ポン太:お~い、コン吉。裏山にキノコ狩りに行こうよ。美味しいキノコがいっぱい
あるそうだよ。背中にしょえるカゴも持って来たぞ。
コン吉:いいね。キノコは大好きだから一緒に行くよ。
ミミ :ちょっと、ちょっと、ずるいわよ。私を置いていかないで。ポン太さんが大
きなカゴを担いでいたから、どこへ行くのかと思って後をつけて来たのよ。
ポン太:ゴメン、ゴメン。ヘビや山ヒルなどがいるからミミを誘わなかったんだよ。
でもそんな危ない所に行かなければ大丈夫だから、一緒においで。
ミミ :ウン、行こう!私もいっぱい採るわよ。
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コン吉:ヤァ、いっぱい採れたな。種類もいっぱいある。全部が食べられるかどうかは
長老が教えてくれるから安心だね。
ポン太:十分採ったから、そろそろ帰ろうか。
ミミ :ネェ、あそこを見て。何か入口のように見えるんだけど。
コン吉:ウン、洞穴の入口みたいだね。入ってみようか。
ポン太:よし、探検するぞ。カゴは邪魔だから、ここに置いて行こう。
ミミ :あら、奥にトンネルのような道が続いているわよ。トンネルの先が少し明る
く見えるから、出口のところまではすぐに行けそうね。
コン吉:よし、あの明るい出口まで行ってみよう。一本道だから迷わずに戻ってこれ
るよ。
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ミミ :ウワ~!きれいなお花畑ね。こんな素敵なところがあるなんて知らなかった
わ。
ポン太:本当だね。すごいお花畑だ。少し歩いてみようよ。
コン吉:よし、帰り道が分かるように僕が匂い付けしてあげるよ。
ポン太のは臭いからな。
ポン太:失礼なこと言うなよ。僕の匂いは香水のようだとお母さんは言ってたぞ。
ミミ :まあ、ケンカしないで。でも匂い付けしてあると安心ね。
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コン吉:こんなお花畑があったんだね。みんなでひっくり返って花と空を一緒に見よ
うよ。
ミミ :良いこと言うじゃない。私は一番で仰向けになろっと。ゴロン!
すっごく、気持ちがいい。右を見ても、左を見てもお花と青空がいっぱいよ。
きゃ~、大きな化け物がこちらをにらんでる。助けて!
コン吉:何だ、何だ、ギョッ、あれは何だ。
ポン太:巨大なカマキリかバッタの顔みたいだぞ。あんな生き物は見たことないぞ。
コン吉:違うぞ、あれは巨大なトンボだ。あの手で捕まえられたら僕たちなんかすぐに
食べられちゃうぞ。早く隠れろ。ミミは僕とポン太のそばにおいで。
飛んでいくまでじっとしているんだよ。
ミミ :あんな大きなトンボ、見たことがない。怖い。早く飛んで行かないかな。
まだいる?
コン吉:まだいる。じっとしていろよ。動いてはダメだ。
ポン太:ねえ、さっきから時々見てるんだけど、動いているように見えないんだよ。
コン吉:本当に動いていないのか?獲物を探す時は目が動くから、目の動きを確認し
てくれ。
ポン太:ウン、やっぱり目も動いていないよ。生きていたら動くよね。
コン吉:よし、僕が偵察してくるから、合図するまで二人はここを動かないでね。
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コン吉:お~い。出てきてもいいぞ。動かないはずだよ。これは巨大なトンボの作り
物だ。
でも、良くできているな。怖かったし、びっくりした。
ミミ :本当に出ても大丈夫?急に動き出すことはないかしら。
ポン太:コン吉が大丈夫と言ったから安心していいよ。出てみよう。
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コン吉:見てごらん。大きな、大きなトンボだ。これじゃ、ダマされるのも無理ないね。
ミミ :本当に大きい。誰が作ったんだろう。村の人じゃないよね。
ポン太:これは人間が作ったんだよ。人間はいろいろな道具を持っているから何でも
作れると長老が言っていた。
ミミ :私たちを食べる巨大なトンボだと思ったわ。今でも心臓がドキドキして、まだ
動悸が収まらないの。
コン吉、ポン太:僕たちも同じだよ。
コン吉:でも作り物で本当に良かったね。これ以上ここにいると本物が出てくるといけ
ないから早く帰ろう。
ポン太:コン吉の匂い付けがあるから帰り道は迷わないね。でもコン吉の匂いも変な匂
いだぞ。僕の方が絶対いい匂いだ。
コン吉:ハッハッハ。帰れると分かったら急にゆとりが出て、憎まれ口が言えるように
なったね。
ミミ :喧嘩しちゃだめよ。また、変な物が現れる前に早く帰りましょう。いっぱい採
ったキノコを持って、長老のところへ寄らなくちゃね。
ポン太:そうだ、キノコのことをすっかり忘れてた。食べられるキノコばかりだとい
いな。