ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:急速に生産量を増やしている「ブナシメジ」

2023-11-27 07:30:33 | 日記

 

近年の茨城県食用キノコ生産量の伸びは著しく、林野庁の「令和3年 特用林産物生産
統計調査」によると、2021年の茨城県のきのこ類の生産量は長野県そして、新潟県に
次いで3位になっています。茨城県は特になめこの生産量が多く、全国の約半分を占
めています。また、ひらたけやエリンギ、そして、ブナシメジも上位にランキングさ
れています。令和元年の統計によると、茨城県のブナシメジの収穫量は約2,300トン
で、
全国の約3割を占めています。茨城県はきのこ栽培に適した気候や土壌を持ち、
中小
の生産者が多く活躍しています。

茨城県でブナシメジが盛んに栽培されるようになったのは、昭和40年代後半からです。
それまでは、茨城県のきのこ栽培は主にシイタケが中心でしたが、シイタケの価格低
迷や病害虫の発生などの問題に直面しました。そこで、茨城県農業総合センター園芸
研究所が、シイタケと同じ原木栽培ができるブナシメジの研究を始めました。その結
果、茨城県の気候や土壌に適したブナシメジの品種や栽培方法が開発され、昭和50年
代には県内の多くの農家がブナシメジの栽培に取り組むようになりました。茨城県の
ブナシメジは、歯ごたえが良く、風味が豊かで、栄養価も高いとして、消費者に人気
があります。ブナシメジは、炒め物や煮物、スープなどの料理に幅広く使われますが、
茨城県では、ブナシメジの天ぷらや唐揚げ、酢の物などの郷土料理もあります。 また、
ブナシメジは、乾燥させて保存することもできます。 乾燥ブナシメジは、水で戻すと
ふっくらとした食感になり、風味も増します。今回は茨城県産のブナシメジの紹介です。

 

<国内の食用キノコ生産事情>

令和4年の食用キノコ類の生産量は46万1,659トンで、前年に比べ0.1%減少しました。
品目別では、1位がえのきで12万6,321tで最も多く、2位が肉薄してブナシメジの
12万3,134t、3位は生しいたけで6万9,504t、4位はまいたけで5万7,299tです。
えのき、
ブナシメジ、まいたけ、エリンギなど上位品目は全て菌床栽培での生産で、
大手企業
の工場で量産されています。一方、しいたけ、なめこは中小の生産者が多く、
生しい
たけは主要産地が全国に散らばっています。そして、乾しいたけの生産量は
2,032tで、
九州地方が生産の中心です。

 

<国内でキノコ栽培が盛んな県はどこか>

1位が長野県158,950t(34.4%)、2位は新潟県99,718t(21.6%)、で断トツです。
長野
県にはホクト株式会社、新潟県には株式会社雪国まいたけがあり、両県の生産量が
い理由になっています。品目別で見ると、えのき、ブナシメジ、エリンギ、なめこは
長野県と新潟県が1位、2位を占めており、ひらたけ、まいたけは新潟県が1位となって
います。 乾しいたけは大分県、宮崎県、熊本県の九州地方が主な産地です。 生しいた
けは徳島県、北海道、岩手県、群馬県、秋田県、新潟県が生産量の上位に位置してい
ます。きのこ類は、菌床栽培の技術が確立されており、通年で生産できる点や生産の
ための作業負荷が大きくないこと、小規模でも出来ることから全国で栽培されています。

 

<ブナシメジとは>

ブナシメジとは、シメジ科シロタモギタケ属のキノコの一種です。ブナやトチノキな
どの広葉樹の朽木や倒木に自生し、秋に収穫されます。傘の表面には白から赤みがか
った灰色の大理石模様があります。ブナシメジは原木栽培、菌床栽培が共に可能です。
栽培したものに比べて大型になる野生のブナシメジは、9月~11月に旬を迎えます。
ブナシメジは栄養価が高く、ビタミンB群やビタミンD、食物繊維、必須アミノ酸など
を豊富に含んでいます。風味が良く、歯ごたえがあるので、炒め物や汁物、ご飯など
に使われます。ブナシメジは、日本の食文化に欠かせないきのこの一つです。

 

<シメジの品種について>

シメジの種類は、分類学的には定義が曖昧なので、食用品種で紹介します。

1.ブナシメジ:一般にシメジと言えばこのブナシメジで、一年中店頭で見られます。
    特徴は味にくせがなく、和洋中とさまざまな料理に使いやすいこと。人工栽
    培へ移行したことで改良され、味がよく食べやすいきのこになっています。
2.本シメジ:人工栽培が難しく収穫量が少ない高級きのこ、本しめじ。「香り松茸、
    味しめじ」という言葉にあるしめじとは、この本シメジを指します。丸っこ
    いかわいらしいフォルムと濃厚な旨みがトレードマークのきのこで、流通量
    が少ないため店頭に並ぶものはわずかです。この本シメジも菌床栽培に成功
    したようです。
3.はたけしめじ:カサが平たいため一見するとしめじの仲間とはわかりにくい。カ
    サの色は薄灰色~褐色で、大きさは3~5cm、畑の周辺に生えていることが多
    い。味にクセがないため和・洋・中さまざまな料理で使われる。弾力性が魅
    力で、ホイル焼きやきのこごはんが特におすすめだ。
4.白ブナシメジ:ブナシメジの改良品種で、名前の通りに白いシメジです。特徴は
    ぷるんぷるんとした歯ごたえとツルンとした喉ごし。ブナシメジと比較する
    と苦みは少なく、ほんのりとした甘みがある。これも一年中店頭に並んでい
    ます。

 

<ブナシメジ栽培の概況>

ブナシメジの生産量は、令和4年の特用林産物生産統計調査によると、全国で約12万
3,134トンでした。そのうち、原木栽培の生産量は約125トンで、菌床栽培の生産量は
約12万3,009トンでした。つまり、ブナシメジの生産量のほとんどは菌床栽培による
もので、原木栽培はわずか0.1%程度しか占めていませんでした。原木栽培と菌床栽培
の生産量の差は、栽培の難易度や効率性に関係しています。原木栽培は、ほだ木の調
達や管理が大変で、収穫までに1年以上かかることが多いです。また、気温や降水量
などの気象条件に左右されやすく、収量や品質が安定しにくいです。一方、菌床栽培
は、培地の製造や殺菌などの工程が必要ですが、収穫までに約4ヶ月程度で済みます。
また、室内で環境をコントロールできるため、収量や品質が安定しやすいです。この
ためブナシメジの栽培は菌床栽培が主流なのです。しかし、原木栽培は自然の風味や
歯ごたえが良く、高級品として評価されていますし、原木栽培は森林の保全や活用に
も貢献することが期待されます。

 

<ブナシメジの人工栽培は長野県が発祥の地>

昭和45年に現タカラバイオが人工栽培に成功し、昭和48年に飯田市の旧上郷村の農業
協同組合と独占契約を締結して栽培が本格的に開始されたとあります。当時は、形状
や食味が菌根菌のホンシメジに似ていることから、「ホンシメジ」という商品名で販
売されていました。しかし、本来のホンシメジとは別のものであることから、1991年
に林野庁はそのような慣行を改めるよう通達しました。それ以降は、「ブナシメジ」
という名称を使用するようになりました。現在も長野県はブナシメジの生産量で全国
1位を誇っています。

 

<ブナシメジの豆知識>

1.ブナシメジの栄養素と効能効果

  • ビタミンC:抗酸化作用やコラーゲンの合成に必要な栄養素で、風邪の予防や肌    
          の健康に役立ちます。
  • ビタミンD:カルシウムの吸収を促進する栄養素で、骨や歯の健康に重要です。
  • ビタミンB群:エネルギーの代謝や神経系の機能に関わる栄養素で、疲労回復や
           ストレス緩和に効果的です。
  • 鉄分:血液中のヘモグロビンの生成に必要な栄養素で、貧血の予防や免疫力の向
       上に役立ちます。
  • カリウム:体内の水分や電解質のバランスを調整する栄養素で、高血圧やむくみ
         の予防に効果的です。
  • 食物繊維:腸内環境を整える栄養素で、便秘の解消やコレステロールの低下に効
         果的です。食物繊維はサツマイモと同レベルとされています。
  • アミノ酸:タンパク質の構成要素で、筋肉や骨、皮膚などの組織の生成に必要な
         栄養素です。グルタミンやグルタミン酸などのアミノ酸が含まれてい
         ます。
  • チロシナーゼ阻害物質:メラニン色素の生成を抑制する物質で、美白効果が期待
         できます。また、オルニチンも肌の新陳代謝を促進し、美肌効果が期
         待できます。
  • オルニチン:しじみに豊富に含まれることで有名なオルニチン。肌のターンオー
          バーを促進や、肝機能を正常にしたりする働きが期待されている。

ブナシメジは低カロリーで栄養価が高いので、ダイエットや健康維持にもおすすめです。

2.調理に関して

 (1)選び方:傘に弾力があり、傘と柄がしっかりしているものを選びます。 鮮度が
        低下してくると、傘の一部がしなび、きのこ全体がやわらかくなりま
        す。 傘の大きさの大小で味に大きな差はありません。また、傘色の濃
        淡は栽培環境の違いに由来するものですので、味に大きな差はありま
        せん。
 (2)ブナシメジの汚れは洗っちゃダメ!:きのこは水にとても弱く、洗うと風味や味
        が落ちてしまいます。水に濡れると劣化も急激に進んでしまいます。
        軸の汚れが気になるときは、包丁でサッと削ぎ落としたり、ペーパーで
        拭き取るようにすれば風味を落とすことなく綺麗に処理できます。
 (3)ブナシメジの切り方:食べやすい大きさに育てられるブナシメジは、基本的には
        包丁を使わず手で小房に分けて使うのがおすすめ。大きすぎるものは、
        軸の部分で半分にカットしてもいいですね。
 (4)ブナシメジの冷蔵保存の方法:きのこは常温保存してしまうと菌糸が発生するの
        で、温度の変化の少ない野菜室で保存しましょう。湿度がこもらないよ
        う透明のフィルムは外して、新聞紙でくるんでから、再度ポリ袋で包み
        保管しましょう。この状態であれば1週間くらいおいしく食べられます。
 (5)ブナシメジの冷凍保存の方法:使い切れそうにないブナシメジは、冷凍庫で保存
        することもできます。石づきをカットしたら小房に分け、チャック付き
        の袋に入れてから冷凍庫で保存しましょう。約3週間から1ヶ月ほど日持
        ちするようになります。料理に使うときは解凍せず凍ったまま調理する
        のが、べちゃっとならずにおいしくいただくコツです。

3. ブナシメジの栽培:ブナシメジは、原木栽培と菌床栽培の両方で栽培可能なキノコで
     す。原木栽培は、ブナやコナラなどの広葉樹の倒木や伐根に種菌を植え付けて
     育てる方法で、自然に近い環境で栽培されます。菌床栽培は、オガクズやチッ
     プなどの木材を粉砕して栄養剤や水を加えた培地に種菌を入れてハウス内で育
     てる方法で、室内で温度や湿度を管理して栽培されます。市場に出ているのは
     ほぼ100%菌床栽培です。

4.本シメジとブナシメジの違い:ブナシメジは本シメジの名称で市場にでていたことが
     ありました。しかし、全く別物ということで、行政指導により現在は「ブナシ
     メジ」で統一されています。本シメジは根生菌で生きた木の根に生えますが、
     ブナシメジは腐朽菌という死んだ木から生えます。

5.天然ブナシメジ:色は薄茶色で、傘は大きいものだと5cm程にもなり、一般のスーパ
     ーなどで売られている栽培物とは見た目がかなり違っています。天然のブナシ
     メジは栽培のブナシメジのように立派なきのこは発生せず、生える数や大きさ
     にもかなりの個体差があります。栽培のブナシメジのように何本も集まってひ
     と株になるのではなく、1本~数本で生えてきます。「ブナシメジ」という名前
     の由来は、その名の通り、ブナの巨大倒木に発生するためと考えられていて、
     傘表面に大理石模様があるのが特徴。学名のmarmoreusも大理石を意味しています。

 

<茨城県のブナシメジ栽培>

茨城県の大手では、ハラキンが鹿嶋市で40年以上きのこ栽培一筋に取り組み、ブナシメジの
生産量は年間4,000トン近くに達しています。全国のブナシメジ生産量約12万tのシェア(3.1%)
です。ハラキンは、ふるさと納税の返礼品として、ブナシメジを提供しています。この企業
は茨城県がきのこ生産量を上位にアップした原動力です。又、ローソンファーム茨城が鉾田
市田崎にブナシメジ生産の植物工場を設けており、室内で温度や湿度を均一に保つ管理栽培
で、高品質のブナシメジを安定生産し、年間約70トンを関東や東北地区のローソングループ
店舗に供給しています。

 

(ローソンファーム茨城)

ブナシメジの生産を専門に行っている有限会社 鬼澤食菌センター(鉾田市)がローソンと
タッグを組みました。

ブナシメジの生産工程

①    攪拌:オガ粉、水、フスマなどを混ぜ合わせ、しめじを栽培するための培地を作ります。
② ビン詰め:攪拌した培地をビンに詰めます。
③   殺菌・放冷:雑菌を無くす為に培地を殺菌し、その後クリーンルームに移して放冷し、
        常温に戻します。
④  接種(植菌):殺菌した培地の上にブナシメジ菌を植えます
⑤ 培養:培養室で温度・湿度・風を管理しながら約3か月菌を繁殖させます
⑥  菌掻き:菌が繁殖した菌床の表面を掻き、芽出しを促します
⑦ 発生:温度・湿度を細かく調整した発生ルームでブナシメジを大きく成長させます。
⑧  計量・包装:厳格な社内基準に適合したものだけを収穫し、包装します。
⑨  検査・出荷:包装されたものを出荷し、店頭に並びます。

   これらの工程を経て、約100~120日で収穫します。

 

鬼澤さんは、「きのこは温度と湿度が管理された部屋で作りますが、春夏秋冬その日の天
気等にやはり影響されるんです。そんななかで一番大事なのが、換気をこまめにすること。
この作業を怠ると、いいきのこはできません。でもきのこは本当に難しい。昔より少しは
きのこの事を分かってきましたが、それでも分からないことだらけ。まだまだ勉強中です」
と言います。

買えるお店

(1)いばらきコープのお店
(2)サングリーン旭
(3)水戸京成百貨店

茨城県のブナシメジは、歯ごたえが良く、風味が豊かで、栄養価も高いとして、消費者に
人気があります。是非、茨城県産のブナシメジをご賞味あれ!

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茨城味自慢:馬厩肥の有機培地で育つ茨城の「マッシュルーム」

2023-11-13 08:11:10 | 日記

 

アメリカやヨーロッパ、アジアなど多くの地域で栽培され、世界で一番食べられているといわれる
キノコが「マッシュルーム(日本名:ツクリタケ)」です。しかし、近年はシイタケ・ヒラタケ・
キクラゲの後塵を拝しているという記述がありました。もしそうであれば、キノコ生産量が断トツ
で1位の中国ではあまり生産されていないのかなと思い調べてみましたら、中国でも生産量1位は
マッシュルームでした。やはり世界の視点で見ると、キノコの王様といえばマッシュルームなので
す。(日本ではマツタケがキノコの王様かもしれませんけどね・・・)。本来マッシュルームとは
英語で「キノコ」を意味する言葉ですから、生産量・消費量が共にトップであるマッシュルームは
妥当なところですね。コロンとした姿が可愛らしく、クセのない味わいが人気なのでしょう。一般
的には食用キノコは生で食べると有害なものが多く、加熱調理する必要がありますが、マッシュル
ームはキノコのなかで、唯一生食ができるキノコとして有名です。日本では生で食べる機会は少な
いのですが、海外ではレストランやカフェなどで、サラダのトッピングとして出されています。世
界で食べられている理由に、この生食ができるキノコであることがポイントかもしれません。マッ
シュルームは日本では自生しておらず、明治時代に伝わり大正時代に栽培が本格化、当初は生鮮の
マッシュルームは普及せず、ほとんどは缶詰や水煮などに加工されていました。現在は、生のマッ
シュルームは人気でいつも新鮮なものが店頭に並んでいます。茨城県内の生産地には国内市場シェ
アトップの生産企業があります。今回は茨城県が誇るマッシュルームを紹介します。

<世界のキノコ生産量ランキング>

国別で全キノコ種合算の生産量ランキングでは1位は中国が約4111万tで断トツ。2位はなんと日本
で約47万t、3位はポーランド38万tとなっています。尚、中国の生産量は2019年の約894万tから急
激に伸びて、現在の4100万tを超える生産量になっています。その中国のキノコ種別生産量は1位が
マッシュルーム、2位シイタケ、3位ヒラタケです。ですから、マッシュルームが世界で一番生産量
が多いのは今も変わっていません。尚、日本ではエノキタケの生産量が1位、2位はブナシメジ、
3位が生シイタケです。

<日本でのマッシュルーム栽培の歴史>

マッシュルームはヨーロッパ原産のキノコで、17世紀頃にフランスで人工栽培が始まりました。日
本でのマッシュルーム栽培の普及は、「キノコ栽培の父」とも呼ばれる森本彦三郎氏によって行わ
れました。森本氏はアメリカやヨーロッパでマッシュルーム栽培の最新知識と技術を学び、帰国後
に京都市伏見区桃山に赤レンガ造りの菌舎を建てて事業化(1922年)しました。森本氏は「おがく
ず人工栽培法」という、木を使わないきのこの栽培方法を考案した人物です。以来、マッシュルー
ムは日本でも栽培されるようになりました。

<マッシュルーム国内生産量ランキング>

1位は千葉県(香取市、旭市)2,890t   41.4%  、2位岡山県(瀬戸内市、岡山市)2,300t 33.0%、
3位山形県(舟形町、鶴岡市)1,331 t 20.4%、そして4位が茨城県(稲敷市、美浦村)109t 1.6%
(2020年度)となっています。

(主なマッシュルーム生産企業)

千葉県と茨城県で生産している「芳源マッシュルーム(株)」、岡山県の「(株)三蔵農林」、
山形県の「(有)舟形マッシュルーム」が国内の代表企業です。

<マッシュルームの品種>

主に流通しているマッシュルームは3種類の品種です。

1.「ホワイト種」;突然変異種です。今では固定種として収穫されています。全世界の消費量
    の95%はこのホワイト種なのです。まろやかで上品な味わいのため、あっさりとした料
    理に向いており、鮮度の高いものは生で食べられます。ブラウン種との違いは、色合い
    や香りなどの差異はもちろんのことですが、最も大きな違いは収穫量です。栽培方法こ
    そほとんど変わらないものの、ブラウンは培地の調整が難しく、生産が安定しないため、
    収穫量はホワイトの約30%減と大変希少です。こういった背景から、世界ではホワイト
    が主流として多く生産されています。

2.「ブラウン種」:こちらが原種です。消費量は5%とホワイトマッシュルームとは大きな差が
    あります。味や香りが濃厚で風味が豊かなため、煮物やスープなどの料理に向いています。
    ホワイトに比べて、日持ちしやすいのも特徴です。ソテーにすると濃厚でジューシーです。

3.ジャンボ種: ホワイト種を栽培していると、いくつか大きく育つものが現れます。普通サイ
   ズは4~5cmぐらい、ジャンボ種は7~10cm、そして13㎝を超える大きなものはギガマッ
   シュルームと呼ばれます。収穫は全て手作業で一つずつ、回しながら倒して採り、石づき
   を専用のハサミで切り落とし、直接パックに入れていきます。マッシュルームは大きけれ
   ば大きいほど、うま味成分も増え、味・香り共に強くなりますから、ジャンボ種、ギガ種
   は大きさのインパクトだけではなく、うま味・香りも一番強いマッシュルームの最高峰です!

<マッシュルームの豆知識>

1.マッシュルームは世界一食べられているキノコ
   一人当たりの年間消費量を比べると、ロシア5kg,オーストラリア4kg、ヨーロッパ2~3kg、
   そして、日本は60g。まだまだ日本ではマッシュルームの消費量は少ないです。ちなみに、
   日本は、全てのキノコ種を合わせた年間消費量が1人当たり3.7kg(参考:ニンジン5kg、玉ね
   ぎ9kg )だそうです。ロシアやオーストラリアではニンジン並みに食べられているというこ
   とですね。

2.マッシュルーム人工栽培開始のきっかけはメロン栽培
   17世紀のパリ。南欧から伝わってきたメロンを栽培するために、厩肥(きゅうひ:家畜の糞
   尿と藁や落葉等を混合し、牛馬に踏ませることで腐熟させた有機質肥料)を発酵させる際に
   出る熱を利用した温床を使う方法がとられていました。この温床にマッシュルームの近縁種
   であるハラタケ類のきのこが多く発生していたことが、マッシュルームの人工栽培の始まり
   でした。そして、発生したきのこを食用とするにとどまらず、より多くのきのこをとるため
   に、活用の工夫がなされるようになったのが、現在の菌床栽培の始まりです。

3.生産地は競馬場の周辺が多い
   現在では、マッシュルームの栽培は人口堆肥でも可能になっていますが、やはりマッシュル
   ームの生産地は競馬場や競馬のトレーニングセンターの近隣が多いです。これは日本だけで
   なく外国でも同じ状況です。競馬場やトレーニングセンターの周辺には新鮮で質の良い堆肥
   がいっぱいあるということですね。地元の稲わらと馬の厩肥の有機培地、潤いある地下水に
   よる栽培で無農薬の栽培技術が確立されています。

4.マッシュルームの栄養
   しいたけに比べ、高血圧予防が期待されるカリウムを多く含んでいます。脂質代謝の活性化
   に不可欠なビタミンB2が豊富です。食物繊維も多く含まれており、腸内を洗浄して体の中を
   きれいにしてくれるとともに、余分なコレステロールを効率よく排泄してくれます。うま味
   成分のグルタミン酸が豊富に含まれています。マッシュルームは100gで11kcalというとても
   低カロリーな食品ですが、驚くほどたくさんの栄養素がつまっています。ビタミンB2、B6な
   どのビタミンB群に加え、パントテン酸やナイアシンというエネルギー代謝に関わる栄養素が
   多分に含まれており、お肌の調子を整えるのに最適です。また、ミネラルや銅、亜鉛、食物
   繊維なども豊富です。

5.マッシュルームの日(8月11日 記念日)
   東京都豊島区駒込にあるマッシュルーム販売の専門店として知られる株式会社ワキュウトレ
   ーディングが制定。日付は日本で初めて「マッシュルーム」の栽培に成功し、「キノコ栽培
   の父」と呼ばれる森本彦三郎氏の誕生日1886年(明治19年)8月11日にちなんでいます。マ
   ッシュルームの美味しさ・栄養成分などをアピールして、多くの人にマッシュルームを食べ
   てもらうことが目的で、記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。

6.傘の裏にできる黒いものはなに?
   マッシュルームは収穫後も成長を続けているため、だんだん傘の裏側のひだが黒く変わって
   いきます。この色に戸惑われる方もいるかもしれませんが、食べてもまったく問題はありま
   せん。他のきのこ類は、日が経つと旨みが薄れていきますが、マッシュルームは旨味成分の
   「遊離アミノ酸」が増えていくので、さらに美味しく食べられます。それでも、時間を経た
   ものは加熱してから調理をしてください。

7.マッシュルームの選び方
   表面に傷がなく、カサがすべすべとしており、よくしまっているもの。カサが割れていない
   ものかどうかにも注目です。ホワイトマッシュルームは、軸が短くて太いもので、切り口は
   変色していないものを選びましょう。食感を楽しみたい場合は肉厚で身のしまったもの、よ
   り旨みを感じたい場合は傘が開き気味のものを選びましょう。また、変色し傘の部分がスポ
   ンジのように柔らかいものは鮮度が落ちています。

8.マッシュルームの保存方法
   傷みやすいので、早めに食べ切りましょう。冷蔵室(3~5℃)で保存し、約3~4日以内に食
   べてください。近々に使用しない時は、石づきをとり、スライスしてから冷凍保存しましょう。
   その際レモン汁をかけると変色を防げるのでおすすめです。その場合は、凍ったまま加熱し
   て調理して使用するのが良いです。

9.とにかくマッシュルームだらけの料理専門店
   日本で唯一の前菜からデザートまで全部マッシュルーム!のマッシュルーム料理専門店が東
   京の原宿の表参道そして姫路にあります。マッシュル―ムで前菜、メイン、デザートまで、
   約60種類のマッシュルームメニューを取り揃えた専門店です。店に入ると、マッシュルーム
   形の看板や玄関マット、それと同じ形の特注メガネを掛けたスタッフからメニューを渡され、
   ふと横に目をやるとマッシュルーム形のテーブルと器。行ってみてください。

<マッシュルームの栽培方法>

  1. 稲わらや麦わらに窒素肥料を加えて発熱発酵させて堆肥を作る。
  2. その堆肥を栽培舎の棚や箱に入れる。温度と湿度を調節して再発酵させる。
  3. 堆肥内温度が25℃以下になったら、穀物菌糸を堆肥に混ぜ込んで植え付ける。
  4. 室温を20~22℃程に下げて湿度65~75%前後で培養する。二週間ほどで堆肥全体に菌糸が伸びる。
  5. 菌糸が土に群生したら、少し光が差し込むようにする。湿度は80%を保つ。
  6. 収穫する。マッシュルームのかさが直径5cm程度になったら、軽く左右に回して抜く。

<茨城県のマッシュルーム本格生産の始まり>

マツタケやシイタケを除いて、きのこを特定のブランドや農家を選んで買う人はいないでしょうね。
しかも、それがマッシュルームだとしたら「マッシュルームにブランドなんてあるの?」と思う人
も多いでしょう。ですが、多くの人に「また美浦村のものが食べたい」と言わしめるマッシュルー
ムがあるのです。この美浦村は、言わずと知れた日本一の規模を誇る、日本中央競馬会のトレーニ
ングセンターがある土地です。同センターができたのが昭和54年、近隣でマッシュルームの生産が
始まったのは昭和57年で、ここにマッシュルームの生産拠点ができました。厩舎から大量に出され
る敷わらを有効活用したマッシュルーム栽培です。この敷きわらこそが、おいしいマッシュルーム
作りには欠かせないもので、排出された敷わらをコンポストセンターで水と鶏糞、石灰を混ぜて堆
肥を作ります。この堆肥を使って培地を作り、マッシュルームの種菌を接種して栽培を行っている
のです。

この美浦村と隣県の千葉県香取市の2か所に生産拠点を持っているのが芳源マッシュルーム(株)
です。ここでは、年間約3,470tのマッシュルームを出荷しています。その数は国産マッシュルーム
生産量の1/3に相当するといわれます。ここではギガマッシュルームを生産していることでも有名
です。マッシュルームの普及にも熱心で、積極的に展示会などへの出展を通じて普及に努めています。

<芳源(よしもと)マッシュルーム(株)のマッシュルーム>

マッシュルームの栽培で大事なのが「培地」、マッシュルームが育つ土台となる土作りです。マッ
シュルーム栽培を始めて50余年の芳源マッシュルームでは、2010年より日本初となるオランダ式の
マッシュルーム用培地製造システムを導入し、発酵ムラを少なくして、生産期間を短縮。それによ
り、マッシュルームの品質が向上し、収穫量も増えたのだそうです。培地は、馬厩肥(馬の敷きわ
ら)に水分を含ませ、十分湿ってきたらそこに鶏糞と石膏を混ぜ、バンカーと呼ばれる発酵槽に入
れ、温度を上げます。微生物の働きを活性化させるためにそのバンカーから別のバンカーへと何度
も移し替え、その後、低温殺菌などを行い、種菌を混ぜてから15日でようやく栽培室へ。そこから、
マッシュルームが成長し最初の収穫までに約3週間かかります。さらにより時間をかけて育てると、
芳源マッシュルームの培地のクオリティがとても高いため、ジャンボマッシュルームが千個の内
1個の割合で育ちます。そして1万個の内1個の割合で直径1 3cm以上のギガマッシュルームも出来
るのです。茨城県が生産量4位にランキングしているのは、この企業の生産能力がけん引しています。

(こだわりの無農薬)

芳源マッシュルームは完全無農薬。フランス産の種菌を使うので肉厚で、特に採れたては香りが良
く甘味が強いのが特長です。マッシュルームはきのこ類の中でもデリケートで栽培が難しいと言わ
れています。細やかな温度調節に加え、雑菌・害虫対策の衛生管理を欠かすことができません。
マッシュルームは育て方ひとつで香りや味を変える正直な食材。農薬を使えば、管理は楽になりま
すが、成長したマッシュルームからは薬品の臭いがします。芳源マッシュルームでは、美味しいだ
けでなく安全・安心なマッシュルームを届けるため、農薬を使用せずに栽培、一切の手間と労力を
惜しむことなく、一つひとつ愛情を持って美味しいマッシュルームを育んでいます。

ここのマッシュルームは第47回(2018年)日本農業賞で大賞を受賞した逸品です!日本での消費量
はまだまだ少ないものの、世界では最も食されているきのこです。肉、野菜、魚どんな食材とでも
基本的に相性がよく、時には料理の主役となり、時にはほかの食材の旨みを引き出して、料理をよ
り美味しくしてくれるマルチプレイヤー。ワインとの相性も抜群で、マッシュルームを使用した料
理は、海外のパーティーシーンには不可欠な存在です。風味豊かな味わいを楽しむことができるだ
けでなく、思わず人を笑顔に変えてしまう力を持った茨城県のマッシュルームを是非ご賞味ください。

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