池袋から西武池袋線に乗って一つ目の駅、椎名町は自分にとっては「特別」な町である。
もちろん、池袋も「特別」なのだが、椎名町は日常の中での特別な場所。
池袋は、ちょっぴり「ハレ」の町。
頭を抱えたくなるような失敗や、胸が痛くなるような思い出や、心浮き立つような、いわば激しい思い出の町。
椎名町は、もっと穏やかな思い出。
その中で、商店街にある「春近書店」には、何度足を運んだであろう。
店先には1冊50円の棚があり、ここでは数えきれないほどの本を買った。
今、考えると、運命的な本にも出逢っている。
一番好きな作家である海老沢泰久。
「監督」を買ったのは、表紙が魅力的だったから。
ロバート・B・パーカーの「初秋」。
スペンサーものの最高傑作と言われる本も単に「50円だったから」に過ぎない。
アーウィン・ショーの「夏服の娘たち」。
これも何気なく手にとった一冊だった。
中山千夏の「恋あいうえお」。
いつの間にか紛失していたものを、昨日、アマゾンで再入手した。
その中には今読んでも決して色あせない文章の数々。
この「近春書店」に限らず、どこで買ったかと覚えている本がある。
そういった本はかなりの確率で、今も自分の座右の本となっている。
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スペンサーものの最高傑作と言われる本も単に「50円だったから」に過ぎない。
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中山千夏の「恋あいうえお」。
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