東日本大震災から10年が経過。
あの震災が発生した年の前年、退職して念願だった車中泊旅行に出た。
北海道から津軽海峡を渡るのは一大決心がいる。
飛行機でヒョイと飛ぶ人には理解できない感覚。
船で渡る本州は遠い異国なのだ。
青森から八戸へ出て、以後は海岸線に沿って陸中海岸を南へ向かった。
まさか翌年、大津波に襲われるとは知らずに何回もシャッターを押した。
ひょっこりひょうたん島のモデルと云われる大槌町の蓬莱島で釣りをしていた子供達は無事なのだろうか。
GSで洗車してくれたバイトのお兄さん。
高田松原でデートしていた二人。
マリンパル女川で一生懸命説明してくれたお姉さんもきちんと避難できたのだろうか。
今でも気になっているのはそればかり。
あれからもう10年経った。
テレビで見た恐ろしい津波の映像が何度もフラッシュバックする。
私の町近くにも地震のエネルギーが溜まっていると云われる。
玄関には車中泊旅行で使ったキャリーバッグが避難用の衣服を詰めて置いてある。
邪魔くさいけれど、でも地震が来た時にはこれを持って逃げる。
あの記憶に刻まれた津波の映像が私を助けてくれるかも知れない。