ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

水の精・レイニーとの再会

2017-02-27 07:29:02 | 日記


動物村は一面の銀世界です。氷結の森の洞窟で氷の精・チルノンから、雪だるまを作ればレイニーに
逢えると教えてもらった仲良し3人組は、早速、雪だるまを作り始めました。

ポン吉: ヨイショ、ヨイショ。どうだ、こんなに大きくなったぞ。でも、手が冷たいな~。

ミミ : 張り切って大きな雪玉を二つ作ったけど、こんなに大きくては私たちの力で頭を胴体の上に
     乗せるのは無理じゃない?頭を削って小さくしましょうよ。

コン太: オイ、オイ。途中で、もっと大きくしなくちゃ・・と言ったのはミミだぜ。

ミミ : アラ、そうだったかしら?なんとか、この大玉を重ねる方法を考えましょうよ。

コン太: よく言うよナ~。ちゃんとした考えがあって、ここまで大きくしたんだと思ったのに。
     そうじゃなかったのか。ミミも結構いい加減だな。

ミミ : ゴメン、ゴメン。ネェ、ポン吉はさっきから黙っているけど、いい案はないの?

ポン吉: ウ~ン。難しいな。そうだ!このまま、顔と胴体を横並びでくっつけて、仰向けで寝ている
     雪だるまにしちゃってもいいんじゃない?

ミミ :ポン吉、スゴ~イ!!仰向けに寝ている雪だるま・・・それ、いいわね。

3人組は二つ並べた雪玉の片方に、持ち寄った枯れ枝や石ころで目・鼻・口を作り、更に、葉っぱの帽
子をかぶせました。胴体のほうにもいろいろなものをくっつけて大きな雪だるまを完成させました。
そして、大声で「レイニー、レイニー・・・」と呼びかけました。何回か呼んでいると、仰向けになっ
ていた雪だるまが突然、ブルブルと震え始めました。次には、ゆっくりと頭と胴体が起き上がり、やが
て、まっすぐに立ち上がったではありませんか。

レイニー: やあ、みんな、暫くぶりだったね。僕の体を作ってくれてありがとう。

コン太: レイニーだよ。レイニーが戻ってきてくれたんだ。

ミミ : レイニー、また逢えてうれしいわ。

ポン吉: ネェ、レイニー、聞いてくれる?僕ら、氷結の森の洞窟に行ったんだよ。そこで、チルノンか
     らレイニーの話が出て、急に逢いたくなったから雪だるまを作ったんだ。

レイニー: 君たちがそこへ行ったことは知っているよ。洞窟の中はきれいだっただろう?

ミミ : エェ、太陽の光が洞窟の中の氷筍や氷柱に反射して、虹色に輝いたの。スッゴク幻想的だったわ。

レイニー: それは良かったね。だけど僕はね、この場所でも氷結の森に負けないくらいの幻想的な世界
      をつくることができるんだ。見せてあげようかな?

コン太: ホント!見たい、見たい。でも、ここは一面の銀世界で氷柱も氷筍も何もないよ。

ポン吉: こんな場所で虹色の世界をどうやって作るの?

レイニー: それでは僕と並んで座って向こうの方にある暗い森を見てごらん。背景が暗い方がきれいに見
      えるんだ。さあ、降り出した雪をしっかりと見ていてね。雪がだんだんキラキラと光り出すぞ。

ミミ : ホントだわ、キラキラと輝き出した!ワ~ッ、きれいね。

コン太: すごいぞ。どんどんキラキラが増えてきた。スゴイ!

レイニー: これはダイヤモンドダストと言って、気温が急に冷えてくると、雪が小さな氷の粒になるんだ。
      もうすぐ雲の隙間から太陽の光が射してくるぞ。これからが一番良いところだから、しっかり
      見てね。

コン太: オッ、光だ。光が氷の粒に反射しているよ。

ポン吉: ワ~ァ、太くて大きな虹の柱ができた。きれいだな~。氷結の森に続いて、またすぐに、こんなき
     れいな景色を見ることができるなんて、思ってもいなかったよ。

3人組はしばらくの間、キラキラと虹色に輝くダイヤモンドダストの柱に見入っていました。そして、太陽光
が陰り、その輝きが失われた時、3人組はレイニーに抱きついていました。

レイニー: 満足してくれたようだね。それでは、もう一つ、面白い体験をさせてあげよう。僕のお腹に扉を
      付けておいたから、その扉を開けて中に入ってごらん。

コン太 :これは僕たちが作った雪玉だよ。あんな小さな扉に僕らの体は入らないよ。

レイニー: いいから、いいから、騙されたと思って、扉を開いて中を覗いてごらん。3人組が入れる広さは
      十分にあるからね。

ポン吉: レイニーが言うなら、そうする。まず、僕が扉を開けてみるよ。アレ?近くに来たら急に扉が大き
     くなった。扉が開いたよ。中は明るい。さあ、入ってみるぞ。

続いて、ミミとコン太が入りました。どうしてだかわかりませんが、雪玉のお腹の中に3人共、簡単に入れて
しまったのです。お腹の中は空洞になっていて足元には雪がなく、背丈の低い若草が生え、そこから小さな
花芽がいくつも顔を出しています。

レイニー: どうだい、僕のお腹の中は、もう春だよ。びっくりしたかい?

ミミ : レイニーの声だわ。姿が見えないけど、あなたからは私たちが見えているのね。お腹の中は冷たい
     のだけれど、見える景色は春のようだわ。

ポン吉: 本当に、この中は春のようだ。外の雪景色とは全く違うよ。

レイニー: 外で降っている雪が止むとまもなく、君たちが今、僕のお腹の中で見ているような景色になるよ。
      そうなれば冬眠している友達たちとも再会できるね。

コン太: レイニーはこの景色を俺たちに見せて、春が近いことを教えてくれているんだね。

レイニー: みんなが見ているのは雪の下の景色なんだよ。春はこうして雪の下でじっと出番を待っているのさ。
      寒い冬も、もうすぐ終わるよ。あと少しだ。

雪だるまのお腹から出てきた3人組は、目の前に広がる一面の銀世界を見つめながら、動物村の住民全員が広場
に集まって行なう盛大な「春祭り」に思いを馳せるのでした。
水の精・レイニーのやさしさに触れ、彼との友情がさらに深まったことを実感した仲良し3人組ですが、それと
同時に、春への期待が一気に膨らんできたようです。
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氷結の森の番人

2017-02-20 07:38:07 | 日記


動物村の仲良し3人組はオオコウモリさんから「裏山の洞窟の中に氷結の森ができていて、とても
きれいだよ」と教えられ、勇んで山道を登りました。ポッカリと口を開けた洞窟の前に着いた3人
組はワクワク・ドキドキ。探検は最も興奮する遊びのひとつですからね。

ミミ : こんなところに洞窟があるなんて知らなかったわね。氷結の森って、想像できる?

コン太: お父さんに聞いてみたら、洞窟の天井から長くて太いツララが垂れ下がっているだけだ
     と言っていたぞ。

ポン吉: でも、オオコウモリさんの話だから、絶対に何かがあるんだよ。早く入ろうぜ。

洞窟の中は暗闇ですが、3人組の目は暗い場所でもよく見えるので、どんどん中に入っていきました。

コン太: 石ころだらけで何もないぞ。

ミミ : ここまで中に入ってくると、さすがの私たちの目でも見えないくらい暗いわね。今のと
     ころ何もないわ。違う洞窟に入って来ちゃったのかな?

ポン吉: いや、あそこを見てごらん。ほんのりと光が射しているように見えないかい?もう少し
     進んでみようよ。

3人組が少し明るくなっている場所まで進むと、そこで洞窟はほぼ直角に曲がっていました。光に導
かれるように前進した3人組の目の前に現れたのは大きな空間と、これまでに見たことがない不思議
な光景でした。

ポン吉: これはなんだ?ニョロニョロっとした細くて透明な柱が地面のあちらこちらから突き出て
     いる。冷たいぞ。これは氷だ。地面から生えてきたのかな?

コン太: 天井からも大きな氷がいっぱい垂れ下がっているけど、あれはツララだな。

ミミ : 地面に生えているのが草で、天井から垂れ下がるツララが大木の枝みたいね。オオコウモ
     リさんが教えてくれた氷結の森はここに違いないわ。

氷の精: オイ、君たちは動物村の仲良し3人組だろ。待っておったぞ。

ミミ : ワ~ッ、びっくり!ニョロニョロがしゃべった!

コン太: なんで氷がしゃべるんだ?

ポン吉: 驚かさないでくれよ。どうして僕らのことを知っているの?

氷の精: ワシはここに氷結の森ができる時だけ、番人をしておる氷の精で名前はチルノンじゃ。
     水の精のレイニーからお前たちのことは聞いておったぞ。さっきからお前たちの会話を
     聞いていて、仲良し3人組だと確信したから声を掛けたのさ。

ミミ : 雪だるまのレイニー!レイニーはここに来るの?会いたいな~。

氷の精: そのうち、レイニーにはきっと会えるさ。レイニーから君たちがここに来たら、洞窟を
     案内してやってくれと頼まれておった。洞窟のこの辺りは氷で全て繋がっているので
     ワシはどこにでも移動できるのじゃ。ただし、ワシは行く先々で、その場にある氷と同
     じ姿に変身するから驚かないでくれよ。

ポン吉: それは大丈夫だよ。僕たちは雪だるまのレイニーの変身ぶりをこの目で見たんだ。

氷の精: それならば良い。今、お前たちがニョロニョロと言っていた氷の柱は氷筍だ。天井から
     落ちてきた一滴、一滴のしずくが急激に冷やされて氷となり積み重なっていったのじゃ。
     天井から垂れ下がっているのは君たちが話していた通り、ツララだ。

コン太: アッ、氷筍の上にしずくが落ちた。ワ~、もう氷ったよ。そうか、こうして氷が積み重
     なってこのニョロニョロの氷筍はできるんだね。

ミミ : いっぱいできているのは、それだけ水滴があちらこちらから落ちているということなのね。
     天井のツララは水が下に落ちないで氷になっているのね。どうして、氷結の森ができた
     のか納得したわ。

氷の精: ちょうどよい時間がやって来た。ゆっくりと天井を見てくれ。どうだ、キラキラと虹色に
     少しずつ輝いてきただろう。洞窟内が最も美しく輝く瞬間がやってくるぞ。

コン太: ウワ~、ほんとにキラキラしてきた。きれいだな。虹色に輝き始めた。さっきまでと全然
     違うよ。どうしてなの?

氷の精: 太陽が真上に差し掛かると、太陽の光が岩の隙間からこの洞窟にまっすぐに入ってきて、
     この場所を照らすんだ。太陽が移動すると、このキラキラは見えなくなる。

ポン吉: まるで僕たちは虹色の光の中にいるみたいだ。

氷の精: それでは、いよいよ私の自慢を紹介しよう。ここじゃ。どうだ!何に見えるかな?

ミミ : ウ~ン。もしかして、これは蓮の花?氷でできた蓮の花じゃないの?

氷の精: そうじゃ、蓮の花じゃ。よくわかったね。これはワシが岩の窪みを利用して、氷を成長さ
     せて作ってみたものじゃ。よくできているかい?今、光の赤色だけを集めて花に当てるぞ。
     どうだ。

コン太: アレ~ッ、すごい!花が赤くなったよ。本物みたいだ。すごいものを作ったね。

氷の精: そうか。実は本物の蓮の花は見たことがないんじゃが、レイニーから詳しく聞いて想像し
     ながら作ったんじゃよ。褒めてもらえて嬉しいよ。

氷の精・チルノンから他にもたくさんの氷の話をしてもらった3人組にとって、大満足の「氷結の森
探検」でした。動物村の仲良し3人組にまた新しい友達ができました。
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霞ヶ浦で冬鳥のバードウォッチング

2017-02-13 07:42:49 | 日記


晴天でしたが、時折、筑波おろしの冷たい強風が吹きつける日に、老夫婦がカメラとビデオを携えて、
鳥たちを観察するために霞ヶ浦湖畔にやってきました。

夫: たくさん居るよ。どの鳥も筑波山に向かって頭を揃えているのがなんだか面白いね。

妻: 校庭に並んで校長先生のお話を聞くマンモス小学校の生徒のようだわ。でも、ここから見ると白い
   鳥と黒い鳥しか見えないわね。白いのはカモメ?黒いのはバンかな?

夫: 確かに白と黒が目立つね。白いのは、多分、ユリカモメだな。彼らだけがこの強風でも活発に飛び
   回っている。この鳥は夏でもここに来れば見られるから、すでに留鳥になっていると思ったけど、
   今は夏場より何十倍も多い。やはり、ここにいるユリカモメたちの大部分は渡り鳥だな。

妻: どうしてユリカモメだと分かるの?

夫: くちばしと足が赤いからだよ。それがユリカモメの特徴なんだ。他の鳥たちは水面から飛び立とう
   としないのに、ユリカモメだけはこの強風下でも元気に飛び回っているね。

妻: 黒いのはバンだと思うけど、バンにはバンとオオバンがいるのよね。どちらかな?

夫: あの群れはオオバンだと思うよ。ビデオをズームして見ると、すべての鳥が黒く、くちばしから頭
   のてっぺんにかけて白い。これはオオバンの特徴だ。オオバンは日本にいる時は非繁殖期で、この
   期間は群れを形成する習性があるんだってさ。主食は水生植物だ。一方で、バンのほうは単独行動
   をする留鳥で、主に田んぼや湿原などに生活の場を持っているんだ。

妻: 黒い体に白い額のトレードマークが見えるわ。バンとオオバンの違いは今の説明で納得したわ。
   これほどたくさんのオオバンを見たのは初めてね。

夫: あそこにはオオハクチョウとコブハクチョウがいるよ。仲良しみたいだ。

妻: 越冬のためにやってくるハクチョウにはコハクチョウとオオハクチョウの2種類がいるわよね。
   どうして、あそこにいるのがオオハクチョウだと言えるの?

夫: ハクチョウついては自信がなかったので、来る前に調べてきたんだ。それによると、オオハクチョ
   ウとコハクチョウの違いは、くちばしの黄色と黒の広さの割合にあるんだ。黄色い割合が高く、黄
   色が鼻孔まで届いているのがオオハクチョウ、黒い部分が多く、黄色が鼻孔まで届いていないのが
   コハクチョウだ。両方が並んでいると名前の通り体の大きさが違うからわかるそうだ。

妻: 今、カメラの液晶画面を拡大して見たら、確かに、くちばしの黄色い割合が大きく、鼻孔まで届い
   ているわね。あれはオオハクチョウで間違いなしね。

夫: 一緒にいるのがコブハクチョウだ。くちばしが赤くコブがあるから、オオハクチョウやコハクチョ
   ウと間違えることはないね。

妻: でもなぜ、あそこにコブハクチョウがいるの?渡り鳥としてここへ来たのかしら?

夫: ハクチョウの仲間は世界に6種類いるけど、日本へ渡り鳥としてやってくるのはオオハクチョウと
   コハクチョウの2種類だけだそうだ。我々が通年、河川で見ているハクチョウはコブハクチョウで、
   観賞用として輸入されたものが野生化した外来種なんだ。だから多分、あそこにいるのはここに住
   みついているコブハクチョウだと思うよ。

妻: ハクチョウたちはどのくらいの日数をかけて日本へ飛んで来るのかな?

夫: オオハクチョウは3,000㎞、コハクチョウは4,000㎞も日本から離れた北緯50度以北のシベリアか
   ら2週間をかけて渡って来るそうだ。そのコースは、カムチャツカ半島から千島列島を経て北海道
   へ渡るコースと、サハリンを経て北海道へ渡るコースがあるそうだ。

妻: そうだ、思い出した!国の天然記念物に指定されているオオヒシクイというガンの仲間がこの辺り
   で越冬していると、新聞の記事で読んだわ。

夫: 彼らの主食は穀物だから、干拓地にいるんだ。だから、ここにはいないさ。

妻: そうなの?残念。水面をよく見ると、カモたちもたくさんいるわね。オオバンとユリカモメが目立
   っていたけど、カモも結構いるわよ。それもいろんな種類が。
   私が知っているカモはカイツブリ、マガモ、オナガガモ、それに・・・

夫: オッ、急にユリカモメが集団で飛び始めたぞ。ものすごい騒ぎだ。

妻: あそこで、餌をバラ撒き始めた人がいるのよ。飛びながら空中で餌をキャッチしているのはユリカ
   モメだけね。オオバンたちは落ちた餌をついばんでいるわ。この強風では飛ばないのが賢い選択な
   んでしょうね。アレ?ドサクサに紛れて、鳩も加わって飛んでる。

夫: きっと、いろんな人が餌を撒きに来るんだろうね。そうしたことも要因となって、この辺りにこれ
   だけの数の鳥が群がっているのかもしれないよ。渡り鳥は冬場になって食べ物がなくなるので、仕
   方なしに大変な思いをしてここまで渡って来るわけだから、餌に困らないでいられるのは嬉しいだ
   ろうね。

妻: 湖畔のすぐそばに車道があるから、車を止めて窓を開け、餌を湖に投げ込んでいる人もいるわよ。
   ほら、あそこ。演歌を歌いながら・・・っていうとこが傑作ね。

夫: 随分、大きな声で歌っているね。自信満々の歌いっぷりだ。

妻: 鳥たちに聴かせたいのかな~

老夫婦たちは近い将来、鳥の観察会に参加して、もっとしっかり勉強したいと話しながら、水鳥たちの
集う場所を立ち去りました。

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冬のモンキチョウ

2017-02-06 08:12:27 | 日記



一月末から厳しい冷え込みが続いたあと、久々に暖かい日差しが庭に降り
注ぐある日のこと。スイセンの香りを楽しんでいる老夫婦の目の前をヒラ
ヒラと横切ったものがありました。

妻:モンキチョウだわ!今日は暖かいけど、先週は雪がチラつくほど寒かっ   
  たわよね。冬眠しているものとばかり思っていたのに、こうして飛び  
  回っているなんて。今日の暖かさで、春になったと勘違いして羽化し  
  ちゃったのかな?明日からは再び寒波が来る予報なのに、大丈夫なの
  かな~?

夫:モンキチョウは昔から春一番に飛ぶ蝶として知られていて、多くは3月
  ~12月にかけて3~4回の世代交代をするパターンなので、幼虫で越冬す   
  る蝶の仲間ということになっているようだ。
  でも、まれに12月頃に羽化したものが、椿の葉の裏などで寒さをしのぎ
  つつ、暖かい日には日光浴のために飛び回ることがあるらしい。
  それに冬でも暖かい日が続いた場合には羽化することもあるようだね。
  この結果、一年中見ることができる蝶ということで、オツネンチョウ  
  (越年蝶)と呼ばれていた時もあったんだ。

妻:オツネンという言葉は懐かしいわ。自然観察の森の観察会で初めて越年
  トンボを教えてもらって、実際に本物を見て感激したわよね。
  でも、越年蝶っていうのは初耳よ。

夫:モンキチョウのオスは黄色なんだけど、メスには黄色型と白色型がいて
  ね、この白色型のメスはモンシロチョウと間違えやすいよ。
  そのうえ、オスの黄色とメスの黄色も似ているんだ。見分けにくいよ
  ね。蝶の中では飛ぶスピードが速いのも特徴のひとつだ。

妻:黄色いモンキチョウが一羽だけ飛んでいるのを見てオス・メスを正確に   
  判断するのは難しく、白い蝶の場合はモンシロチョウとの区別するのも  
  難しいってことね。

夫:そういうことになるね。この時期に田んぼのあぜ道などを散歩している
  と、モンキチョウ以外にもいろいろな蝶を見かけるから、モンキチョウ
  だけが特別に冬空を舞うわけではないよ。これまでにもこの時期に蝶の
  写真で撮ってきたじゃないか。

妻:そういえば、キチョウやタテハ蝶の仲間、それにシジミ蝶たちも見てい
  るな。こうして思い返してみると、モンキチョウだけが特別というわけ
  ではないわね。

夫:冬季でも田んぼのあぜ道にはオオイヌノフグリ、ホトケノザなどが咲い
  ているし、時にはスズメノエンドウやタンポポの早咲きを見かけること
  があるから、花蜜にはありつけるんじゃないかな。

妻:蝶は南方からの渡来と聞いていたから、寒さには弱いと思っていたんだ
  けど。

夫:すべてが南方渡来ではないようだよ。モンキチョウの仲間は北方起源だ
  と思われていて、寒さには強いそうだ。
  もしかすると、モンキチョウの仲間は休眠する性質を徐々に失って年中
  発生するようになり、ゆっくりと南方に分布を拡げてきたのかもしれな
  いな。

妻:そうだ!成虫の姿で越冬する蝶として真っ白い姿のウラギンシジミを見
  たことがある。垣根の葉の裏に数匹が集団で越冬している姿を目撃した
  わ。成虫の姿で飛ばず越冬する蝶がいることはこの目で確認済みよ。

夫:大部分の昆虫は卵や蛹(さなぎ)で冬を越すけど、それは卵や蛹が丈夫
  な外皮に覆われていて暑さや寒さに強いし、卵や蛹の間は食べ物を捜す
  必要もないからね。
  けれども、幼虫や成虫で冬を越す昆虫もけっこういるよね。そういった
  昆虫たちは土の中や落ち葉の下や樹皮の隙間に入り込んで、寒さを避け
  ているんだろうな。

妻:厚くて、丈夫なヨロイを持つ甲虫たちが成虫で越冬するのは分かるけ
  ど、頑丈そうには見えない蝶が成虫で越冬するには、葉の裏などに止
  まって、ひたすら寒さに耐えるしかないのね。そして、暖かい日には日
  光浴に出てくる。それを私たちが目にして、「こんな寒さの中で飛んで   
  いる!」と驚いたり、心配したり・・・

夫:越冬した蝶たちの翅は春にはボロボロになっているんだ。厳冬を乗り越
  えた蝶の勲章だね。ボロボロになりながらも、彼らは生き残りの戦いに
  勝ったんだ。春になれば、シロツメグサ(クローバ)、アカツメグサ、
  タンポポ、レンゲ、ハルジオン、ヒメジオン、アメリカセンダングサな
  ど色々な花が一斉に咲いて迎えてくれるからね。頑張れば必ず春は来る
  んだよ。

妻:いつだって最後は教訓に結び付けるから、急につまらない話になっちゃ
  うのよね。気分を変えて、お茶でも飲も~~~
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