、出来上がったらぜ
   ひ見に来てね。

礼子:まぁ、それは楽しみだわ。結構な出費だったんじゃないの?

幸子:えぇ、まあね。「主人がどうしても・・」って言うから、思い切って奮発したの。

礼子:父親って娘に甘いものらしいわね。私も成人式用に振袖をこしらえてもらったわ。
   でも式には洋服で出席したし、友人の中では一番早く結婚してしまったから、
   その振袖を着たのはお見合い写真を撮るときと結納の時だけだったの。

幸子:費用と着用回数を考えると高い買い物よね、着るのはせいぜい成人式と、独身時
   代に友人や親戚の結婚式にお呼ばれするときくらいだもの。
   ところで、振袖って何歳頃まで着ることができるのかしら?

礼子:そういえば、独身女性の第一礼装だってことは知ってても、何歳頃までかなんて
   考えたことはなかったわ。私たちの時代は20歳代で結婚する人が多かったから
   ね。でも、最近では30歳・40歳代のシングル女性は珍しくないでしょ。
   インターネットでそのあたりのことを調べてみましょうか?

幸子:そうね、ちょっと知っておきたいわ。

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礼子:ベストアンサーは「未婚であることが第一条件。派手過ぎなければ、30歳前後ま
   でOK。悩むなら、他の物を着なさい」だって。

幸子:派手過ぎるかどうかなんて個人の感覚だから、基準になんてならないんじゃない
   の。娘がなかなか結婚しなかったら、本当に悩むことになりそうね。

礼子:こまかいことにこだわらない人ばかりなら着れそうだけど、しきたりに厳しい人
   が関係者の中にいれば、着れないってことかな?

幸子:何だか振袖に振り回される話になってきたわね。

礼子:さっき話した私の振袖だけど、早婚だった私はその振袖を妹に譲ったの。
   彼女は職業柄、結構着る機会が多かったみたい。写真を見せてもらったら、
   私よりかなり上手に着こなしていたから、「譲って良かった」と心から思っ
   たわ。
   それにね、妹が結婚した後、母が気をきかせてその振袖を洗い張りに出し
   ておいたの。それでね、妹の娘が成人式を迎えた時、妹は仕立て直しをし
   て、私から言えば姪にあたる娘がそれを着てくれたのよ。
   さらにさらに、私の息子の結婚式にね、姪はその振袖を着て出席してくれた
   の。
   これがまた、とても似合っていてね。洗い張りに出したおかげで新品のよう
   になった振袖ときれいな姪の姿を見て、私は感激しちゃったわ。

幸子:そういう風に使っていくことができるのが着物の良いところなのね。洗い張り
   に出しておいて下さったお母様のお気持ちはよく分かるわ。
   大切にしていらっしゃったのね。

礼子:そうなの。その気持ちを汲んでくれた妹と姪に感謝してるわ。
   そういえば振袖姿のお嬢さんたちを見てると背筋をシャンと伸ばして、いつ
   も以上に美しいし、なんとなく誇らしげに見えるわ。
   もちろん、ドレス姿の皆さんもステキだから、どちらがいいか・・なんて野暮
   なことを言ってるんじゃないのよ。誤解しないでね。

幸子:えぇ、分かってるわ。とにかく今度作る振袖を我が娘が「着れそうで着れない」
   なんてことにならなければ、私は満足よ。

礼子:よい時期によいご縁があるといいわね。
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トマト・ナス・キュウリの会話

2012-08-16 08:33:26 | 日記


 私は今年の春から庭の片隅で家庭菜園を始めました。雑草がはびこった一画を掘り
起こし、培養土や肥料を混ぜて土作りをしたあと、トマト・ナス・キュウリなどの苗を
植えました。
いよいよ今日は待ちに待った収穫の日。ハサミを持って畑に向ったところ、何やら話
し声が聞こえてきたので、そっと近づき耳を傾けてみました。

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トマト :ナスさんとキュウリさん、葉っぱは私と同じ緑色なのに、どうしてナスさん
     の実は紫色で、キュウリさんは緑色なの?赤くならないと子孫が残せない
     と聞いているんだけど・・・

ナス  :トマトさん、私はあなたのきれいな赤色がうらやましいわ。形も丸くて、
     とてもかわいいわね。

キュウリ:私はトマトさんも、ナスさんもうらやましいの。ナスさんは大きな水滴の
     ような形でとても素敵よ。私たちの仲間は味気ない真っ直ぐか、
     変に曲ったりとかの不揃いで、ひとつも自慢できるものがないのよ。

トマト :とんでもない。キュウリさんには枝をつかむツルがあるから、風が強くて
     も倒れない丈夫さがあるじゃないの。
     私にはとてもマネができないところね。

ナス  :ところでさっき、トマトさんは「赤くならないと子孫が残せない」と言っ
     てたけど、どうして赤くならなきゃいけないの?

トマト :私は花の時は黄色で、実に変わるときは葉と同じ緑色なの。ここまではキュ
     ウリさんと一緒ね。でも成長して熟してくると「リコピン」という色素を
     身体に一杯作って、赤色に変化するのよ。
     目立つ赤色に変化して鳥や動物に食べてもらい、種を遠くへ運んでもらう
     ためなの。だから、どうしてナスさんやキュウリさんは赤くならないのか
     な?って、いつも不思議に思ってるのよ。

ナス  :トマトさんが赤くなる理由は分かったわ。私が紫色なのは「ナスニン」とい
     う色素を持っているからなの。私は紫外線に弱くて、ナスニンが無いと病
     気になってしまうのよ。余分な話かもしれないけれど、太陽の光を遮断し
     て光があたらないまま大きくなると白いナスになるの。
     でも、戸外で成長するためには紫外線にあたらない訳にはいかないでしょ。
     だから、紫外線から身を守るためにナスニンを作って紫色になるの。
     そういえば、あなた達と違って花の色も紫ね。

キュウリ:なるほど、なるほど。ねえ!私は最初から最後まで緑色だと思われているよ
     うだけど、熟すと黄色になるのよ。知ってた?

トマト :エッ!じゃ~、どうして緑色で収穫されるの?それに熟すとなぜ黄色なの?
     熟したら私と同じ赤色になるんじゃないの?

キュウリ:緑色で収穫される理由ね~。じつを言うと、私たちはある時期まで黄色く
     熟した状態になってから、果物感覚で食べられていたの。
     だけど、甘いマクワウリなどが出てきたので、野菜として作られるように
     なったのよ。シャキシャキ感が結構好評なの。
     緑色の姿でしか皆さんと会う機会がないので緑色と思われているけど、
     これはしかたないわね。
     私が黄色になるのはトマトさんのように鳥に見つけてもらうためではな
     いのよ。成長を自分でやめるからなの。成長をやめると葉緑素を作らな
     くなって黄色になるのね。枯れてしまう前のお色直しってとこかな?

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これを聞いて、私は納得しました。トマトの赤、ナスの紫そしてキュウリの緑色には
それぞれ、野菜なりの理由があったのですね。
収穫の手が少し鈍りましたが、思い切ってハサミでチョキン、チョキン。
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