ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:おいしさ弾ける茨城のイチゴ!

2024-03-18 06:57:28 | 日記

 

茨城県は全国でも有数のイチゴの産地で、全国7位の生産地です(令和3年出荷量)。鉾田市、
行方市、筑西市などを中心に、県内全域で栽培されており、各地域では市場への出荷から、
直売、摘み取りも積極的に実施しています。茨城県内におけるイチゴの栽培施設は、複数の
パイプハウスを組み合わせた「パイプハウス群」として構成されている場合が大半を占めて
います。パイプハウス群を利用するイチゴ経営は、作業効率は低いものの棟ごとに作型別の
管理が可能であることや、作業やリスクの分散に対応しやすいといったメリットがあるとと
もに、生産性も大規模ハウスに劣らず高い収益性が得られている事例が多数あります。さら
に、イチゴは嗜好性の高い品目であるため、直売経営体も多いことが特長です。過去に茨城
県のブランドイチゴ「いばらキッス」に特化したイチゴの紹介をしていますが、茨城県では
その他にも多くの品種を栽培しています。今回は県内で栽培されているイチゴの品種とその
特徴、そして、イチゴの摘み取りができるスポットなどを紹介します。

<世界のイチゴ生産量ランキングと品種>

日本のイチゴは「世界一おいしい」と評判で、輸出も始まっていますが、まだまだほとんど
が国内消費されているのが現状です。生産量1位は中国で約338万トン。2位はアメリカ、3位
はトルコです。日本は11位です。世界的に有名なイチゴの品種を紹介します。

(1)ラナイ: 食味が日本のイチゴに似ていると言われています。
(2)デルレイ:世界的に知名度が高い品種です。
(3)M-284: 他の品種とは異なる特徴を持っています。
(4)アデレード: 日本のイチゴと似た食味を持つ品種です。
(5)カマリロ: 世界的に有名な品種の一つです。
(6)パサディナ: 食味が良いとされています。

この中にご存知の品種はありましたか。
日本では夏~秋の時期に輸入イチゴが店頭に並ぶ時期がありますが、そのほとんどがアメリカ
産と韓国産です。中でもアメリカ大手企業のDriscoll’s(ドリスコル)社 のカリフォルニア産
イチゴが一番多いと言われています。品種についてはあまりこだわっていないとのこと、それ
は生食よりジャムなどの加工品に使う方が圧倒的に多いからでしょうね。

<国内イチゴ生産量ランキングと品種>

一方、日本のイチゴ生産は各都道府県で熾烈な競争が繰り広げられています。2021年産のイチ
ゴの生産量ランキングでは、1位が栃木県で2万4,400トン(14.8%)主要品種は「とちおとめ」
や「スカイベリー」、「とちあいか」。2位は福岡県で1万6,600トン(10.1%)で「あまおう」。
3位は熊本県で1万2,100トン(7.3%)で、「ゆうべに」や「ひのしずく」、「恋みのり」。4位
は愛知県で1万1,000トン(6.7%)で「とちおとめ」、「章姫」、「紅ほっぺ」、「ゆめのか」。
これらの上位県が全体の7割弱の収穫量を占めており、収穫量が1万トン以上の6県で全体の52%
を占めています。茨城県は7位で、1万トンに届かず9,220tトン(5.6%)。主要品種は「いばら
キッス」、「とちおとめ」、「ひたち姫」、「パインベリー」です。日本のイチゴは、新品種
の開発が盛んで、各県で主要品種が異なっていますね。それだけ多くのオリジナル品種が育成
されているのです。日本のイチゴが世界で一番おいしいと言われるゆえんですね。国内産地の
特色ある品種を食べ比べるのも興味深いですね! 国内のイチゴ品種に関してはくわしい方も多
いでしょうね。

<イチゴの豆知識>

1.日本で食べられるようになったのはいつから?

  江戸時代末期の1830年代と言われています。当時はオランダ船によって持ち込まれたいちご
  が、オランダイチゴと呼ばれていました。その後、明治時代に農業が近代化され、外国品種
  を使った営利栽培が始まりました。

2.いちごは野菜なの?果物なの?

   園芸学では、木の実(木本性)は果物(果樹)、草の実(草本性)は野菜と分類されます。
  草本性であるいちごは野菜とされていますが、実際は果物と同じように食べられているため、
  「果実的野菜」とも呼ばれています。メロン、スイカ、バナナも同じです。

3.いちごの表面のツブツブは果実?

   いちごの表面にあるツブツブは種ではなく、ひとつひとつが果実なのです。一粒のイチゴは
  200個から300個の果実が集まった「集合果」です。私たちが食べている甘い部分は、実際は
  茎の先端の花床が膨らんだ偽果(ぎか)です.

4.いちごの栄養成分は?

  いちごはビタミンCが豊富で、みかんやグレープフルーツの約2倍。葉酸も多く含まれていま
  す。また、アントシアニンというポリフェノールも豊富で、目の働きを高めたり、眼精疲労
  を予防したりする効果が期待できます.

5.いちごの保存方法は?

  「生で食べるとき」:パックから出し、重ならないようにポリエチレン袋などに入れて、冷蔵
            庫で保存。水洗いした場合は、カビが生える可能性があるので水分を取
            ってから保冷。
  「ジャムにするとき」:いったん冷凍するのがおすすめ。生のいちごを使用するよりも、なめ
             らかにできあがる。冷凍するときは、いちごを水洗いしてヘタをとり、
             水分も取り除いてフリーザーバッグに入れて冷凍室へ。

6.毎月22日はショートケーキの日

  カレンダーを見ると22日の1週間前が15日。15(イチ・ゴ)が上にのっている22日が、ショート
  ケーキを連想させることからショートケーキの日とされています.

7.イチゴは「一季なり」と「四季なり」がある。

(1)一季なりイチゴ:春に実が成ります。その後、来季のためにランナーがたくさん伸びて新しい苗
       を作ることに力を注ぎます。一季なりイチゴは、約2ヶ月間(5月~6月の品種が多い)
       収穫できます。寒さに当てないと花が咲きにくい特性があります。全国で栽培されて
       いる商用のイチゴ栽培は、ほとんどがこの一季なりです。
(2)四季なりイチゴ:夏から秋にかけて実が成ります。地域や品種によって異なりますが、一季なり
       よりもランナーの数は少ないです。温度や日照条件にあまり左右されずに花芽分化が
       行われ、次々に開花・結実して収穫できます。真夏でも花芽分化が続く特徴がありま
       す。四季なりイチゴは、長期間にわたって美味しい実を楽しめるため、家庭菜園で育
       てるのにおすすめです。

8.いちばん甘いのは先端部分

  イチゴは部位によって甘さが違います。最も甘いのは先端部分。先端のほうから熟していくため、
  甘さが蓄積されるのだとか。確かに、ヘタに近い部分は少し酸味が強いですね。一口でパクっと食
  べたくなるいちごですが、ぜひ少しずつ口に含んで味の違いを確かめてみてくださいね。

9.あまり知られていませんが、イチゴはバラ科の植物です。

  バラ科の植物の特徴は、花びらとガクが5枚であること。実だけでなく花もぜひ観察してみてくだ
  さいね。ちなみに、イチゴだけでなくリンゴやナシ、ビワなどもバラ科に分類されます。

10.日本一収穫量が多い品種は「とちおとめ」

   関東から東北で栽培される「とちおとめ」は収穫量日本一。鮮やかな赤と甘みが特徴で、子ども
   からお年寄りまで食べやすいいちごです。とちおとめは主に関東で消費されていますが、関西で
   は「あまおう」が主流です。いちごにはたくさんの品種があるので、味や見た目にどんな違いが
   あるのか食べ比べてみたいですね。

11.収穫や輸送でも進む技術革新

   ①手間のかかるいちごの収穫作業の自動化に取り組んだのが農研機構(国立研究開発法人 農業・
    食品産業技術総合研究機構)です。2013年に開発した「イチゴ収穫ロボット」は、高設栽培す
    るいちごを自動的に収穫できる装置です。
   ②選別やパック詰めの作業も労力がかかるうえ、経験を要する作業ですが、農研機構はこれにつ
    いても2014年に、収穫箱に入れたいちごを自動的に取り出し、大きさを判別して、出荷容器に
    向きを揃えて並べられる「イチゴパック詰めロボット」を開発しています。
   ③輸送でも新たな技術が登場しています。硬い果皮を持たないいちごは傷つきやすいため、果実
    同士や果実と包装が触れることで表面が損傷してしまいます。とくに傷みやすいのが完熟した
    いちごです。また近年、大きな粒のいちごも人気となっていますが、通常のパックに収めるこ
    とができません。こうした課題を解決できるのが、宇都宮大学発のスタートアップ企業アイ・
    イート(株)が開発した「フレシェル」です。完熟したものや大粒のものを保護しながら輸送
    できる専用の容器で、収穫からパック詰めを経て消費者の手元に届くまで、いちごの可食部を
    保護するため、傷みを抑えることができます。イチゴ栽培の風景も将来は様変わりしそうです。

<茨城県で生産量の多いイチゴの品種>

1.いばらキッス: 茨城県で8年の歳月をかけて開発し、平成24年(2012年)に品種登録されたいちごで
     す。果肉がしっかりとした「とちおとめ」を母親に、甘くて大きい「レッドパール」と、酸味
     が少なく甘みが強いやわらかな「章姫(あきひめ)」の掛け合わせを父親に交配して誕生しま
     した。一番の特長は糖度と酸味のバランスが良く、濃厚でジューシーな味わいです。生産者に
     よる毎日の細やかな水や肥料、温度の管理により美しい三角形の果実を出荷しています!生産
     者の工夫と努力が詰まったイチゴは絶品です!主な産地は鉾田市、行方市、小美玉市などで、
     旬は12月~4月(ピークは2月~4月)です.
2.とちおとめ: 栃木県農業試験場で、紅ほっぺとオーリンズの交配によって誕生しました。生産量日本一
     の栃木県でも80%以上のシェアを誇る、いちご界のスーパースターで、茨城県でも多く栽培さ
     れており、生産されるイチゴの多くを占めます。糖度が高く、ほど良く酸味があるのが特長で、
     果肉もしっかりしていて美味しいイチゴです。
3.ひたち姫:平成20年(2008年)に品種登録された茨城県のオリジナル品種です。糖度が高く、酸味が少
     ないので、甘く感じられ、歯ざわりが良く、サクサクとした食感が特長。ひと粒でも大満足な
     食べ応えがあるイチゴです。
4.バインベリー: 完熟での収穫にこだわった、JA常陸のブランドイチゴです。品種は「とちおとめ」で、
     鮮度を保つためにつる(バイン)を付けたまま朝採りで収穫した後に、素早く冷却しているの
     で、実がしまっていて果肉はしっかり丈夫です。豊かな甘みと香りが口いっぱいに広がります。
5.やよい姫:平成17年(2005年)に品種登録された群馬県生まれのイチゴ。果実はオレンジ色がかった
     赤色。酸味が控えめで、甘みが強いいちごです。茨城県でも広く栽培されています。

<県内でイチゴ狩りが楽しめるスポット>

1.来場者10万人突破!日本最大級の「空中いちご園」グランベリー大地

  常総市に2022年4月にオープンした日本最大級の「空中いちご園・グランベリー大地」は宙に浮かぶ
  イチゴを立ったまま食べる新感覚のいちご狩りスポットです。約19万本のいちごが皆様をお待ちして
  います。いちごの品種も豊富で、甘さと酸味のバランスが良い「とちおとめ」や「あまおとめ」、高
  い糖度と優れたバランスを持つ「やよいひめ」などがあります。観光農園の営業時間は通常は9:30か
  ら17:00までですが、夜のいちご狩り開園日は20:00まで受付が行われています。予約は不要ですが、
  いちごが無くなり次第終了となります。今シーズンのいちご狩りは12月10日(日曜日)からスタート!
  今年はペット同伴可のレーンのほか、茨城県オリジナル品種「いばらキッス」や「かおり野」など4品
  種が登場し、全9種類のいちごを日替わりで楽しめます。建物正面の芝生エリアには全長約3メートルの
  巨大いちごオブジェが登場!SNS映え間違いなしです!

2.ストロベリーランド筑西・・・道の駅でイチゴ狩り

  道の駅グランテラス筑西のすぐ南側あるいちご農園。こだわりの土で育ったおいしいイチゴを貸切りで
  イチゴ狩りが楽しめます。やよい姫+白イチゴのOKプラン「30分食べ放題」、やよい姫・いばらキッス
  ・ひたち姫・紅ほっぺ・女峰・おいしいCベリー・とちおとめ+白イチゴの食べ比べが出来るDXプラン
  「30分食べ放題」が選べます。施設内には動物ふれあいハウスが!羊・ウサギ・モルモットに餌やり体
  験やこどもネコカフェがありお子様にも大人気です。道の駅筑西に隣接しており、ファミリーに大人気!
  のんびりいちご狩りができます。

3.星野リゾートBEB5土浦「BEBいちごパーク」

  茨城県オリジナル品種「いばらキッス」を楽しみつくす!「開催期間」2024年1月15日(月曜日)~4月
  15日(月曜日)「居酒屋以上旅未満」の体験を提供する「星野リゾートBEB5土浦」は、2024年1月15日
  から4月15日までの期間、茨城県オリジナル品種「いばらキッス」を楽しみ尽くす「BEBいちごパーク」
  をオープンします。茨城県が8年の歳月をかけて開発されたオリジナル品種「いばらキッス」を楽しみ尽
  くすため、パブリックスペース「TAMARIBA(タマリバ)」が「BEBいちごパーク」に変身!今年は「い
  ばらキッス」を使用したスイーツとして、自分で作る「いちごわたあめ」が新登場。スイーツを食べるも
  よし!いちごに囲まれた空間で写真を撮るもよし!オリジナルのいちご自転車に乗るもよし!様々な方法
  で「いばらキッス」を楽しめます。

4.茨城県アンテナショップは1月中旬からいちご尽くし!

  茨城県アンテナショップ「IBARAKIsense(イバラキセンス)」では、1月より、「いばらキッス」のほか
  県産いちごの生果販売を開始!また、店内のカフェコーナー「BARAcafe」では、県産いちごを贅沢に使用
  したスイーツの提供をスタート!定番メニューのほか、毎年大人気のパフェがパワーアップして登場します!

<イチゴ栽培専門の村田農園>

茨城県鉾田市の村田農園はイチゴ専門農家です。村田農園で栽培されているイチゴは、その味や品質の高さから、
いつしか「村田さん家のいちご」と呼ばれ、果実専門店、超一流ホテルやパティシエと多数の取引があります。
農園は東京ドームの野球場の広さに、パイプハウス群47棟で栽培しています。
村田農園のすごいところは、茨城県の10a当たりのイチゴ栽培平均収穫量は3,510kgなのですが、これに対し、村
田農園の収穫量は平均値の2倍強で、イチゴの土耕栽培としては限界収量だとも言われています。こうした土、苗、
水、すべてにこだわり、品質向上に努める村田さんでも、一連の栽培管理は経験と勘によるところが大きく、技
術の伝承が大変難しい部分があるようで、新しい技術への挑戦にも積極的です。2015年には、品質の均一化や省
力化のため、IoT、AI(人工知能)を利用する「ゼロアグリ」というシステムを導入しました。このシステムはま
ず、土に棒状のセンサーを埋め込み、水分量、肥料の濃度、地温を測定します。そしてその情報を「ゼロアグリ」
に送ると、土壌の状態をAIが判断し、適量の水や栄養を畑に供給するシステムです。畝(うね)の間にはわせた
チューブの穴から点滴のように水と肥料が出ます。機械は考えるヒントをくれる、と表現する村田さんは、「示し
てくれる数値を参考にしつつ、日々苗と対話しています。若い世代に技術を継承するためにも、栽培データを蓄積
し、AIによるコントロールに取り組んでいくつもりです」と言います。
村田農園では海外からの研修生も受け入れていて、現在はインドネシアからの実習生が住み込みで働いています。
村田さんは「繁忙期には地元の高校生たちもアルバイトで来てくれるんです。うちで働いたことがきっかけになっ
て食品関係の仕事を目指すようになった子もいるんですよ」と目を細めます。さまざまな人たちがチーム一丸とな
っていちご作りに励んでいます。
農業を次世代の人が始めたくなる、かっこいい仕事にしたい、という思いを持つ村田さんは、経営の多角化にも熱
心です。農園の敷地内には、いちごを使ったドリンクを提供する「畑のラウンジ Hati-Hati」という直売所兼カフェ
を構え、オリジナル商品も開発。赤いちごと白いいちごのコンフィチュール(果実の形が残るジャム)は、贈答用
として人気の一品です。「農業はやり方次第、夢のある仕事です」と村田さんは力強く言います。

是非、おいしさ弾ける茨城のイチゴをご賞味あれ!

 

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茨城味自慢:春の風物詩「大洗沖のこうなご漁(いかなご漁)」

2024-03-04 07:19:23 | 日記

 

現代人に不足しがちなカルシウムや鉄分が豊富で、春にしか食べられない春の味が「こうなご
(小女子)」です。こうなごとは、いかなごの稚仔魚のことです。茨城県のこうなごは1~2月
ごろに仙台湾で生まれ、早春に冷水に乗りやってきます。3月ごろには体長は2cmほどとなり漁
獲対象となります。見た目はしらすによく似た透き通った体をしていて、表層を群れで泳いで
いるところを、しらす同様に船曳網で漁獲します。4月には体長約3cm、8月には約10cmまで成
長しますが、体長7cm以上のものは「メロード」と呼ばれ、あまり食用には出回りません。こ
うなごの時代だけが高値で取引されるのです。茨城県では、平潟、大津、久慈町、久慈浜丸小、
大洗町の5つの漁協で水揚げされます。水揚げされたこうなごは、すぐに塩茹でした「釜揚げ」
や、干した「ちりめん」に加工されますから、生で市場に出ることは稀です。それだけ傷みや
すいのです。こうなごはカルシウムや鉄分などの栄養素が豊富で、甘辛く炊く「くぎ煮」が春
の味覚として親しまれています。しかし、ここ数年は全国的に漁獲量が減少しており、不漁が
続いています。茨城県では、通常3~5月に水揚げがあるのですが、2022年は4月の1カ月に
も満たず、年間12トンにとどまりました。今年も「中漁」予想で、水揚げは増加しない見通し
です。いかなご漁(西日本での呼称)と言えば瀬戸内海の春の風物詩として、全国的に有名で
すが、2023年の解禁日には、明石市の林崎漁港では水揚げがゼロになるなど、厳しい状況だと
の報道がありました。今ではどこの漁業者も資源の保護のために、漁獲量の制限や投網開始時
間の設定などを行っているそうです。漁獲量の減少はまことに残念ですが、こうなごの釜揚げ
やちりめんは絶品ですよね。今回は、貴重品になりつつある茨城県の「こうなご」を紹介します。

<いかなごとはどんな魚>

いかなごは、スズキ目・ワニギス亜目・イカナゴ科に属する魚類の総称で、日本各地の沿岸に
生息しています。体長は約20cmまで成長し、紡錘形で細長く、下顎が突き出ています。腹鰭が
なく、色は赤銅色です。いかなごはプランクトンを食べる魚で、冬から春にかけて砂底に産卵
します。イカナゴは沿岸の砂泥底に生息し、暑さに弱く、6月頃から晩秋過ぎまで砂に潜って
夏眠する珍しい魚です。いかなごは移動性が小さく、各地に固有の系統群が存在しています。
いかなごは食用として古くから親しまれており、様々な料理法があります。特に春の稚魚(こ
うなご)は、釘煮やちりめん干し、釜揚げなどに加工されて人気があります。成魚は刺身や塩
ゆで、煮つけなどにして食べられます。また、香川県ではいかなご醤油という魚醤も作られて
います。いかなごは栄養価が高く、たんぱく質やカルシウム、ビタミンB12などを豊富に含ん
でいます。ただし、食べ過ぎるとコレステロールや尿酸が上昇する可能性があるので注意が必
要です。

<いかなごの生息分布>

「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は北海道全沿岸、陸奥湾、宮
城県~鹿島灘の太平洋沿岸、東京湾(稀)、伊勢湾周辺、瀬戸内海、山形県~九州北岸の日本
海沿岸となっており、海外においては朝鮮半島全沿岸、渤海、黄海、東シナ海に分布していま
す。いかなごは日本の春の風物詩の一つであり、美味しく楽しむためにも資源保護に配慮する
ことが大切です。乱獲や海砂の採取によって生息環境が悪化しており、漁獲量も減少していま
す。いかなごの漁期や漁獲量は各地で調査されており、禁漁期間や漁業規制が設けられていま
す。いかなごは、他の魚のエサにもなる重要な魚種ですが、日本では科学的根拠に基づいた資
源管理が十分に行われていません。一方、ノルウェーでは厳格な漁獲枠を設定して、水産資源
を持続的に保護しているようです。

<いかなごの漁獲量ランキング> (2020年度)

1位は断トツで北海道   8,639 t(75.5% )稚内市、利尻富士町、紋別市、2位は香川1,153 t
(10.1%)高松市、多度津町、丸亀市、3位は兵庫1,025 t(9.0%)姫路市、淡路市、たつの市、
この3か所でほとんど漁獲されています。茨城県は9位です。2位以下の順位は漁獲量の減少で
年度毎で大きく入れ替わりますので参考程度にしてください。

<いかなごの豆知識>

1.多くの名前を持ついかなご

稚魚のときは、東日本では「コウナゴ(小女子)」や「コオナゴ」、瀬戸内沿岸部では稚魚で
もイカナゴ、大阪では特に2cm前後の小さなものは「シンコ(新子)」、九州では「カナギ」
と呼ばれます。成熟した個体は、北海道では「オオナゴ」、東北では「メロウド(女郎人)」、
西日本では「フルセ(古背)」や「カマスゴ(梭子魚子)」などと呼ばれます。フルセ/カマ
スゴサイズのものは釜茹でされた状態で店頭に並ぶことがあります。

2.生態と産卵場所: イカナゴは砂泥質の海底で生息し、海底のプランクトンを捕食しています。

産卵期は春から夏で、北の寒冷地ほど遅くなります。また、鹿ノ瀬という明石市沖合の場所は
イカナゴの産卵場として有名です。イカナゴは、瀬戸内海を豊かにしている重要な魚であり、
明石の美味しい魚の一つとして知られています。

3.「こうなご漁」と「いかなご漁」は、どちらが正しいのか?

こうなご漁といかなご漁は同じ魚を獲る漁業なのですが、呼び方が地域によって異なるのです。
一般的に、東日本ではこうなご漁と言い、西日本ではいかなご漁と言います。これは、いかな
ごの稚魚のことを東日本ではこうなごと呼び、西日本ではしんこと呼ぶことに由来します。
また、成長したいかなごのことも地方によって様々な名前で呼ばれています。したがって、名
前の違いは地域の習慣や文化によるものなのです。

4.茨城県のこうなご漁

県民に親しまれているこうなごは、船曳網漁業で漁獲されますが、水揚げが多いのは、平潟、
大津、久慈町、久慈浜丸小、大洗町の5漁協になります。こうなご漁はしらす漁と同様1隻の
船で網を曳く1艘曳きです。1艘曳きの方がこうなごの魚体をいためず、鮮度が良いまま水揚
げすることができます。また、漁業者は資源を守るため、時節毎の投網開始時間等を設定する
とともに漁獲量を制限して操業しています。

5.イワシやカタクチイワシ、ニシンとの比較でわかる独自の特徴

イワシやカタクチイワシ、ニシンは、イカナゴやキビナゴ、コウナゴと比較することで、それ
ぞれの独自の特徴がより明確になります。イワシは、身が柔らかくて栄養豊富であり、主に佃
煮や煮付けにされますが、イカナゴはより細長く、刺身や佃煮に適しています。カタクチイワ
シは、小型で骨が柔らかく、しらすやちりめんに加工されることが多いです。また、ニシンは
身が大きくて脂が乗っており、干物や寿司に使われることが多いです。

6.いかなごの名前の由来

語源としては、ある人がなんの子供(稚魚)なのですかと尋ねたことに、なんの子供(稚魚)
であるか分からないので、“いかなこ(如何なる(魚の)子であるか)”と答えたことに由来す
るとする説が有力です。いかなごは漢字で「玉筋魚」と書きます。これは群れて泳いでいる様
子が「玉」に見え、姿が「筋」のように見え、群れをなす細い魚を表しているそうで、中国で
も同じ表記であるとのこと。

7.くぎ煮の由来

関西ではこのイカナゴを使った釘煮が有名です。昭和10年頃神戸市垂水区の魚屋さんに「イカ
ナゴを佃煮にしてくれないか」との依頼があり、イカナゴに醤油・砂糖(ザラメ)・生姜を使
い、苦労して炊きあげたそうです。その後評判になり魚屋さんの店頭にも置くようになったと
か。「釘煮」の名称は、昭和30年代半ば頃に神戸市垂水漁協の組合長さんが、出来上がりを
みて「さびて折れ曲がった釘」のようだと言われたことが「くぎ煮」の由来であったとのこと。
今では各家庭で我が家流「釘煮」を炊くようになり、関西に春をつげる風物詩のひとつです。

くぎ煮の基本的な作り方>

(材料)■イカナゴ 1キログラム■濃い口醤油 180CC■砂糖 300グラム■みりん20CC
    ■生姜 100グラム■酒 5CC

(調理)■いかなごを水洗いする■ザルに上げて水を切る■鍋に濃い口醤油、みりん、砂糖、酒、
    生姜を鍋に加えて強火で煮立たせる■煮立たせてから、いかなごを鍋に加えて中火
    ■加えた後は、基本的に混ぜないのがポイント(揺する位)■アクをすくった後は、落
    し蓋をする■汁気が無くなって来たら弱火にしてザルに上げ、煮汁を別の容器に入れる
    ■適度な煮汁を戻して冷やす

    完全に煮詰まらせてしまうと塩辛いので、慣れない内は、味見しながら煮詰めて行くと
    失敗しにくいです。

8.いかなごの釘煮の保存方法と賞味期限について

市販品のいかなごの釘煮の場合は、常温保存で1ヶ月〜3ヶ月と言う場合も多いのですが、基本的
に、ジップロック等の気密性の高い容器に入れ、冷蔵保存するのが正解です。調理された後、常
に酸化して行きますので、冷蔵保存で1週間〜2週間以内には食べきるようにしたいです。ジップ
ロック等で空気に当たらず小分けで冷蔵保存している場合は、3ヶ月〜6ヶ月位は持つと言われて
いますが、温度変化が激しい冷蔵庫のドア付近では無く、奥の方に入れた方が良いですね。
冷凍保存に関しては、最長で1年程度と言われていますが、可能な限り温度変化が少ない奥の方に
入れた方が良いですね。調理時に砂糖が沢山使われていますので、ガチガチに凍ると言う事は起
こりにくく、自然解凍で十分です。

9.こうなごの栄養価・効能

こうなごに含まれる栄養素には、・カルシウム・リン・亜鉛・ビタミンD・ビタミンB12・ビタ
ミンB2などがある。こうなごは、カルシウムやリン、亜鉛などのミネラルのほか、ビタミン類
が豊富に含まれている小魚です。カルシウムやリンは歯や骨の生成に必要不可欠な栄養素で、
こうなごに含まれるビタミンDはリンの吸収を促す作用があります。亜鉛は基礎代謝や免疫力
を高める作用があるほか、美肌や美髪効果も期待できます。また、ビタミンB12は葉酸ととも
に血中のヘモグロビンの生成を促す作用があり、貧血予防にも効果的な栄養素です。ビタミン
B2は皮膚や粘膜などを健やかに保つほか、体内で糖質や脂質・タンパク質をエネルギーに変換
する働きもあります。

10.こうなごは鮮魚としてではなく、ちりめん、釜揚げ、佃煮などの加工品として、スーパ
   ーマーケットで並んでいいます。小さいものほど値段が高く、大きくなると安くなりま
   す。大型になると途端にマイナーな存在となり、ときに飼料などになることもあります。

<茨城県のこうなご漁>

一艘式のいかなご敷き網漁業(火光を利用する敷き網)で漁獲します。夜間に集魚灯でイカナ
ゴ稚魚を集め、敷き網ですくい取る漁法です。通常、敷き網は船縁にあるローラー軸に巻き付
けられ、操業の際はイカナゴの群れの集まり方によって、網の長さを調整して垂下します。漁
期は短いものの、漁業のみならず加工業などの地域産業を支える非常に重要な漁業となってい
ます。しかしながら、同漁業では、魚群の形成状況によって一晩で少ないときには数kg、多い
ときでは数百kg以上の漁獲があり、漁期が短く出漁日数が限られる中では、漁獲量が多い日の
出漁回数が年間漁獲量を大きく左右し、さらに単価が、漁獲量のほかに魚体サイズによって変
化することから、漁獲金額の変動が激しく不安定な漁業といえます。このため、一回の操業で
より効率よく漁獲するために無線で情報を交換し、複数の操業ポイントを移動しながら漁を行
っています。

(1)こうなご漁は日の沈む前に出港し漁場に向かいます。
(2)漁場に到着したら船を止めて、網やかごの準備をします。
(3)魚群探知機で魚を探し、ライトでこうなごを集めます。船の上からすっごく明るいライ
   トで海を照らすと、光に誘われてこうなごたちが、ひょろひょろと海面近くまで集まっ
   てきます。大漁の時はライトをつけて10秒くらいで集まってきます。
(4)魚が集まったら、網を海に入れます。
(5)魚群の下に網を通して魚をすくうように、網をたぐり寄せ、こうなごを船側に寄せます。
   一連の流れに焼く3分ぐらいかかります
(6)更に、網をたぐり寄せ、魚を1ヵ所に集めます。こうして、光に集まったこうなごを一
   網打尽にします。
(7)集まったこうなごを、かごに移します。この作業を、決められたかご数になるまで繰り
   返します。
(8)水揚げしたこうなごは、海水氷を入れて、鮮度を保ちます。かごがいっぱいになったら
   魚市場へ向かいます
(9)到着した船から、こうなごの入ったかごを陸に上げます。
(10)魚市場に上げたら、セリにかけられ、その後、ほとんどが加工場に向かいます。

<生のこうなごが買えるお店>

やはり、傷みが早いので水揚げされた地域の鮮魚店や直売所などに限られるようです。

  1. 鮒甘露煮 田村屋 本店(古河市)
     新鮮なこうなごを釜揚げやちりめんに加工して提供しています。カルシウムや鉄分が
     豊富で、春にしか食べられない美味しい逸品です.
  1. 井戸道丸漁業(日立市)
     こちらは直営店で、美味しいこうなごを取り扱っています.
  1. 魚富(常陸太田市)
     こちらのお店では、しじみ、あんこう、ヒラメ、わかさぎ、マグロなども販売している。

 

これらのお店で、こうなごを手に入れて、春の美味しさを楽しんでください!
楽天市場でも、生のこうなごを取り扱っているお店がいくつか見つかりました。

今では、春先のほんの一時しか獲れないこうなごは、まさに春の風物詩。

是非、茨城県のこうなごをご賞味あれ!

 

 

コメント
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