ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:茨城産「もやし」は品質が支持されている

2024-04-29 06:38:50 | 日記

スーパーでは1袋(200g)30円前後で販売されることが多い「もやし」ですが、他の野菜は
200円、300円が当たり前のなかで、この価格は圧倒的に安いですよね。もやしの価格は
1990年代までは、一般的に40円ほどで販売されていたのです。それが、スーパーの目玉商品
になって2016年ごろは15円前後(9円の時もありました)の時期もあり、その期間も長かっ
たのです。さすがに、生産コストの値上がり、労働賃金の上昇、原料である緑豆の種の高騰
で、現在の価格に戻っていますが、それでもまだ40円には至っていません。日本のもやしの
安さは、海外と比べるとより顕著です。アメリカやヨーロッパでは、通常100円ほどで販売
されているのです。このもやし価格の下落に伴う収益性の悪化によって、60年前には1000社
ほどあった、もやし生産業者が、10年前は230社、そして、今では110社にまで減っています。
生き残っているもやし専業企業も、カット野菜の製造などの副業をしています。もやし価格
の下落の要因は長引くデフレ経済の環境にあります。1円でも安くという消費者ニーズに応
えるために、ターゲットにされたのが、「もやし」なのです。確かにターゲットになる要素
はあるのです。
もやしは「太陽光がいらない」「土がいらない」「出荷までの期間が10日ほど圧倒的に短い」
「天候に左右されない」「24時間操業できる」という環境で栽培できるのです。一方、スー
パー側としても、計画的な大量生産が年間を通じてでき、安定供給される商品であることか
ら、目玉商品にしやすい、これも価格低下の要因となっています。もやし生産業者は厳しい
環境下にありますが、その中で、茨城県のもやし生産量は全国4位です。しかし、産出額は
3位です。これは茨城県産のもやしは品質がよく、単価が高く取引きされているからです。
今回は茨城産の「もやし」を紹介します。

 

<もやしって何の野菜?>

もやしを漢字で書けば「萌やし」。正式な植物の種類ではなく、豆や野菜の種子を、光を
遮って水だけで発芽(萌え)させた若い芽のことです。畑に種をまくのではなく、暗所で
発芽させて成長させているので、植物の芽なのに色が白いのです。最も一般的な豆もやし
は、「緑豆(グリーンマッペ)」や「ブラックマッペ」を発芽させたもの。グリーンマッ
ペ、ブラックマッペは、アズキの近縁種です。もやしは基本的に国産ですが、原料豆のほ
とんどは中国やインドなどからの輸入品です。大豆を発芽させた大豆もやしもあります。
「カイワレ」はハツカダイコンのもやし。ほかにも、色々な豆類や野菜の種子を発芽させ
たもやしが出回っています。ピーナッツもやし、ニンニクもやし、アルファルファもやし、
ブロッコリーもやし、ソバもやし、等々。これらは「もやし」と呼ばす、ちょっとしゃれ
て「スプラウト(sprout)」と呼ぶことが多いです。英語の「sprout」は、たんに植物の
「芽」「若芽」「若枝」のことです。「若者」の意味もあります。

<もやしの種類>

良く知られているもやしには、大きく分けて3種類あります。
(1)緑豆もやし:緑豆の種子を発芽させたもやしで、国内では85%ほどを占めます。水
   分が多く、シャキシャキとした食感が特徴です。炒め物やサラダなどによく使われ
   ます。
(2)ブラックマッペもやし:ブラックマッペ(黒緑豆)の種子を発芽させたもやしで、
   緑豆もやしより細く硬めです。青臭さが少なく、甘みがあります。おひたしやお味
   噌汁などによく使われます。関西方面で人気です。5%のシェアです。
(3)大豆もやし:大豆の種子を発芽させたもやしで、豆がついているのが特徴です。歯
   ごたえがあり、栄養価が高いです。韓国料理のナムルやチゲなどによく使われます。
   大豆もやしは原料にコストがかかるため、飲食店などへの出荷がメインで、一般に
   流通することはまれです。10%ほどのシェアで、値段は2倍ほど高いです。

 

<もやしの生産量ランキング>

農林水産省の「令和3年品目別産出額について」によると、全国のもやしの産出額は1,026
億円です。全国第1位は北海道で341億円(33.2%)、第2位は鹿児島県で119億円(11.6%)、
第3位は茨城県で22億円(2.1%)でした。
一方、 もやし生産者協会の「もやしの統計」によると、令和元年度(2019年度)の茨城県
のもやしの生産量は1,900トンで、全国第4位でした。全国第1位は北海道で28,000トン、全
国第2位は鹿児島県で10,000トン、全国第3位は埼玉県で2,000トンでした。茨城県のもやし
は品質が良く、高価格で取引されているのだと思います。もやしの生産量はこの50年間、
右肩上がりで生産量が2倍以上に増えています。そして、この30年間に重量ベースでほうれ
ん草より多く生産・消費されるようになりました。(農林水産省)

 

<もやしが安く生産できる理由>

① 太陽光がいらない:もやしは太陽光を必要としないため、天気や季節の影響を受ける
    ことのない屋内での栽培が可能です。場所や環境に依存しない分、生産にかかる
    コストを大幅に抑えられているのです。現在、流通しているもやしは、太陽光を
    完全にシャットアウトされ、理想的な温度と湿度が保たれた環境で計画的に生産
    されています。

② 土がいらない:もやしは「萌やし」で、つまり豆が発芽した状態、ということを示し
    ているのですが、もやしは豆の栄養分を使って発芽するため、肥料がなくても水
    さえあれば育ちます。普段我々が目にするもやしは土がないところで栽培されて
    おり、肥料代も不要なため、他の野菜と比べてその分コストが抑えられています。

③ 出荷までの期間が短い:もやしは発芽してから8日程度で出荷されます。つまり、太
            陽光も土もいらない環境でわずか一週間すごした後、スーパーなどに並び食卓に上
   がる、という驚異のスピード感を持った野菜なのです。例えば、ほうれん草の場合、
   種まきから収穫まで夏は25日から30日、冬はおよそ100日、レタスの場合はおよそ
   60日かかるので、一週間という時間がどれほど短いのかよく分かるかと思います。
   また計画的な大量生産が可能なので年間を通じて安定供給することもでき、これも
          コストカットの要因となっています。

④ もやしの低価格は企業努力の成果:もやしの生産技術が上がり、また年中無休24時間
    体制での管理体制も比較的容易となり、コスト削減が可能になったという背景も
    ありますが、もやしの価格はなんと40年前と比較しても下がっており、10年前か
    ら比較しても1割ほど安くなっています。これは異常ですよね。生産者のたゆまぬ
    企業努力の賜物なのです。

 

<もやしの豆知識>」

1.11月11日はもやしの日です。
   決まった旬が無いもやし。では、なぜもやしの日は11月11日なのでしょう?もやし
   の日はもやし生産協会により、平成24年に制定されました。その理由は、数字の1の
   形がもやしに似ているから。1111…と1を並べるともやしのように見えてきませんか?
2.もやしは一種類ではない
   先に記しましたが、もやし、もやし、と一括りにしてしまいがちですが、実はもやし
   というのは特定の植物を意味する単語ではありません。もやしというのは発芽した状
   態であることを意味しますから、植物の種類に関係なく、まだそれぞれの植物の個性
   が発揮されていない状態であるという、大胆なグループ分けの名称なのです。スパゲ
   ティもペンネもマカロニもリングイネもパスタという総称でまとめられるのと同じよ
   うなイメージかもしれません。
3.おいしく早く、家計を助ける
   これも繰り返しになりますが、もやしが安く販売できる最も大きな理由は、出荷する
   までの時間がとても短いこと。その時間はなんと、10日足らずなのです!一般的に、
   野菜の栽培期間は3~4カ月程度はかかるものです。比較的栽培期間の短い葉物野菜で
   も、出荷までに1~2カ月は必要なことを考えると、もやしの速度は驚異的なスピード
   といえます。ほかの野菜が育つまでの間に、何回も収穫できる…これがもやしの強み
   であり、安く提供できる最大の秘密なのですね。また、もやしのほとんどが工場生産
   で、生産量が季節や天候に左右されないことも、価格を支える要素です。購入する側
   としては安定して安く購入できるのはうれしいですよね。
4.時間が経つのはNG
   もやしはいつでも購入できますが、ひとつ注意しなければならない点があります。そ
   れは、「傷みやすい野菜」であること。多くのもやしはパッケージに消費期限が記載
   されていますが、これはほかの野菜ではあまり見られず、とても珍しいですよね。新
   芽であるもやしはまだ弱く、デリケートな状態。さらに、成長しようと絶えず呼吸を
   続けているので、放っておくと袋が膨らみ、水滴がつきます。このように、自分が出
   した水分で傷んでしまうのですね。そのため、もやしは購入したらその日のうちに使
   い切るぐらいのつもりでよいでしょう。もやしには抗酸化作用のあるビタミンCや貧
   血を予防する葉酸などが含まれますが、これらは時間が経つと失われてしまいやすい
        ので、栄養の面からみても新鮮なうちに食べた方がよいです。当日に使い切るのが難
   しい場合はポリ袋などに移し、チルド室(※野菜室は温度が高いので、もやしの保存
   には不向きです)に入れれば2~3日ほど保存できます。
5.もやしは農産物ではない!?
   もやしは太陽光や土が必要なく、その特性から工場で計画的に大量生産されるため、
   農産物、というよりも工業生産物に近く、工業型農業というのに分類されるようで
   す。つまりアナログな農業というよりもデジタルに限りなく近く、計画的な大量生産
   が可能ということは生産量も制御可能なため、作り過ぎなどのリスクもない、という
   ことも価格の安さに反映されているようです。
6.もやしの栄養素と効果
   原料豆の栄養素だけで育ちます。この栄養素から生育に必要な栄養素を作りながら成
   長しますので、豊富な栄養素が含まれているのです。
  ①食物繊維:便通を整えて便秘を予防したり、脂質や糖質、ナトリウムの吸収を抑えます。
  ② たんぱく質:筋肉や皮膚、毛髪などの体を構成したり、ホルモンや抗体などの物質の
         材料となります。
  ③ビタミンB1:糖質をエネルギーに変えるために必要で、疲労回復や神経系の健康に役
         立ちます。
  ④ビタミンB2:脂質やたんぱく質の代謝に関わり、皮膚や粘膜の健康に必要です。
  ⑤ナイアシン:エネルギー代謝に必要で、皮膚や粘膜、神経系の健康に役立ちます。
  ⑥葉酸:赤血球の生成に必要で、貧血の予防や妊娠中の胎児の発育に重要です。
  ⑦パントテン酸:エネルギー代謝に必要で、ストレスへの耐性や免疫力を高めます。
  ⑧ビオチン:エネルギー代謝に必要で、皮膚や毛髪、爪の健康に役立ちます。
  ⑨ビタミンC:コラーゲンの生成に必要で、肌や骨、歯などの健康に役立ちます。また、
         抗酸化作用や免疫力向上なども期待できます。
  ⑩カリウム:体内の水分バランスを調整し、利尿作用や血圧降下作用があります。
  ⑪鉄:赤血球の成分であるヘモグロビンの生成に必要で、貧血の予防や改善に効果があ
     ります。
  ⑫亜鉛:味覚や嗅覚を正常に保つために必要で、免疫力向上や傷の治癒などにも効果が
      あります。
  ⑬銅:赤血球の生成や鉄分の吸収を助ける働きがあります。

  もやしは水分が多くカロリーが低いため、ダイエット中でも気軽に食べられる野菜です。
  また、さまざまな料理に合わせて使うことができるので、食卓に彩りを添えることがで
  きます。ぜひもやしを食べて栄養バランスを整えましょう。
7.もやしのたんぱく質はどこにある?
   たんぱく質は豆の部分に含まれています。大豆もやしは100gあたり3.7gのたんぱく質
   が入っており、牛乳100ml(たんぱく質3.4g)とほぼ同じくらいの量です。
8.ビタミンCが豊富:緑豆もやし1パック(200g)には16mgのビタミンCが含まれており、
   レモン約1個分の果汁に相当します。
9.もやしは水分を多く含む野菜なので、冷凍保存するときは購入した時の袋のまま保存す
   るのがおすすめです。また、もやしを使う前に水で洗う必要はありません。
10.もやしを生のまま食べるのはNG!もやしは生ではなく、加熱してから食べるべき食材
    です。生のままだと料理が食べにくい仕上がりになったり、最悪の場合、食中毒の
    危険性もあるからです。でも、腐ってしまったもやしはすでに雑菌が増えているお
    それがあり、加熱しても食べることはできません。
11.もやしの食べ過ぎはNG!
    もやしを食べ過ぎると下痢や腹痛になりやすいです。ダイエットとして、過剰摂取
    は戒めましょう。栄養バランスも崩れます。1日に1袋(200g)が上限です。

<茨城県もやしの生産現場>

(1)栽培
   そろって発芽するように、よく充実した種子を入手します。発芽適温は種類によって
   も異なりますが、いずれも25 - 30度とかなり高温であるため、低温期に栽培する場合
   は保温や過湿が必要です。また、発芽には多くの酸素を必要で、酸素不足になると色
   がきれいにならなかったり、悪臭がするなどのトラブルの原因となります。種子がず
   っと水に浸かっていると、藻類が発生したり、病害に侵されたりしやすいため、水切
   りや水洗いを入念に行うことが成否の鍵となるそうです。
(2)発芽
   原料の豆の種類はブラックマッペ、緑豆、大豆の三種です。いずれの原料豆も不純物
   や害虫に食われたもの、欠けたもの、病気のものなどを取り除いて選別し、水に浸し
   てみたときに浮き上がった充実が悪いものを取り除きます。 その後、豆を流水でよく
   洗い、豆の量の10倍量の水に一晩漬けておく、浸種吸水を行います。容器の口をガー
   ゼなどで覆い水を切ったら、流水で種子をすすぎ水気を切ります。このとき湯に15分
    ほど浸漬して真菌などを殺菌する場合もあります。水気を切った豆を通気性のよい薄
   暗い部屋(軟白栽培)に静かに置き、1日2回ほど丁寧に新しい水ですすぐを繰り返す
   と、7日 - 10日程度で発芽します。胚軸が5 cm以上伸びたら収穫できるので、新鮮な
   うちに収穫します。モヤシの根を太く育成するため、しばしばエチレンを添加するな
   どの工夫がなされています。

茨城県で一番大きいもやし生産会社は、イバラキ食品株式会社です。この会社は、茨城県石
岡市に工場を構え、もやしやカット野菜の製造・販売を行っています。この会社のもやしは、
厳選した原料、清らかな水、コンピュータ制御の育成室、最新の洗浄ラインなどにこだわり、
太くてシャキシャキ感があります。また、関東近県の各地域のスーパーマーケットや店舗で
パッケージ製品として販売されています。他のもやし生産会社としては、旭物産小美玉工場
があります。こちらは茨城県小美玉市にある工場で、1日40トン・20万パックのもやしを製
造しています。

是非、高品質な茨城県産「もやし」をご賞味あれ!

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茨城味自慢:茨城県産の海面養殖マサバが初出荷

2024-04-15 06:57:48 | 日記

 

茨城県は、冷蔵倉庫大手のヨコレイと協力して、那珂湊漁港のいけすでマサバの養殖を始めました
情報通信技術(ICT)を活用して、脂肪量や寄生虫のリスクを管理し、年間を通じて高品質なマサバ
を生産することを目指し、半年前の
令和5年12月15日、その養殖マサバの初出荷が行われました
県内の飲食店に生食用や料理の素材として約500匹が無料で提供されたのです。
餌やりは県立海洋高
校の生徒さんが担当しました
この出荷の様子は地元のテレビや新聞で報道されました。

この養殖マサバは、天然ものに比べて脂が乗っており、刺し身や寿司などで味わうことができます
県の養殖産業の創出に向けて、今後もさらなる品質向上や流通拡大に努めていくとのことです。

今回は初出荷の養殖マサバを話題の中心に置いて、全国及び茨城県の海面養殖業を紹介します。

 

<海面魚類養殖の生産量の多い国>

海面魚類養殖とは、海面にいけすやネットを設置して、魚類を養殖することです。1位: 中国(70.48百万t、
57%)、2位: インドネシア(14.85百万t、12%)、 3位: インド (6.43百万t、5%)、 4位: ベトナム(4.18百万t、
3%)、5位: フィリピン(2.41百万t、2%)。海面魚類養殖は、世界の養殖業生産量の約8割を占めています。

 

<日本の海面養殖業漁獲量ランキング>

2022年の海面養殖業の収獲量は、全国で約920,000tでした。1位は北海道で約139,000t、2位は広島県
が約111,000t、3位が佐賀県で約80,000t、4位が茨城県でした。海面養殖業の主な魚種は、ホタテ貝
(18.7%)、カキ類(18.0%)、ノリ類(25.3%)、ブリ類(12.4%)、マダイ(7.4%)などです。尚、日本の養殖業は、
海面だけでなく、陸上や内水面でも行われています。陸上養殖では、ヒラメ、ニジマス、クルマエビ、
トラフグ、ウミブドウなど、内水面養殖では、うなぎ、マス類、アユ、コイなどが養殖されています。

 

<国内の食用魚種の養殖生産の割合(2023年)>

(1)マダイ➙養殖(81%):天然(19%)、(2)ブリ類➙養殖(55%):天然(45%)
(3)クロマグロ➙養殖(61%):天然(39%)、(4)クルマエビ➙養殖(86%):天然(14%)、
その他に、トラフグ、カンパチ、シマアジなども、養殖の生産量が天然よりも多いのです。
今や、養殖魚なしでは日本の食はまかなえません。

 

<魚の完全養殖の方法と魚種>

1.海面養殖

海上に網で隔離した筏を設けて魚を飼育する方法です。この方法は、海の自然環境を利用できると
いう利点がありますが、台風や赤潮などの自然災害に弱いという欠点もあります
。海面養殖で生産
される魚は、日本の水産物の約3割を占めており、重要な食料源となっています。マダイ、カンパチ、
クロマグロ、トラフグ、マサバ、ヒラメ、ブリ、ハマチ、シマアジ、イシダイ、クルマエビなど、
様々な魚が海面養殖で生産されています。

2.陸上養殖(閉鎖循環式)

  陸上に設置したプールや貯水槽などで魚介類を養殖する方法です。海水や人工海水を利用して、
  ヒラメ、ニジマス、クルマエビ、トラフグなどを生産しています。メリットは、水質汚染や病気
  のリスクが低く、土地の有効活用にもなることです。

3.内水面養殖(掛け流し式)

  内陸部の川や湖などで魚介類を養殖する方法です。淡水域で、ウナギ、マス、アユ、コイなどを
  生産しています。メリットは、淡水を利用して和食文化に根付いた魚介類を生産することが多い
  と言えます。

 

<茨城県の養殖漁業の現状>

令和4年の海面養殖業の収獲量は全国で92万t。そのうち、茨城県は8万6,870t(9.5%)で全国4位です。
このうち、貝類の収獲量は3万7,900t(43.6%)で全国で2位。茨城県の貝類の収獲量は全国の11.2%で
す。内訳は、ほたてがいが1万7,200t(45.4%)、かき類が1万5,400t(40.6%)、しじみが3,100t(8.2%)、
あさりが1,000t(2.6%)などです。茨城県は貝類の養殖が盛んなのです。比べて、養殖魚の方は貝類
ほどのシェアはありませんが、ブリ類やマダイが主力で、「チダイ」、「カンパチ」、「イサキ」、
「クロマグロ」などが養殖されています。そこに今回紹介する「マサバ」が加わりました。全国のシェ
アは約13.0%です。尚、茨城県の県の魚は「ヒラメ」なのですが、ヒラメは自然産のものが多く、養殖
はほとんど行われていません。

 

<養殖魚の豆知識>

1.海面漁業養殖されている魚種たち

 (1)生産量No.1養殖魚:ブリ・ハマチ。この魚は適水温が広い(18~27℃)ことと種苗(モジャコ)
     が安定して確保できることから、静岡県以西の各地で養殖が盛んに行われています。鹿児島県
     がトップです。
 (2)生産尾数No.1養殖魚:マダイ。この魚は適水温(20~28℃)が広く、しかも天然種苗に比べ成
     長が早い養殖用種苗(人工種苗)が安定して確保できることから、これも静岡県以西の各地で
     盛んに養殖が行われています。愛媛県がシェア57%です。
 (3)太平洋沿岸で育つ:カンパチ。この魚の養殖はブリ同様、天然種苗を利用していますが、養殖生
     産量の増加に伴い、近年では中国の香港や海南島から種苗を輸入して養殖しています。この魚
     の適水温(20~31℃)はブリに比べると高いことから、我が国では黒潮分流が流れ込む三重県
     以西の太平洋沿岸に限られています。長崎県、鹿児島県が上位です。
 (4)若魚(よこわ)が主体:クロマグロ。現在、この魚の養殖は人工種苗生産が行われていますが、
     技術が確立されていないことから、曳き縄釣りやまき網で捕らえた若魚が主体となっています。
     酸素の消費量が他の魚に比べはるかに多かったり、体に似合わず非常にデリケートな魚で直接人
     間の手で触れることが出来ないなどの課題を抱えています。又、この魚は養殖魚の中では泳ぐ速
     度が最も速いスピード王であり、体重も最も重い500㎏にまで達する魚ですが、実際の養殖では
     取り扱い、作業性などを考慮して体重50~60㎏程度まで育てて販売しています。

   養殖ものは天然ものに比べ脂の乗りが良い、いわゆる”全身がトロ”で人気商品の一つです。
   長崎県、鹿児島県が1,2位です。

 (5)厄介な魚:トラフグ。この魚の養殖は「噛み合う」、「膨れる」、「鳴く」などの他の魚にはみら
     れない特性をもつ魚であり、仲間の体を傷つけたり、飼育網を破るなど、養殖にあたっては厄介
     な魚と言えます。フグの代表的な特徴でもある膨腹習性(ふくれる)はフグを水から取りあげた
     り、つかんだりする強い刺激に対し、防御や威嚇のため、水や空気を胃に吸いこむことで起こり
     ます。又、怒った時には上下4枚の歯を噛み合わせて「グゥーグゥー」と鳴くこともあります。
     長崎県が約5割で九十九島トラフグが有名ですね。
 (6)陸上での養殖が可能な魚:ヒラメ。この魚は海面養殖と陸上養殖の2つの方法で養殖しています。
     酸素の消費量が比較的少ない(動き回らない)魚であり、適水温(18~24℃)が比較的一定して
     いることから、近年では後者の陸上での養殖方法が主流を占めています。大分県、鹿児島県が
     1,2位を占めています。

   魚種養殖だけに絞ると、日本で1,2位を占める盛んな県は長崎県と鹿児島県です。

2.養殖魚には、天然の魚にはない特徴や問題もあります。例えば、養殖魚は遺伝子組み換えやホルモン
   投与などの技術を用いて、早く大きく育つように改良されることがあります。また、養殖魚は病気
   や寄生虫に感染しやすく、抗生物質や殺菌剤などの薬品を使用することがあります。これらの技術
   や薬品の使用は、養殖魚の生産性や安定性を高める一方で、消費者の健康や環境への影響について
   も慎重に検討する必要があります。
3.危うし!!日本の魚介類自給率
   昭和50年以降急落した自給率はこの20年間低位水準で推移しています。現在、魚介類の約半分は
   輸入物なのです。
4.海面養殖のメリットとデメリットとは?

   ~メリット(長所)~

  「海面養殖」のコストは餌代が約70%、稚魚代が約10%で、合計80%を占めております。水槽はもと
   もとの自然環境を網で仕切っただけなので、ほどんど費用が掛かりません。そのため、イニシャル
   コストとランニングコストが低く、「割安で生産できる」のが最大のメリットです。

  ~デメリット(短所)~

  海面養殖は水槽を自然環境の中で作成するため、環境のコントロールができません。台風や赤潮、病
  気の流入等外部からの影響を受けやすく「安定生産が難しい」のが問題です。また、新規で養殖ビジ
  ネスを始めたい方にとって海面養殖は新規参入のハードルが高いことも大きなデメリットとなります。
  海には漁業権があります。そのため、養殖可能なスペースも限られているので新規参入が難しいです。
  ※漁業法の改正により、民間業の新規参入促進も行われてきてはいます。

<茨城県の海面漁業>

茨城県では野菜や果物とともにおいしいと思うのが魚介類です。2020年の海面漁業生産量は全国2位。サ
バの水揚げは1位でしたが、そんな水産県にも海を超えて様々なリスクが忍び寄っています。直近ではウ
クライナやイスラエルの戦争です。輸送ルートの迂回や燃油高の影響で値上がり傾向、更にチリ産などへ
の代替が増え、輸入魚種の卸値は全般に平年より3~4割高いそうです。
ただ水産品の品薄は今に始まった話ではないのです。コロナ禍に伴う世界的な金融緩和が株高などを招き、
富裕層の購買意欲を刺激した面も見逃せません。世界的なカネ余りと供給不安は原油高も加速させました。
燃料油のほか漁業用の網や発泡スチロールも値上がりしました。円安も重なり、国内漁業の経営環境は厳
しさを増しているのです。

そんな中、茨城県は冷蔵倉庫大手のヨコレイと組み、マサバの養殖を22年度に始めると発表しました。情
報通信技術(ICT)を活用し、漁港のいけすで養殖します。サバの養殖は西日本で多く、湾や入り江が少な
い茨城は不向きとされますが、「海の状況に応じ、いけすの網を浮沈させるなどの新技術が登場したため
挑戦する」(水産振興課)ことにしたのです。なぜサバかというと、クロマグロやカニほどではないが、
大衆魚のサバにも買い負けの懸念がくすぶるのです。輸入品のサバは平年比3~4割高いそうです。缶詰大
手ではサバ缶の値上げが相次ぎ、資源量や気候変動に影響されにくい漁業の育成は必要なのです。隣県の
福島県浪江町でも常磐線浪江駅でエビの養殖実験を始めた。

<茨城県初の養殖マサバ>

茨城県は漁港内のいけすで、マサバの稚魚1万300匹を養殖して、検討してきました。アニサキスの寄生リ
スクが低く、刺し身で食べられるなど、高い収益性を見込んでいるのです。餌で脂肪量を調整できるため、
脂が乗った良質なマサバを年間を通して提供できることがもくろみです。
いけすは海洋高水産クラブの生徒が管理。部員9人がタブレットやスマートフォンで日々観察し、自動給餌
器への補充やいけすの見回りなどを担ってきました。初出荷を控えた談話で、1年生の生徒さんは「自分た
ちが育てたマサバを多くの人に食べてほしい。地域活性化に貢献できたらうれしい」と話していました。

実は、茨城県のサバ類の漁獲量は全国トップクラスなのです。農林水産省によると、2021年は7万3800トン
で全国1位、22年は3万3000トンで2位だったのです。県水産試験場によると、23年は茨城県沖への到来が遅
く、サイズは小さめなのだそうです。県はこうした気候などによる漁獲量の変動に備えるため、海面養殖業
を発展させたい考え、マサバ養殖の実証事業を成功させて、将来的には民間業者と協力し、特産化を目指し
ているのです。

すでに来年度の出荷を目指し、新たなマサバの稚魚2万5000匹の養殖を始めています。県水産振興課では
「茨城の新たな特産品として定着させたい」と期待を込めています。昨年末12月の初出荷分は、県内で水揚
げされた魚介類やその加工品を扱う「いばらきの地魚取扱店」のうち、希望した26店舗に計約500匹無料で
提供され、今年の1~2月には小売店に計約1500匹が出荷されて販売されました。

 

茨城県の養殖魚介類にもご注目を頂き、是非ご賞味あれ!

 

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茨城味自慢:茨城県はレタスの生産量が2位のレタス王国だ!

2024-04-01 08:00:46 | 日記

 

レタスの一大生産地は長野県で、全国のレタス生産量の約3分の1を占めています。そして、
2位の茨城県と合わせると、2県で全国の生産量の約5割を生産しています。茨城県は冷涼
な気候を好むレタスに適しています。茨城県では、春レタス(3~5月)と秋レタス(10~
12月)の年2回の栽培で市場に出荷しています。夏場の栽培は高原などが適している一方で、
長野県などが気温が低すぎて栽培できない時期こそが、茨城県の出番だという位置づけに
あります。全国第2位のレタス生産量を誇る産地にあって、特にJA岩井園芸部(坂東市)の
レタス作付面積は圧倒的です。広大な畑で育ったレタスは、品質・おいしさ・新鮮さとも
に満点です。甘くてみずみずしく、歯ざわりが良いと好評です。玉レタス以外にも、非結
球のリーフレタス類も栽培されています。県内最大の生産地ですから、生産過程では有機
質豊富な専用肥料を使い、健全土づくりにこだわり、高い品質を追求しています。そして、
収穫直後に5℃前後まで冷やし、鮮度を保ったまま出荷するのも、こだわりのひとつです。
こうした日頃の努力が認められ、品質や安全性など、厳しい基準をクリアした産地にあた
えられる「茨城県青果物銘柄産地」の指定を1991年に受けています。ここは夏ネギも有名
で、レタスより先の1984年に指定を受け現在に至っています。実はこのブログで過去に、
坂東市のレタスに特化して紹介していますが、今回は生産量全国2位を支えている県内産レ
タス栽培の現状をレタスの品種他、レタス雑学を交えて紹介します。

<レタスとは> 

レタスは、地中海沿岸および西アジア原産のキク科アキノノゲシ属の一年草または二年草
で、野菜として広く利用されています。「学名」: Lactuca sativa、「和名」: チシャ、
「英名」: Lettuce レタスは、葉が巻くものと巻かないもの、茎を食用にするものなど、
多くの品種があります。
古くから日本では「チシャ」と呼ばれており、英名の「lettuce」から派生した日本名「レ
タス」も広く使われています。この名前は、レタスの切り口から出る白い液体の見た目に
基づいて付けられたものです。レタスは、生育初期には茎が短く、ロゼットを形成します。
高温条件が続くと開花のために茎を伸張・分枝させることがあります。この現象を「抽苔
(ちゅうたい)」と呼びます。葉を食用にする際は、抽苔が起こる前に収穫する必要があ
ります。
栽培は比較的容易で、涼しい季節に栽培することが一般的です。また、レタスはアブラナ
科の野菜と混植することで、互いに雑草を抑制し、害虫を防ぐ効果があります。

<レタス生産量ランキング> 

1.世界の生産量ランキング (2021年)
  1位は中国、2位アメリカ、3位インド、4位スペイン、5位イタリア、6位日本
  中国が断トツで約56%のシェア、アメリカは13%・・・日本は2%です。
  中国で生産されているのは、主に 「茎レタス」と呼ばれるタイプです。茎レタスは、
  焼肉やサムギョプサルのときにお肉を包んで食べるのに相性がいいです。他にも、
  「葉レタス」や 「立ちレタス」などのタイプも栽培されています。

2.国内の生産量ランキング (2021年)
  全国計は546,800tですが、トップは長野県の178,800tで、シェアでは32.7%となって
  います。2位は茨城県で87,000t(15.9%)、3位は群馬県で54,500t(10.0%)で、こ
  の3県で約60%のシェアです。生産量日本一の長野県の主力レタスは「結球タイプ」
  の「ヘッドレタス」という品種です。結果として、この品種が一番多く日本では生
  産されていることになります。

<レタスのタイプと品種>

レタスは、見た目から「結球」、「非結球」、「立ち」、「茎」の4つのタイプに分別さ
れます。

1.結球レタスのタイプ
  文字通り結球するレタス。日本で栽培されているレタスの主役です。

 ①玉レタス:もっとも生産量の多い品種で、大きく丸い形をしています。葉は淡い緑色
   で層を成しており、シャキシャキとした食感が特徴です。苦味やクセがなく、サラ
   ダや炒め物などに使われます。特に1996年に長野県農業試験場で育成された「ヘッ
   ドレタス」は大玉で緑色の葉が特徴です。夏でも栽培できるので、長野県を中心に
   全国で栽培されています。単にレタスというとこの玉レタスを指します。
 ②サラダ菜:玉レタスに比べて巻きがゆるめで、厚みがあり鮮やかな緑色でツヤがあり
   なめらかな葉です。β-カロテンや鉄分などの栄養素が玉レタスよりも多く含まれて
   います。甘みがあり、巻き寿司や付け合せなどに使われます。
 ③アリスト:玉レタスの中でも早生品種で、耐病性が高く収穫しやすいのが特徴です。
   葉はやや厚く、シャキシャキとした食感があります。サラダやサンドイッチなどに
   使われます。

2.非結球レタス(葉レタス・リーフレタスともいう)のタイプ
   結球しないレタス。栽培時期が短く玉レタスに比べて栽培が容易です。

 ①サニーレタス:葉先が赤紫色でやわらかい葉質が特徴です。苦味がほとんどなく、生
   のままでも食べやすい品種です。スーパーでは玉レタスと並んで人気です。
 ②グリーンリーフ(グリーンカール):葉が緑色でカールしているので、サラダに加え
   ると華やかな印象になります。生のままだと、少し苦味があるのが特徴です。
 ③フリルレタス:たくさん切り込みが入ったような葉が特徴的です。葉が波打っていて、
   ドレスやスカートのフリルに似ています。みずみずしくて苦味がマイルドなので、
   サラダやサンドイッチなどにおすすめです。
 ④ブーケレタス:その名の通りブーケのような形をしています。葉は明るい緑色で、少
   し細長く葉先には丸みのある切り込みが入っています。苦味やくせが少ない味わい
   なので、生のままいただくのがおすすめです。
 ⑤サンチュ:葉のフチが波うっているように縮れていて、ヒラヒラとしています。焼肉
   などを巻いて食べるのが、サンチュの一般的な食べ方です 。
 ⑥エンダイブ:苦味があるのが特徴的で、別名「ニガチシャ」とも呼ばれます。原産地
   は地中海沿岸で、4月〜11月頃と旬の時期が長いです。

3.立ちレタスタイプ

 ①ロメインレタス(コスレタス):立性して、半結球のタケノコ型になるレタス。葉が
   ほとんど巻かずに立っているレタスです。一般的な玉レタスと比べて、葉が厚くて
   肉厚で、食感がシャキシャキしています。サラダだけでなく、加熱調理にも向いて
   いるのが特長です。葉は濃緑色で、内部の葉は淡黄色で、シーザーサラダにも使わ
   れることが多いです。
 ②レッドロメインレタス:ロメインレタスの半分ほどの大きさで、日のあたる部分が赤
   く色づくのが特徴のレタスです。

4.茎レタスのタイプ

  茎の部分が食用になります。皮をむいて細切りにして生食や炒め物、和え物などにし
  て食べられています。日本では「掻きチシャ」や「包菜」ともいわれています。

 ① チシャトウ:中国原産の品種で、茎は白くて太く、葉は緑色でやや厚みがあります。
   茎はシャキシャキとした食感で、漬物や炒め物に向いています。
 ②ステムレタス:これを乾燥したものが「山くらげ」です。日本で栽培されている品種
   で、茎は緑色で細く、葉は淡い緑色でやわらかいです。茎はコリコリとした食感で、
   サラダやスープ、そして漬物にも向いています。
 ③貢菜:台湾原産の品種で、茎は紫色で細く、葉は紫色の縁取りがある緑色でふわふわ
   とした感触です。茎は甘みがあり、生食や煮物に向いています。
 ④皇帝菜:中国原産の品種で、茎は白くて太く、葉は緑色でやや厚みがあります。茎は
   シャキシャキとした食感で、漬物や炒め物に向いています。

<レタスの豆知識>

1.レタスはなぜ一年中流通しているのか

  レタスの生育は涼しい気候が適しており、夏は長野県などの高冷地、春の3~5月、秋
  の9月~11月は茨城を中心とした平野部、冬は四国や九州などの暖地というように、季
  節ごとに栽培に適した産地へ移り変わります。4〜5月に収穫されるレタスを春レタス、
  6〜9月に収穫されるレタスを夏秋レタスと呼びます。この2つの時期に生産量が多いの
  が茨城県です。

2.レタスの原産地

  ヨーロッパや中近東が原産で、中世以降にオランダやフランスで改良された後に、ア
  メリカに伝わり、そして、そのアメリカから日本に伝わったと言われています。

3.レタスの栄養価と効果

  レタスは95%以上が水分なので、低カロリーで栄養価はそれほど高くありませんが、
  美容や老化予防に良いビタミンC・E、β-カロテン、葉酸などのビタミンや、利尿作用
  のあるカリウム、貧血予防効果のある鉄などのミネラル、整腸作用のある食物繊維な
  どをバランスよく含みます。生食の方が栄養素の残存率は高いですが、加熱調理して
  しんなりさせれば、カサが減るのでたくさん食べることができ、レタスの栄養分を多
  くとることができます。また、レタスは火が通りやすいので、加熱は短時間で大丈夫
  です。そうすることで、ビタミンCの損失が最小限に抑えられ、見た目もきれいに仕上
  がります。βカロテン、ビタミンC、ビタミンE、カリウム、カルシウムなどの栄養素は、
  結球型よりもリーフレタスやサラダ菜の方が多く含まれています。

4,レタスの茎から出てくる白い液体の正体は?

  レタスの茎を切ると白い液体が出てくるのを見たことがある方も多いと思います。こ
  の白い液体は「ラクチュコピクリン」というサポニン様物質のポリフェノールの一つで、
  苦味成分が含まれています。催眠効果や鎮静作用があり、食欲増進、肝臓や腎臓の機能
  を高める、リラックス効果、イライラを鎮めるなどの効果が期待出来ます。

5. レタスは包丁で切ると酸化して切り口が茶色く変色し、苦味が出やすくなるので、手
  でちぎるのがおすすめです。ドレッシングも絡みやすくなりますよ。

6.レタスの食感を良くする簡単なコツ!
   レタスをカットしたらしばらく氷水にさらし、水気を切って冷蔵庫に入れておくだ
   け!シャキシャキ食感が損なわれることなく、見た目も良くなりますよ。また、し
   っかりと水分を除去することでドレッシングの絡みも良くなり、一石二鳥です。

7.レタスの食べ合わせで注意すること
   食べるときに気を付けた方が良いポイントがあります。

  ①不溶性食物繊維の摂りすぎ
    レタスには不溶性の食物繊維が特に多く含まれているのですが、不溶性の食物繊維
    は水溶性の食物繊維とは働きが違い、便の量を増やす効果があります。水溶性の食
    物繊維を多く含むものを積極的に合わせるのがおすすめです!

  ②全体的な栄養バランスが偏ってしまう
    約95%が水分なうえ、生食で食べることが多いので、摂取出来る栄養素が偏りがち
    になります。レタス、きゅうり、キャベツ、大根などは淡色野菜ですが、緑黄色野
    菜と比べると栄養素が少なめです。さらに、野菜サラダのみの場合は栄養素が不足
    しやすいですから、緑黄色野菜を追加したり、豆類、肉類、魚類、海藻類など淡色
    野菜だけでは摂取出来ない栄養素が含まれているものと組み合わせると栄養バラン
    スが整い、身体に良い料理になりますよ。

  ③身体を冷やしすぎてしまう
    レタスには利尿作用のあるカリウムが豊富に含まれています。カリウムには身体の
    余分な熱を排出して冷やしてくれる効果がありますが、冷え性の方がレタスをたく
    さん食べてしまうと身体が冷えすぎてしまう可能性もあります。冷え性の方は、生
    食よりも加熱して食べることを心がけましょう。

9.レタスの名称は、ラテン語で言う「乳」に由来しているそうです。レタスをちぎった時
  に出てくる液体が乳白色であることから、そのような名前が付けられました。

10.近年は設備の発達が進み、屋外ではなく植物工場で栽培されるものも増えてきています。
   淡色野菜として知られるレタスですが、実は水耕栽培のレタスはβ-カロテンの含有量が
   100gあたり710μgあるので、緑黄色野菜に分類されます。その他、カリウムやカルシウ
   ム、マグネシウム、リン、マンガンなどのミネラルも、土耕栽培より水耕栽培の方が多
   く含まれています。

 

<茨城県のレタス栽培の現状>

茨城県はレタス生産量が、2021年度には約9万トンを収穫しました。そのうち水耕栽培で栽培
されたレタスは約1万トンで、全国の水耕栽培レタスの約3割を占めています。茨城県には水耕
栽培の農場が多くあり、その中でも大規模なものとしては、[株式会社サニープラント]や[株式
会社美浦ハイテクファーム]などがあります。[株式会社サニープラント]は、リーフレタスやホウ
レン草などの水耕栽培を行っており、1日5千株、年間174万株を生産するという記念式典が2024
年1月に行われました。[株式会社美浦ハイテクファーム]は、国産パプリカの栽培や販売加工も行
っており、太陽光利用型の植物工場では水耕栽培を採用しています。ですから、茨城県のレタス
栽培は水耕栽培割合がとても高いのです。この水耕栽培については別の機会に紹介しますので、
今回は触れないことにします。

 

<茨城県産レタスの特長>

茨城県では、特に県西地域で盛んに生産されています。広大な畑で育ったレタスは、品質・おい
しさ・新鮮さともに満点です。甘くて、みずみずしく、歯ざわりが良いと好評です。茨城県のレ
タスは、品質や安全性など、厳しい基準をクリアした産地にあたえられる「茨城県青果物銘柄産
地」の指定を受けています。有機質豊富な専用肥料を使い、健全土づくりにこだわり、高い品質
を追求しています。さらに、栽培の管理・記録を徹底しているので、安心して食べられます。
収穫直後に5℃前後まで冷やし、鮮度を保ったまま出荷するのも、こだわりのひとつです。

 

(茨城県で主力として生産されているレタスのタイプと品種)

(1)「結球レタス」タイプ:玉レタスの生産量が一番多いです。品種としては「さとのそら」、
    「きぬの波」、「ゆめかおり」などがあります。パリッとした食感と甘みが特徴です。
(2)「非結球レタス」タイプ:葉先が赤紫色のサニーレタスや、焼肉を包んで食べるサンチュ
     の生産が多いです。栄養価が高く、色鮮やかなサラダに向いています。
(3)「茎レタス」タイプ:ステムレタスという品種が多いです。茎を食べるタイプで、アスパ
    ラガスに似た食感と風味があります。山クラゲはこれを乾燥したものです。

 

茨城県のレタスは、有機質豊富な専用肥料を使い、健全な土づくりにこだわり、高い品質を追求
しています。また、収穫直後に冷やし、鮮度を保ったまま出荷しています。品質や安全性など、
厳しい基準をクリアした産地にあたえられる「茨城県青果物銘柄産地」の指定を受けている理由
です。茨城県のレタスは、作付け面積が一番大きい坂東市を中心に、古河市、境町、結城市、八
千代町、常総市、筑西市、下妻市、土浦市、つくば市など県西地区で生産が盛んです。

 

(茨城県で一番生産量が多い玉レタスの栽培カレンダー)

玉レタスの栽培時期は、一般的に春と秋に種をまきます。茨城県では、冬どり栽培と春どり栽培
が主流です。冬どり栽培は、8月下旬から10月上旬に種をまき、11月から2月に収穫します。耐寒
性の強い品種を選び、低温時には保温対策を行います。春どり栽培は、10月中下旬から3月上旬に
種をまき、3月から6月に収穫します。早生の多収種や高温でも育つ品種を選び、栽培初期には保
温対策を行います。玉レタスが播種から収穫まで2か月~3か月ほど。リーフレタスであれば50日
~60日程度で収穫できます。玉レタスは秋まき栽培が、リーフレタスは春まき栽培が栽培しやす
いといわれます。作型は、冬どり栽培、春どり栽培、夏秋どり栽培の3つに大きく分けられます。

<玉レタス栽培の手順(畑)> タキイ種苗KKより

手順1:畑の準備
    種をまく前の2週間前~10日前までに土づくりと施肥をします。肥料は、全面施肥で行い
    ます。畑に、堆肥と苦土石灰を入れよく耕します。その後、化成肥料を施肥し、土とよ
    く混ぜます。畝幅100cmの平畝をたて、ポリマルチを張ります。
手順2:定植
    株間30cmに植え穴を掘り、苗を植えつけます。株元にたっぷりかん水します。
手順3:追肥
    地植えの場合は、元肥をしっかり施しておけば追肥は不要です。
手順4:収穫
    球の頭を軽く押し、硬く弾力が出てきたら収穫のタイミングです。球の下方から切り取
    とって収穫します。

玉レタスの栽培には、土壌や肥料、病害虫の防除なども注意が必要です。家庭菜園初心者の場合
は、市販の苗を購入して植え付けると手軽でおすすめです。

 

是非、茨城県のレタスをご賞味あれ!

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