上野公園の東京都美術館で、友人が出展している絵画展を見た帰り道、公園内をJR御徒町駅
方面に向かって歩いていると、3人ほどの人が腰をかがめて、植栽されたツツジの根元にスマ
ホを向けています。何か可愛い動物がいるのだろうと、私も野次馬根性丸出しで近づきまし
た。何と!そこにいたのは「野生のタヌキ」でした。人を怖がる風もなく悠然とアスファル
トの道路に出てきました。こうなると取り囲む人が増々集まってきますが、全く恐れず餌を
探しながらあちらこちらと歩いています。私もカメラを向けました。
昼間の上野公園内で野生のタヌキを見ることは思いがけない出来事です。上野動物園は管理
がしっかりしているはずなので、そこから逃げたものではないと思う。私はかなりの昔にハ
クビシンをこの公園で見たことがあることを思い出しました。タヌキがいてもおかしくはな
い環境がここにはまだ残されているということですね。
ライバルのキツネやウサギはもはや都心から撤退しているようですが、タヌキがしたたかに
都会暮らしを続けられる理由はなんだろうか―
「タヌキたちのびっくり東京生活」などの著書がある動物ジャーナリストの宮本拓海さんは
「都心には案外、タヌキが暮らせる緑地が残っているのですよ」と解説しています。タヌキ
は、昆虫やムカデ、ミミズといった地表の小動物や、カキ、ムクノキ、ギンナンといった果
実を食べるが、行動範囲は結構狭く、半径数百メートルほどに収まることが多いそうです。
タヌキの行動範囲がそんなに狭いとは知りませんでしたが、この説によればこのタヌキは上
野公園内で暮らしているタヌキということになりますね。
東京には夜に閉鎖される緑地公園などがそこそこにあるので暮らしていけるのだそうで、さ
らに東京には天敵の野良犬がほとんどいないのが好都合なのだそうです。
タヌキといえば、里山に暮らすイメージが強いですが、東京23区内にも1000匹ほどが生息
しているそうで、大手町のオフィスビルに夜間、自動ドアを開けて入ってくるなどの珍事も
起きていると記されていました。
タヌキ絡みの話をもう一つします。意外に知られてないかもしれませんが、上野東照宮の境
内には栄誉権現社という神社があります。そこにはなんと!狸の神様が祀られているのです!
なぜ狸が神様なのかというと、「他を抜く」狸という縁起から強運開祖、受験・就職・必勝
の神様として信仰されているのです。受験生や勝負に勝ちたい人がここでお参りすることで
有名です。
私のブログに動物村の仲良し3人組として、ウサギの「ミミ」、キツネの「コン太」そして
タヌキの「ポン吉」が活躍する「日本昔話風」の創作話があります。これまでに、自宅から
の散歩道で野生の「ウサギ」、そして滋賀県が誇る日本百名山の一つ、伊吹山山頂のお花畑
で野生の「キツネ」に遭遇しています。でも、野生の「タヌキ」にはまだ会えていませんで
した。今回、こうして上野公園で野生のタヌキに遭遇できました。これにて、仲良し3人組
の揃い踏みが整いました。こんなことでも今回の出来事をうれしく思っています。
土日祝日の上野公園はイベントがたくさんでとても楽しいですよ。
私が行った日は全国陶芸市場が開催されていました。前回にここへ来たときは「パキスタン
の物産展」が開催されていましたね。各種大道芸は土日祝日なら園内のどこかの場所で必ず
開催されています。散歩も楽しめる上野公園は大好きな場所ですが、そこに野生のタヌキが
加わりました。タヌキ以外の動物たちもいるのでしょうね。そこにも注意して園内を歩きた
いと思います。これで上野公園を歩く楽しみ方の幅が広がりました。