木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

中山道の道幅に驚く

2016年11月03日 | 江戸の交通
東海道五十三次が陽の道だとすると、中山道六十九次は陰の道である。
東海道にある大井川の渡しや七里の渡しのような川や海の難所はない代わりに、木曽の険しい山々や、冬には厳しい寒さが待ち受けていた。
現在、岐阜県にある中津川は、江戸から数えて四十五番目の宿駅である。
町並みには卯建(うだつ)の上がる商家が並び、商都としても栄えた場所で、今の景観からも往時が忍ばれる。
その中津川の中山道の途中に、非常に細い道がある。
今はほんのわずかに残っているだけで、気を付けないと見落としてしまうが、この細い道も紛れもない中山道であった。
中津川の本陣のあったあたりの道は、かつての道をなかなか忠実に再現している。
道は何回か直角に曲がっているが(枡形)、これは外部から中心部が見渡すことができないようにとの意図から為された工夫である。
前述の細い道も、細いうえにかなりの勾配が付いている。
これも一度に多くの人間が押し寄せられないようにする軍事的配慮からであった。
この細くなった場所には番人が詰め、通行人を監視した。
軽自動車も通れないくらい狭い道幅であり、一見すると「これが天下の中山道の一部か」と驚くものの、よく考えると、理にかなったものであると分かる。



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