ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

変化していく言葉(1)

2014-01-27 08:23:22 | 日記


時々、自分は正しい日本語を使っているのだろうか?と不安になることがあります。

「どっちがホント?」と気になった言葉の確認作業をしてみることにしました。


1.一所懸命? 一生懸命?・・・誤用(?)から生まれた言葉

   「一所懸命」は武士が拝領した土地を命がけで守り、それを生活のよりどころに

   してきたことに由来する言葉。「命がけでやる」ことが強調され、いつしか「一生懸

   命」とも表記されるようになりました。今では放送、新聞、雑誌などは「一生懸命」

   を用いています。もともとの意味から考えると「一生懸命」は誤用とも言えますが、

   必死で頑張るということを表すには「一生懸命」の方が現代人には馴染みやすく、

   発音の語呂も良いですよね。ただ、読み方が「イッショケンメイ」と「イッショウケ

   ンメイ」というように異なるので、どちらも残っていくような気がします。


2.他人事・・・間違った読み方が正しくなった

   「他人事だと思わずに、真剣に相談に乗ってくださいよ。」のように使います。国語

   に関する世論調査では「他人事」を本来の読み方である「ひとごと」と読む人は

   30.4%,「たにんごと」は54.2%でした。単純に考えて、「ひとごと」を漢字にすれ

   ば「人ごと」「人事」になりそうですが、「人事」は「ジンジ」と読めるので意味が違

   ってしまいます。

   一方、パソコンで「たにんごと」を変換すると「他人事」と表示されます。「たにんご

   と」の方が広範囲に使われているわけですから、いずれ「ひとごと」と読まれること

   はなくなる運命なのかもしれません。間違った読み方でも広く支持されて使われて

   いくうちに,「正しく」なるとは。果たして、これでいいのでしょうか?


3.役不足・・・意味が真逆に取り違えられた言葉

   「役不足」の本来の意味は「本人の力量に比べて与えられた役目が軽すぎること」

   です。調査によると本来の意味を選んだ人が40.3%,「本人の力量に対して役目が

   重すぎること」を選んだ人は50.3%でした。「役不足」は、本来とは真逆の意味が

   かなり支持されているのです。「力量に比べて役目が不足している」と「役目に比

   べて力量が不足している」の、どちらの意味にも受け取られることが混乱の原因な

   のでしょう。

   「役目に比べて自分の力量が不足している」場合には「力不足」、「力量不足」という

   言葉を使うのが良いのではないでしょうか。「役不足」は本来の意味で使って欲しい

   ものです。


「国語に関する世論調査」では「役不足」について、平成14年と18年に調査しています

が、誤用の「役目が重すぎる」は62.8%から50.3%に減り、正解の「力量に対し役目

が軽すぎる」が27.6%から40.3%に増えているのです。

これは、調査項目に取り上げられた結果、本来の意味が広く知れ渡ったのが大きな理

由だと記されていました。


参照資料:文化庁月報  「国語に関する世論調査」平成25年1月号(No.532)

  文化庁が国語(日本語)施策の参考とするため、「現代の社会状況に伴う、日本人

  の国語意識の現状」について、平成7年度から毎年実施している世論調査です。
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姫ネコ・アメリの気まぐれツイートー7   < 鏡 >

2014-01-20 08:13:36 | 日記



 ウ~ッ、寒い!私、寒さにはめっぽう弱いのよ。少しでも暖かい場所を探して、うろうろ

と部屋の中を歩きまわる日が続いているの。アラッ?飼い主夫婦はお出かけかしら・・・


妻:まだ迷ってるの?待ち合わせ時刻に遅れるわよ。

夫:もう少し待って。マフラーはこっちのほうがいいかな~。ねえ、どう思う?


 全身が映る大きな鏡の前で、ご主人のマフラー選びが難航中。この鏡、初めて見たと

きはビックリしたわ。自分の姿が映ってるなんて思いもよらないものだから、仲間がもう

一匹この部屋にいるのだと勘違いしたものよ。

私の仕草を真似するのが上手だわ・・なんてね。

だけど、飼い主夫婦を観察しているうちに、「あ~、これは真ん前にあるものを、そのま

ま映してるんだな」って納得したの。


妻:アメリちゃん、これから新年会に出かけるわ。これからどんどん冷え込んでくるみた

   いよ。電気ジュ-タンの片面だけは暖かくしておくから、ここにいてね。


 そう言って、私を暖かいジュータンの上に座らせたの。ア~ァ、行っちゃった。またお留

守番か。暖かいこの場所から動きたくないし、なんだか退屈だな~。

しばらく経って、体の向きを変えた時、鏡が目に入ったの。いつものように鏡には私の姿

が映っていたわ。でも、行儀よく座って手招きをしているのよ。

「アレッ?私は寝そべっているのに、なぜ座って手招きをしてるの?それに、体の色がい

つもとは違うみたい。これは私じゃないわ。」思わず周りを見回したわ。

だけど、何もいない。鏡の裏側に回ってみたけど、やっぱり何もいない。もう一度、鏡を

見ると手招きしている者がいる。不審な奴が部屋に侵入したに違いないわ。

「先手必勝、攻撃は最大の防御だ!」と思い、鏡に向かって突撃したの。何かをフワ~っ

と通り抜けたような感覚がしたあと、私は鏡で見た不審な相手のすぐ横にいたの。

まじまじと顔を見ると、キリッとしてて、いい感じ。ステキ!

彼は何かを確認するかのようにチラッと私を見たあと、急に歩き出したの。後ろ姿も堂々

としていてカッコイ~イ。まるで王子様みたい。私は思わず、あとをついて行ったわ。

かなり長い距離を歩いたような気がしたから、声をかけてみたの。


「ずいぶん長く歩きましたよ。一体、どこまで行くのですか?元のお部屋に戻れます

か?」


ところが、何も答えてくれないの。寡黙なことは美徳かもしれないけれど、返事ぐらいし

てくれてもいいのにね。それに振り向きもしないのよ。

歩きすぎて喉がカラカラになった私が、いささか不機嫌になった時、ポトン、ポトンと音

がしたの。見慣れた水道の蛇口のようなものがあって、落ちてきた水滴を王子様が優雅

にペロリと舐めたの。私も首を伸ばして、次の一滴が落ちてくるのを待ったわ。

ようやく落ちてきた水を舐めたら、すっごく美味しかった!王子様と交互に水を飲んでる

と、とても幸せな気分になったの。ア~、楽しい!このままずっと・・・と思ったとたん、

王子様は再び歩きだしたわ。


「また歩くんですか?どこまで行くのか教えてくださいよ。」


再び沈黙が続く中、まっすぐな道をどんどん歩いたわ。私が「もう歩くのはイヤ!」って

思ったとき、見たことのある大きな鏡が目の前に突然現れたのよ。

王子様が右手を上げたから、私もマネしたわ。すると鏡に映ったネコたちも同じように手

を上げたの。4匹のネコが手を上げたり、下げたりして愉快に遊んでいたその時、


妻:ただいま~。アメリちゃん、寒くなかった?

夫:アレッ、いつものように玄関まで出迎えてくれないのかな・・・


 その声を聞いた途端、王子様は突然、鏡に向かって思いっきりジャンプしたの。

「置いて行かれてなるものか!」と、私も渾身の力をこめて鏡に突進したわ。さっきと

同じようにフワ~っとした感覚のあと、勢い余って転がっちゃった。

周囲を見回すといつもと同じ景色。自分のお部屋に戻って来たようね。

「王子様はどこ?」って見回したけど、どこにもいないのよ。

 
妻:あら、アメリちゃん、雑誌の上に座って何をしてるの?

夫:これはネコ特集の雑誌だぞ。退屈しのぎに写真でも眺めていたのかな~


 「エッ、雑誌?」言われて気付いたんだけど、確かに私は雑誌の上にいたわ。

しかも、そのページには、さっきまで一緒だった私の王子様が手招きしている写真が

あったの。もしかしたら、夢を見ていたのかな~。

もう少し王子様と楽しい時間を過ごしたかったのに、これからっていう時に、なんで

二人が帰ってくるのよ。もっとゆっくり出かけていてくれれば良かったのに・・・


夫:アメリ、ご機嫌ナナメかい?いつもなら

ジャレついてくるのに、今日は変だな。


 当たり前でしょ。王子様との初デートを邪魔されたんだもの。不機嫌になって当然よ。

ネェ、皆さんもそう思わない?
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新年雑感

2014-01-13 07:25:57 | 日記





妻:新年になって、もう10日以上が過ぎちゃったね。

夫:年々、時がどんどん速く過ぎ去っていくように感じるよ。老化現象かな?

妻:アラッ!去年も同じ会話をしたような気がする。ア~ァ、いかにも老夫婦の会話

   だわ。

夫:実際、老夫婦なんだから仕方ないだろ。

妻:話題を変えましょうよ。今年は初日の出を拝むことができなかったけど、年末に行

   った伊勢では素晴らしい太陽を拝めたわね。

夫:そうだ。まだ暗いうちに外宮に到着して、内宮・猿田彦神社・佐瑠女神社・月読宮、

   さらに二見ヶ浦まで、随分と欲張ってお参りしたな。

   なかでも、内宮の宇治橋手前で鳥居の間から差し込む朝日を拝んだ時は感動した

   ね。ありがたさに思わず手を合わせたよ。

妻:日の出には間に合わなかったけど、あとで、あの日が冬至だったって気付いたのよ

   ね。

夫:2007年にお参りした時は外宮で「第二次お木曳」の行事に偶然出会って、ご縁に

   感謝したものだ。

   今回は10月に式年遷宮を終えたばかりだから、人出も多かったね。

妻:鳥居越しの朝日も素晴らしかったけど、私の印象に残っているのはもうひとつの

   体験。新しい御正殿を参拝したあと、「こちらから古殿をまわっていかれるといい

   ですよ。」という衛士さんの案内に導かれて、3月には解体されるという古殿の千木

   や鰹木を塀越しに拝見しながら人の流れに従って進んだのよね。

   そして、旧社殿の裏を過ぎ、新社殿の真裏に着いた時、突然、太陽の光が強く射し

   て来て、思わず「うわ~、あったか~い!」って声に出しちゃったこと。覚えてる?

夫:ウン、少し先へ進んでいた僕は、君の声で引き返したよ。不思議な温かさだったね。

妻:でしょ。私はいつも庭に出て朝日を拝んでいるけど、あの時の光は特別な光だと感じ

   たわ。身体全体がフワ~ッと温かいものに包まれて、心地よさというか、安堵感に

   心が満たされるのを実感して、しばらく動けなかった。いや、動きたくなかった。

   そのあとは感謝の念がフツフツと湧き上がって、「ありがとうございます!」と

   申し上げたの。

夫:かなり長い間、君はあそこに立ち止まっていたけど、そんな体験をしてたのか。

妻:伊勢から帰って、大晦日にカレンダーを新しいものと取り替えた時に、「1月1日の

   初日の出を拝む人はたくさんいますが、12月31日の夕日に手を合わせる人はいません。

   感謝することより、要求する祈りばかりです。」という文章が目にとまったの。

   そこで、今年は「太陽と祈り」について勉強するつもりよ。

夫:ちょっと難しそうだな。え~と、僕はね・・・ナイショ。

妻:なんちゃって、まだ何も考えてないでしょ。

夫:へへへ、バレたか。

妻:「バレる」って、なんだか変な日本語よね。

夫:そうだ!今年の僕のテーマは「変な日本語探求」にしよう。

妻:面白そうね。お互いにもっと読書量を増やして、頭脳の老化防止に努めましょうよ。

夫:そうだね。結局、老化の話に戻ったよ。

妻:あら、嫌だ。でも今年一年、無畏に過ごさないで済みそうじゃないの。学ぶのに年齢

   は関係ないからね。でも夢中になって本を読んでたら、ますます時が経つのを速く

   感じちゃったりして・・・

夫:おいおい、会話が堂々巡りだ。やめて、本でも読むか。
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六人の僧と雪の大王

2014-01-06 08:22:47 | 日記





昔、布教と修行のため、托鉢をしながら全国を行脚している六人の僧がいました。

僧たちは昨夜からの大雪に覆われた山道を登っています。


一の僧:いやはや、お正月そうそう、大雪に見舞われてしまったぞ。このあたりは吹き

     溜まりになっていて特に雪が多いな。ひとつ、掛け声をかけながら、この難

     所を抜けることにしましょう。セ~ノ、ラッセル!ラッセル!ラッセル!

二の僧:ラッセル?初めて聞く掛け声だな?どんな意味?

一の僧:知らないね。自然に口から出てきたんだ。

三の僧:不思議な言葉だが、調子が良くて元気が出るじゃないか。それで行こう。

     ラッセル!ラッセル!

四の僧:同感だ。お経を唱えながら進むより元気が出るぞ。

五の僧:これこれ、言葉を慎みなさい。だが、いい響きで力が湧くぞ。

     ラッセル!ラッセル!

六の僧:あそこに見えてきたのが大杉のようだな。そばに小屋があると聞いているから、

     そこでひと休みしよう。あと、ひと頑張りだ!ラッセル!ラッセル!


吹き溜まりの難所を通り抜けた僧たちは、しばし歩みを緩めました。話題にのぼったの

は、お白州に引き出された村のことです。


一の僧:ニセ物呼ばわりされて、お白州に引き出されるとは予想外の出来事だったが、

     あの村では雪が降る前に、新しい水路を確保する事ができて本当に良かった

     な。

二の僧:春になれば、滝から落ちる雪解け水が新しい水路を通って田畑を潤してくれる

     はずだ。実りも豊かになるだろう。役立つことができて嬉しいよ。

三の僧:お礼に村人から頂いたこの笠は優れものだぞ。大きいから体全体を雪から守っ

     てくれる。ありがたいことだ。

四の僧:本当にこの笠は丈夫で、かぶり心地も良い。村人たちの長年の知恵が詰まって

     いる編み方なのでしょうな。

五の僧:きっと、そうですよ。おっ!小屋が見えてきた。それにしても、あの杉は大き

     いですね。枝に雪がいっぱい溜まっているぞ。

     いつ落ちてくるか分からない状態だ。

六の僧:危険を避けるために、大杉の枝の下は迂回して小屋に行くのがよさそうだ。



六人の僧が小屋の近くまで来た時、大杉のてっぺんでバサバサと大きな音がしたかと

思うと大きな雪の塊が枝に積もった大量の雪と共にドッスンと落ちてきました。

しばらくすると、落ちてきた雪の塊がのっそりと立ち上がりました。頭には烏帽子の

ようなものを付け、丸い大きな体に不釣合いな小さな顔、そして大きな目と口。

六人の僧が目の前にいることなど眼中にない様子で独り言をつぶやき始めました。


雪の大王:イテテテテ!相変わらず地上に降りるのが下手じゃ。我ながら情けない。

      手足がないからどこにもつかまることができず、難儀じゃな。

      新雪がたっぷり降ったあとでなければ地上には来れん。

      新雪は良いクッションになるからな。おや!人間どもだ。ワシの姿は雪の

      塊にしか見えないはずだから、不格好な姿は気づかれなかったじゃろう。

      しかし、不思議そうな顔をしているぞ。もしや・・・

一の僧:あの~、だいじょうぶですか?ずいぶん派手に落ちられたようですが。

雪の大王:やはり私が分かるのか。見たところおぬしたちは坊主のようじゃな。私の姿

      や言葉が分かるということは、もしかして地上界に住む優れた六人の僧と

      はおぬしたちのことか?天上界でもお前たちの活躍は有名じゃぞ。

二の僧:確かに、私たちは六人の修行僧ですが、あなたはどなたですか?

雪の大王:ワシは天上界に住む雪の大王でア~ル。見たとおり地上への降り方がヘタな

      ので、大雪が降った時にしか降りて来れんのじゃ。

三の僧:なぜ地上界へ降りて来るのですか。まさか、イタズラを・・・?

雪の大王:何を言うか!ワシがイタズラなどするわけがない。人間の子供たちが作った

      雪ダルマの修復じゃ。夜のうちに、この体に付いている雪を擦り付けて修復

      して歩いているのじゃ。歩くといっても足がないので滑るようにして動くの

      じゃがな。

四の僧:確かに、冷たいのを我慢して作った雪だるまが一晩で壊れたら、悲しいですよ

     ね。

雪の大王:こうして山の上に降り、傾斜を利用して雪ダルマのある場所へ行くのじゃよ。

      ワシはもっと頻繁に降りて来たいのじゃが、降り方が下手なので雪が積もって

      いないとワシの体が壊れるのじゃ。おぬしたち、なにか良い知恵を授けてくれ

      ないか?

六人の僧は円陣を組んで相談し始めました。ほどなく、全員がかぶっていた笠を脱ぎ

上手に重ね合わせたうえで、雪の大王に語りかけました。


五の僧:これからは、この笠を首にかけて天上界から降りてください。六つの笠が頭上で

     大きく広がって、ゆっくりと降りてくることができます。そうすれば大杉など

     も避ける余裕ができ、お目当ての雪ダルマの近くにうまく着地できると思いま

     すよ。

雪の大王:そうか!おぬしたちに会えて良かった。この笠は頂けるのだな。これからは

      この笠を利用させてもらうよ。子供たちの笑顔がいっぱい見られるぞ。

      ありがとう。


天上界にも地上界の子供たちを喜ばせるために、見えないところで活動するやさしい

住人がいることを知り、六人の僧の心はホッコリとしたのです。


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