ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

巨大トンボの怪

2012-07-31 08:27:15 | 日記



ポン太:お~い、コン吉。裏山にキノコ狩りに行こうよ。美味しいキノコがいっぱい
     あるそうだよ。背中にしょえるカゴも持って来たぞ。 

コン吉:いいね。キノコは大好きだから一緒に行くよ。

ミミ :ちょっと、ちょっと、ずるいわよ。私を置いていかないで。ポン太さんが大
     きなカゴを担いでいたから、どこへ行くのかと思って後をつけて来たのよ。

ポン太:ゴメン、ゴメン。ヘビや山ヒルなどがいるからミミを誘わなかったんだよ。
     でもそんな危ない所に行かなければ大丈夫だから、一緒においで。

ミミ :ウン、行こう!私もいっぱい採るわよ。

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コン吉:ヤァ、いっぱい採れたな。種類もいっぱいある。全部が食べられるかどうかは
     長老が教えてくれるから安心だね。

ポン太:十分採ったから、そろそろ帰ろうか。

ミミ :ネェ、あそこを見て。何か入口のように見えるんだけど。

コン吉:ウン、洞穴の入口みたいだね。入ってみようか。

ポン太:よし、探検するぞ。カゴは邪魔だから、ここに置いて行こう。

ミミ :あら、奥にトンネルのような道が続いているわよ。トンネルの先が少し明る
     く見えるから、出口のところまではすぐに行けそうね。

コン吉:よし、あの明るい出口まで行ってみよう。一本道だから迷わずに戻ってこれ
     るよ。

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ミミ :ウワ~!きれいなお花畑ね。こんな素敵なところがあるなんて知らなかった
     わ。

ポン太:本当だね。すごいお花畑だ。少し歩いてみようよ。

コン吉:よし、帰り道が分かるように僕が匂い付けしてあげるよ。
     ポン太のは臭いからな。

ポン太:失礼なこと言うなよ。僕の匂いは香水のようだとお母さんは言ってたぞ。

ミミ :まあ、ケンカしないで。でも匂い付けしてあると安心ね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
コン吉:こんなお花畑があったんだね。みんなでひっくり返って花と空を一緒に見よ
     うよ。

ミミ :良いこと言うじゃない。私は一番で仰向けになろっと。ゴロン!
    すっごく、気持ちがいい。右を見ても、左を見てもお花と青空がいっぱいよ。
    きゃ~、大きな化け物がこちらをにらんでる。助けて!

コン吉:何だ、何だ、ギョッ、あれは何だ。

ポン太:巨大なカマキリかバッタの顔みたいだぞ。あんな生き物は見たことないぞ。

コン吉:違うぞ、あれは巨大なトンボだ。あの手で捕まえられたら僕たちなんかすぐに
     食べられちゃうぞ。早く隠れろ。ミミは僕とポン太のそばにおいで。
     飛んでいくまでじっとしているんだよ。

ミミ :あんな大きなトンボ、見たことがない。怖い。早く飛んで行かないかな。
     まだいる?

コン吉:まだいる。じっとしていろよ。動いてはダメだ。

ポン太:ねえ、さっきから時々見てるんだけど、動いているように見えないんだよ。

コン吉:本当に動いていないのか?獲物を探す時は目が動くから、目の動きを確認し
     てくれ。

ポン太:ウン、やっぱり目も動いていないよ。生きていたら動くよね。

コン吉:よし、僕が偵察してくるから、合図するまで二人はここを動かないでね。

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コン吉:お~い。出てきてもいいぞ。動かないはずだよ。これは巨大なトンボの作り
     物だ。
     でも、良くできているな。怖かったし、びっくりした。

ミミ :本当に出ても大丈夫?急に動き出すことはないかしら。

ポン太:コン吉が大丈夫と言ったから安心していいよ。出てみよう。

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コン吉:見てごらん。大きな、大きなトンボだ。これじゃ、ダマされるのも無理ないね。

ミミ :本当に大きい。誰が作ったんだろう。村の人じゃないよね。

ポン太:これは人間が作ったんだよ。人間はいろいろな道具を持っているから何でも
     作れると長老が言っていた。

ミミ :私たちを食べる巨大なトンボだと思ったわ。今でも心臓がドキドキして、まだ
     動悸が収まらないの。

コン吉、ポン太:僕たちも同じだよ。

コン吉:でも作り物で本当に良かったね。これ以上ここにいると本物が出てくるといけ
     ないから早く帰ろう。

ポン太:コン吉の匂い付けがあるから帰り道は迷わないね。でもコン吉の匂いも変な匂
     いだぞ。僕の方が絶対いい匂いだ。

コン吉:ハッハッハ。帰れると分かったら急にゆとりが出て、憎まれ口が言えるように
     なったね。

ミミ :喧嘩しちゃだめよ。また、変な物が現れる前に早く帰りましょう。いっぱい採
     ったキノコを持って、長老のところへ寄らなくちゃね。

ポン太:そうだ、キノコのことをすっかり忘れてた。食べられるキノコばかりだとい
     いな。
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渡り蝶「アサギマダラ」の話

2012-07-26 08:08:33 | 日記


皆さんは「渡り鳥」についてはよく知っていると思いますが、蝶の仲間にも海を渡る

「渡り蝶」がいるのを知っていましたか?

蝶の名前は「アサギマダラ」と言います。日本で唯一の海を渡る「渡り蝶」です。

羽根を広げた大きさは10cmほどで比較的大型の蝶です。アサギマダラの特徴の一つ

に優雅な飛び方があります。樹林の開けた場所で、羽根を広げたままフワ~フワ~と

旋回する姿は何とも言えません。飛び方を見ただけでアサギマダラと分かります。

 長距離の移動が初めて確認されたのは1981年。鹿児島県の種子島から飛びたった

蝶が、遠く離れた福島県と三重県で見つかったのです。

思いがけない知らせに、昆虫研究者の間では「北米のオオカバマダラのように、大規

模な季節移動をしているのではないか」と大騒ぎになりました。

 確認方法は「マーキング」です。捕獲した個体に標識をつけて放し、再捕獲により

移動の実態を確認します。鳥類やウミガメなどでは標識タグを付けますが、アサギマ

ダラの場合は、燐粉の少ない羽根に油性ペンで直接マークを記入できます。

調査の結果、この蝶は日本列島を縦断、さらに南の沖縄や台湾まで延べ2,000キロメ

ートル以上を飛んでいくのが確認されたのです。

翌年春、その逆のコースを日本に渡ってきます。

近年その不思議な旅が明らかになりつつあります。

アサギマダラは春から夏にかけては本州等の標高1,000メートルから2,000メートル

ほどの涼しい高原地帯を繁殖地とし、秋、気温の低下と共に適温の生活地を求めて南

方へ移動を開始し、遠く九州や沖縄、さらに八重山諸島や台湾にまで海を越えて飛ん

でいきます。海を渡って1,000キロ以上の大移動です。

台湾・陽明山まで飛んだのはこれまで5個体が確認されていますが、これは2,100キロ

の飛翔になります。

最近の調査では「2011年10月10日に和歌山県から放たれたアサギマダラが、83日

後の12月31日に約2,500 km離れた香港で捕獲された。途中高知県でも捕獲されて

いて、世界第二位の長距離の移動が確認された」との報告がありました。

逆に冬の間は、暖かい南の島の洞穴で過ごしています。新たに繁殖した世代の蝶が春

から初夏にかけて南から北上し、本州などの高原地帯に戻るという生活のサイクルを

きちんと守っているのです。

季節により長距離移動(渡り)をする日本で唯一の蝶なのです。

アサギマダラは蝶としてはかなりの長寿です。寿命についての報告は資料により幅が

大きく正確には分かりませんが、83日後の捕獲実績からも数カ月は生きるようです。

それでも長距離の渡りをする蝶はいつも新しい世代です。それなのに蝶が南へ、ある

いは北へ、渡りの時期が来たことをどうして知るのか。そして、どうやってはるかな

土地の方角を知るのだろうか?そして、風の強いあの大海原を渡りきる力はどこから

生まれるのか?不思議です。

全国規模で「アサギマダラを調べる会」(ホームページがあります)があり、各地の

小学校にもこの会に参加しているクラブがあります。

アサギマダラは人をあまり怖がりません。こんなところも人気がある理由かもしれま

せんね。

皆さんも調べる会に参加してみてはいかがでしょうか。
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ゆうれいタケの怪

2012-07-23 08:21:05 | 日記


コン太:オ~イ、大変だ!大変だ!ものすごく怖い話を聞いてきちゃったよ。

ポン吉:どうしたの。そんなに息を切らして。あわてないで、ゆっくり話してごらんよ。

ミミ :そうよ。順序立ててゆっくり話してね。

コン太:うん。今日、僕はお母さんに頼まれて裏山にたきぎを集めに行ったんだ。
    途中で下から人間がやってきたので木の陰に隠れていたらね、人間の話し声
    が聞こえてきたんだ。
    この山にはゆうれいタケという不気味で、なんだか怖い花があるんだって。

ポン吉:「ゆうれいタケ」って何だ。お化けキノコなのか?でも、今、花って言ったよ
     な。

ミミ :ねえ、最後まで聞きましょうよ。

コン太:人間の話では、花の形は龍の顔にそっくりで、花なのに全体が真っ白なんだっ
    て。

ミミ :真っ白って、白い花ならいくらでもあるじゃないの。

ポン吉:まだ話は終わってないよ。最後まで聞こう。

コン太:あのね、茎も葉も花もぜ~んぶがろうそくのように真っ白で、しかも透き通った
    感じなんだって。それが真っ直ぐに立って、こっちをにらんでいるらしいよ。
    それも一つや二つではないらしい。あの人間が怖そうに話していたから、ゆう
    れいタケを見たら目が見えなくなるとか、毒を吹き出すのかもしれないと思っ
    たんだ。だから早く皆に知らせようと、大急ぎで走ってきたんだよ。

ミミ :どれくらいの大きさなのかな?龍の顔に見える花というから、大きいんだろう
    な。5メートルくらいはあるのかしら?

コン太:龍の顔をしているんだから、きっと大きいと思うよ。

ミミ :どんな場所に咲いているのか話してた?

コン太:ビックリしてすぐに走りだしたから、途中までしか話を聞けなかったんだ。

ポン吉:なんだ、最後まで聞かなかったのか。でも花なら動き回るわけじゃないから、
    そんなに怖がらなくてもいいと思うけど。

コン太:でも、でも、何かが起きてからじゃ手遅れだろ?村の皆に早く知らせようよ。

ミミ :ちょっと待って。今までお父さんからもお母さんからも、そんな話は聞いた
    ことが無いわ。その話が本当なら、他の人も知っていて注意の知らせがあ
    るはずよ。

ポン吉:確かにそうだ。ねえ、長老に相談しようよ。長老は山のことなら、なんでも
    知っているから。

コン太:分かった。これからみんなで長老の所へいこう。

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ポン吉:長老、こんにちわ!恐ろしい「ゆうれいタケ」のことで相談に来たんだ。

長老 :おっ、仲良し3人組だね。「ゆうれいタケ」だって!誰に聞いたのかな?

コン太:やっぱり。「ゆうれいタケ」のことを知っているんだ。見たら目が潰れちゃう
    の?

長老 :ハッハッハ。しっかりお聞き。ゆうれいタケは「銀竜草」という花の別名じゃ
    よ。花が咲いている場所を知っているから、連れて行ってあげよう。実物を見
    るのが一番じゃ。ついておいで。

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長老 :おお、ここじゃここじゃ、見つけたぞ!
    どうだ、ちょっと変わっているが、よく見るとかわいい花じゃろうが。

ポン吉:エッ、これがゆうれいタケなの?だれだ、5メートルなんて言ったのは。

コン太:なんだ、こんなに小さいの?でも花は龍の顔に似ているし、なんだか真っ白な
    着物を着たゆうれいみたいだね。人間の言っていることは間違いなかったよ。
    でも毒をまき散らすんじゃないの?

長老 :大丈夫。毒は無いし、目も潰れないよ。大きなものでも15センチぐらいじゃな。
    一目見ただけだと花には見えず、キノコのようだし、暗い森の片隅で、おぼ
    ろげに白い色が浮かび上がるその姿は、まさに「ゆうれいタケ」の名前通り
    じゃろ。
    銀色の龍のようだから銀竜草というのもピッタリの名前じゃ。両方の名前を
    ちゃんと覚えておくんじゃよ。

ミミ :でも、どうして他の花と違って全体が真っ白なの?

長老 :銀竜草は腐生植物の仲間でな。土の中の菌から栄養をとって成長して花を咲か
    せるから、普通の花が持っている葉緑素がないんじゃ。それで全体が白いん
    じゃよ。

コン太:勉強になったな。でもこんなに小さくて、可愛い花なのに人間はなぜ怖そうに
    話していたんだろう?

長老 :ホントに怖そうだったのかい?「ゆうれい」とか「龍」とかって聞いて、コン太
    が勝手にイメージを膨らませたんじゃないのかな?

ミミ :そうよ。人間が怖がっていたんじゃなくて、ただコン太が早とちりしただけでし
    ょ。

長老 :危険な花だと思ったのはコン太の早とちりだが、皆を危険から守ろうとしたその
    気持ちは大切じゃな。えらいぞ、コン太。

ポン吉:長老のところに来て良かったね。長老に話す前に皆に知らせてたら、村中がパ
    ニックになっていたかもしれないじゃないか。

コン太:ヘッヘッ!みんなごめんね。僕の早とちりだったんだ。お蔭で村の皆に迷惑をか
    けたり、叱られたりしないですんだよ。あ~、よかった!

ミミ :だけど、こんなに不思議で珍しい花を見ることができたのはコン太のお蔭よね。

ポン吉:そうだね。今日は褒めておくことにしよう。
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キレそうでキレない ≪パート 1≫

2012-07-19 08:25:34 | 日記


切れそうで切れない「人の縁」
 
 突然ですが、糸へんの話から入ります。糸へんは動物の毛をよった形がルーツです。

このため糸へんには「強固な結びつき」とか「別れない、離れない」などの意味があ

ります。この糸へんを持つ「縁」という字の右側の作りはタンと呼んで「垂れ下がる」

「端っこ」などの意味があります。

ですから「縁」は大切にすれば強い糸になり、なにもしなければ切れてしまう糸の端っ

このような出会いのことを言うのかもしれません。

だから、「縁」にあぐらをかいて居眠りをしていると、いつの間にか縁が切れて、縁側

から落ちて痛い目に会うことがあるので注意が必要です。

先日、某結婚式場で20年振りに会社の上司だった方と再会しました。今は80歳を過

ぎていますが、日本や中国の歴史に造詣が深く、「今は古代史の本を出すために忙し

い」と笑っていました。私たち二人は花婿、花嫁それぞれの親族として偶然再会したの

です。このため、20年前のお別れが、この日からは親戚付きあいの始まりになったの

です。

結婚の「結」は「吉」を「糸」でしっかり結び守る文字です。「口」の上に「士」を置く、

「吉」には閉じこめる意味があり、結ぶことも元の意味はそこにある力を閉じこめること

でした。「結」は「むすぶ」の意味から「つなぐ・約束する・固める」として使われるよ

うになったそうです。ここから男女の愛情を固めるという意味を持つようになりました。

もう一つ、人と人を繋ぎとめるという意味で「絆」があります。この字は犬や馬など

を繋ぎとめておく綱のことをいいますが、繋ぎとめる綱の意味から、家族や友人など人

と人とを離れがたくしている結びつきを言うようになりました。

でもこの字は糸が半分ですからお互いが常に手を差し伸べていないと、つなぎとめて

おくことができない。すなわち、「協力して努力を継続しなさいよ」というメッセージ

が込められているような気がします。

「人の縁」って不思議ですね。今回の再会で糸へん絡みの「縁」、「結」そして「絆」

というものに想いを巡らせました。
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追記 : 「縁」という字の奥深さを活用の広がりから考察しました。

  縁は一字でも、「へり」「えにし」「えん」「ふち」「ゆかり」「よすが」など多様

な読み方があるのに、二字になっても縁起(えんぎ)、額縁(がくぶち)、因縁(いん

ねん)、畳縁(たたみべり)など、違う読み方があって、子どもたちにとって覚えるの

が難しい漢字の一つに入ると思います。

  こんなに多彩な読み方や使い方がなされている背景には「縁」が仏教用語であったと

いう背景があるのかもしれません。

「仏は教えを受ける相手の〈機〉を見通し、それぞれの〈縁〉に応じて説法される」と

あり、直接的な〈機〉の環境に対して、〈縁〉は間接的な環境を整えるという対比する

大切な言葉であったようです。

こんな性格が多様な読み方や多彩な活用のされ方に、生きているのかもしれません

ね。
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チョコレートは飲み物だった

2012-07-16 08:24:57 | 日記


由美:こんにちは!新作のチョコレートケーキを買いに来たわよ。

優子:あら、由美ちゃん、いらっしゃい!自信作ができたので連絡したの。

由美:これが新作ね。白と黒のコントラストが素敵。早く買って帰って食べたいわ。
   ところで、チョコレートソムリエになったって本当?

優子:誰から聞いたの?そんな資格は日本にはないわよ。でもヨーロッパには
   「ショコラティエ」と呼ばれるチョコレート職人の資格があるけどね。
   私はまだまだ勉強中です。

由美:なんだ、そうなの。でもヨーロッパには、なぜそんな資格があるの?
   勉強しているなら、ついでにチョレートについても教えて。
   チョコレートは飲み物だったって本当?
   チョコレートとココアは何が違うの?   それから・・・。

優子:ちょっと待って。ひとつずつ答えるから。
   まず、「ショコラティエ」の資格だけど、チョコレートは温度管理や品質保持、
   そして造形が難しいのでレストランやホテルでは専門的に扱う人を置いている
   ところがあるの。だからこの資格があるのね。
   「チョコレートは飲み物だった」と言うのは本当よ。16世紀のアステカ王国、
   現在のメキシコ付近でカカオ豆が栽培され、ショコラトルという飲み物が飲ま
   れていたのよ。これは「苦い水」という意味で、香辛料を入れた苦い飲み物だ
   ったの。滋養強壮剤とか、歯痛などの万能薬として飲まれていたみたいよ。
   ヨーロッパに渡ってから砂糖を入れて、飲みやすく改良されて「チョコレート」
   という言葉が誕生したの。
   次に、チョコレートとココアの違いだけど、原料は同じ「カカオ豆」よ。
   まず、カカオ豆を炒って細かく挽いて、よく練ってペースト状にするの。
   これがカカオペーストでチョコレートとココアの共通原料よ。
   ココアは引き算で、チョコレートは足し算と言えばいいのかな?

由美:エッ、足し算と引き算ってどういうことなの?

優子:まず、ココアの引き算ね。カカオペーストを圧搾し、油脂を3分の2くらい取り
   除いて乾燥し、粉末にしたのが「ココア粉末」よ。油分の引き算ということ。
   次はチョコレートの足し算ね。ココア粉末を作るときに取り除いた油脂をカカ
   オバターと言うんだけど、これをカカオペーストに加え、さらに砂糖や乳製品
   を加えて作られたのがチョコレート。足し算でしょう。
   ちなみにカカオバターは温度が低いと固まり、温かくなると溶けるの。室温で
   保管でき、体温で溶ける性質を持つから、酸化防止剤をはじめとして多様な用
   途があり需要が高いの。
   生まれた順序で言えば、飲み物としてはチョコレートが先にできたけれど、
   食べ物としてのチョコレートはココアのあとにできたということね。

由美:なるほど、それでは最後の質問よ。「ホットチョコレート」と「ココア」の違い
   は?

優子:一般的には粉末ココアから作られるものも「ホットチョコレート」として、販売
   している例が多いと聞いているわ。アメリカでもホットチョコレートというと
   ホットココアが出てくるわ。でもイタリアやイギリスではチョコレートを溶か
   したものとココア粉末を溶かしたものと区別しているらしいの。
   だから、ヨーロッパでは濃厚なココアから、ペースト状のチョコレートのものま
   でさまざまあるのね。

由美:いろいろと話し込んじゃったわね。未来の「ショコラティエ」頑張って!
   チョコレート大好き人間だから、これからも買いに来るわ。
   次の新作ができたら、また教えてね。バイバイ。

優子:アラ!何も買わないで帰ってしまったわ。由美は相変わらずあわて者ね。
   まっ、いいか!気がついたら直ぐに戻って来るでしょう。
   またのご来店をお待ちしておりま~す。
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