日本の問題と解決策を考える

一石五鳥の地球温暖化防止策を考える
 
日本の真の活性化を考える  吉川忠雄

アメリカでTPPに反対の立場をとっている記事の紹介

2011-11-09 14:42:06 | 日記
TPPのニュースが連日報道されています。
日本にとってメリット、デメリットがあるこの協定ですが、主導的立場のアメリカでもそれは同じこと。
高い人件費に押されて様々な仕事が海外に流出する危険があるという点では、アメリカと日本は良く似ているといえます。
アメリカでTPPに反対の立場をとっている記事を紹介します。

<<2度目の大搾取?
太平洋版NAFTAが始まればすぐに何百万もの仕事がアメリカから流出するだろう。

アメリカは史上最大となる自由貿易協定を推し進めているが、それについて見解を示したニュースはほとんどない。

何年も前、ロス・ペロー(アメリカの実業家、政治家)はNAFTA(北米自由貿易協定)が始まれば”大搾取”が起こり、何百万もの仕事が他の国に流れるだろうと警告していた。

そして彼が正しかった事が証明されたのだ。

火曜日、環太平洋パートナーシップ(太平洋版”NAFTA”とも言われている)の第2回目の交渉がシカゴにて始まる。
(訳注:この記事は2011年9月7日のもの)

我々はオバマがパナマ、韓国そしてコロンビアとの自由貿易協定を強く進めて来たのを既に見ているし、この政権は環太平洋パートナーシップ(以下TPP)の優先度を非常に高くしている。
太平洋版NAFTAのメンバーシップは既にブルネイ、チリ、ニュージーランドにシンガポールが入っている。
アメリカ、オーストラリア、ペルー、マレーシアそしてベトナムが参加計画中だ。
そしてカナダ、日本そして韓国がメンバーになる事を検討している。

さて、今一度この”自由貿易協定”が批准されたなら、我々は何百万もの職が海外に奪われる”大搾取”の音を再び聞く事になるのだろうか?

一見するとこれは複雑なようには見えないだろう。

もしあなたがアメリカの巨大企業だった場合、あなたはここ(アメリカ)で物を作ることも出来るし、海外でもっと安い値段で作ることもできる。

貪欲な企業の幹部にとって、業務を海外に移転する事は多くの利点がある…

・多くの諸外国では奴隷のような賃金で働かせるのは全くの合法だ。

何でアメリカの労働者に地球の裏側の労働者の10倍から20倍もの賃金を払う必要がある?

・多くの諸外国では労働者の健康についてケアする必要がない
・多くの諸外国では環境規制について心配する事が無い
・多くの諸外国では労働規制について心配する事が無い
・多くの諸外国では”お役所的手続き”に対処するのはアメリカ向けの時だけだ

我々は自分たちから遠く離れた異なる社会経済と我々の経済を融合させる事で、米国経済にとって非常に破壊的である”低価格競争”を生み出したのだ。

ベトナムでは時給1ドルというのは非常に良い賃金と見なされている。

これに対してどう対抗するというのだ?

この”自由貿易協定”は、アメリカの労働者のジューシーな賃金に対して直接的な大打撃になる。

TPPの目標が2015年までに加盟国間の貿易における関税を0にする事なのは明らかだ。

”自由貿易”の支持者達は間違いなく喜んでいるだろう。

我々は海外からの安い製品が洪水のように押し寄せてくるのを楽しんでいるんだ。

支払いが少ないのはいい事だよ、と。

しかし、この安い価格が非常に高いコストを連れて来る。

我々はアメリカ経済を文字通り破壊しているのだ。

適当な店に入り、売られている製品を裏返してみたら、今ではほとんど全ての物が海外で作られている事が分かるだろう。

もし我々の国から二次産業が流出し続けていったら、我々の繁栄は消滅してしまうだろう。

もしアメリカの人々が今の状態を維持し続けて行ったら、アメリカの労働者の生活水準は第三世界の国々の労働者のレベルに向って落下していく事になるだろう。

”Citizen Trade Campaign(市民による貿易運動)”のエグゼクティブディレクター、Arthur Stamoulisはこの新しい自由貿易協定に反対する理由についてこう述べている…

彼ら(政府)は我々の仕事を海外に持っていこうとしている。

彼らは課税ベースを縮小したが、我々の賃金と手当てを引き下げた。

アメリカの製造業は過去数十年で大規模な減少を見せている。

もう充分だ。

オバマ政権がアメリカで雇用を増やす手段として”自由貿易協定”を進めている事は、全くもって驚きだ。
悲しい事に半数以上の州では未だに彼を支持しており、次回の選挙でも彼は当選するだろう。

2000年の12月から2010年の12月までの間に、オハイオ州では38%の製造業が無くなり、ノースカロライナ州では42%が失われ、ミシガン州では48%が消えた。

その答えが我々の職を更に海外に移すことなのか?

伝統的に、製造業の仕事というのは中流階級の家庭を支えるための高収入の仕事だった。

しかし、今我々は何百万もの職を失おうとしており、オバマ政権はそれを全く気にしていない。

1970年代、アメリカでは25%の人々が製造業に就いていた。

そして今、アメリカ国内で製造業についているのはたったの9%だ。

アメリカはワープの速度で非工業化しており、ほとんどのアメリカ人が何が起こっているのかすら理解すらしていない。

オバマの言い続けている”次世代の仕事”、”エコビジネス”が真実だったとしても、それはこの国から急速に流れ出しているのだ。

例えば、世界第三位のソーラーパネル企業であるアメリカの”エバーグリーン・ソーラー”はアメリカから離れている。
エバーグリーン・ソーラーはマサチューセッツの工場を閉鎖し、800人のアメリカ人従業員を解雇し、中国に事業を移している。

『New York Times』の記事で、エバーグリーン・ソーラーは中国への移転についてこう説明している…

エバーグリーン・ソーラーは中国への移転について、異様なほど率直だった。
CEであるMichael El-Hillowは他の企業によるソーラーパネル価格の急落からマサチューセッツの工場を閉鎖する事を決めたと言う。
この三年間で世界における価格は三分の一に、昨年の第四半期だけで10%も下落していると。
中国での製造によって価格を大幅に下げる事が出来たとMichael El-Hillowは言う。
中国は製造コストも安く、政府と国有銀行から大幅な援助を受ける事もできたからだと。

我々は”未来のための仕事”を失い、オバマはそれに対して何もしていない。

昨年、世界で製造されたソーラーパネルはその半数以上が中国産だ。

中国は間違いなく世界経済の舞台で我々を殺そうとしており、オバマはそれが問題であると考えていないようだ。

2010年のアメリカの対中貿易赤字は1990年に比べて、27倍に膨れ上がっている。

それだけではない、現在アメリカは中国では1ドルの価値の製品やサービスに対して4ドル以上を費やしているのだ。

だからオバマの言い張るナンセンスな雇用創出は聞いていられない。

といって、共和党により良いアイディアがあるわけでもないのだが。

現実として、政治家は我々に嘘をついているのだ。

グローバリズムは間違いなく我々の経済を破壊している。

アメリカがかつて自動車やトラックのメーカーとして世界を支配していた事を覚えているだろうか?

そして2010年、アメリカの自動車やトラック部品に対する貿易赤字は1,100億ドル(約8.6兆円)にも登っている。

我々はおおよそ名前のついているほとんどの製造業でその基盤を失っているのだ。
”明日の仕事”すらも、ほとんどが海外で作られている。

インテルの前CEO、Andy Groveは、我々次世代テクノロジー企業は、アメリカよりも遥かに多くの雇用を海外で生み出していると言っている…

Foxconnの25万人の従業員が中国南部でAppleの製品を作っている。

一方、米国でのAppleの従業員は2万5千人だ。

これはアメリカでのアップルの従業員全員に対してiMac、iPod、iPhoneを作る10人の中国人従業員がついている事になる。

この10対1の関係はDell、HDDメーカーのシーゲートや他のアメリカハイテク企業でも同様だ。

いつになったらアメリカは目覚めるんだ?

”次世代テクノロジー”の仕事すら失ったら、我々には何が残っているんだ?

2002年、アメリカの”先端技術製品”の対世界貿易赤字は160億ドル(約1.2兆円)だった。

2010年、その数字は820億ドル(約4.2兆円)に急増している。

それが良い傾向でないのは言うまでも無い。

我々の政治家は”グローバル経済”とは我々により多くの雇用と繁栄をもたらす事だと約束した。

それが巨大な嘘だったのは明らかだ。

我々が”自由貿易”というナンセンスを許可し続ける限り、我々の失業の悪夢は悪化し続け、かつてのデトロイトのように巨大な都市が地獄に飲み込まれるのを見る事になるだろう。

悲しむべき事に、我々の政治家は両政党ともこの”自由貿易”協定に賛同している。

ほとんどの人物が、我々の抱える問題の”解決法”としてこれを推進しているのだ。

米国経済は今まさに目の前で非製造業化されているのだ。

この事について話をしようと思っているのなら、今がその時だ。

何故なら最早手遅れになりかけているのだから。>>

・・・結局、米国でもグローバル大企業と大農場・大牧場経営者たちだけが大いなる利益にあずかり、労働者・失業者・若者たち等々には大損失が・・・国としても不利益が・・・と言う主張です。

もっとも、オバマ政権は同時に歴史的なドル安政策を採って輸出競争力を復活させようとしています。

米国の今の製造業にどこまで有効かは・・・?ですが。

一方、韓国政権はドル以上のウォン安政策で輸出立国を目指しています。

自動車・家電その他の工業製品で低価格によって米国市場を狙う韓国輸出大企業と・・・それ以外の分野で韓国市場を狙う米国・・・・

日本にとって「自由貿易」までは良いとして、通貨安競争に加わらないどころかデフレから抜けだそうとせず超円高になっている日本にとって「関税ゼロと米国的ルールの貿易」が果たして??・・・

超円高のままだと・・・TPPで農畜産業は?・・・改革は?・・・所得補償が可能か?

2011-11-09 13:15:15 | 日記
農林官僚と農協幹部たちの数十年間の不適切極まる政策や対策を考えれば、今の「農業も国際競争すれば、強くなる」と言う考え方には確かに一理あるのですが・・・

それはもっと円安の状況でなら、「農家への所得補償」に加え、「大いなる知恵を出し、大変な改革努力をする」と言う条件付きで、可能でしょう。

しかし、今のような超円高のままだと(この分ではもっと円高になりかねない情勢にある)富裕層向けの高級品とか、希少価値のあるものとか、一部のものは輸出も増やせるでしょうが、・・・それ以外の大半のものは低価格競争に呑みこまれ、対抗できずに窮地に追い込まれる恐れがあるでしょう。

「農家への個別所得補償」で支えるとしても、それに何兆円掛かることになるか・・・

「財政的に無理」となる前にどれだけ農業が変われるか・・・方法はあるのだが・・・。