春の暖かさとともに工房にも4人の新メンバーが増えた。新しい人が増えると迎える側も新鮮な気持ちになるものだし、刺激も受ける。今回入った山口さんが面白そうな道具を持っていた。マジンガーゼットのような機械仕掛けの風貌だ。
竹の巾をそろえるのに使う道具である。2本のナイフを固定して巾を決め、その間を竹を通すことで巾をそろえていく。私などは2本のナイフを手加減で銀杏の木に打ち込み巾を決めるのだが、何気なくやっているこの作業を機械仕掛けにすると大げさなものになる。それに、機械の場合は融通が利かない。刃の巾や高さ、角度が変えれるようだが、刃物の切れ具合や竹の食い込みなどを考えると、かえって、機械に頼るより体で覚えてしまったほうがどれほど簡単か? 道具も小さなナイフを2本だけ、実にシンプル。このシンプルさを使いこなすまでには基礎技術がいる。簡単そうに見える技が実は難しい。この巾取りをするまででも、割ったり、剥いだりの繰り返しである程度自分の作ろうとするヒゴに近いものまでは手加減で作りこなせなくてはならない。毎日の反復練習で体に覚えこませていく。取ろうとするヒゴのイメージを頭に置いて、繰り返し繰り返し体で覚えるしかない。一度、思えてしまったものは生涯自分の財産だ。
新人さん達に、いきなり高度な作品が作れるわけではなく。基礎技術の習得。機械に頼らず、竹割り包丁で割り、剥ぎの技術をつけて貰わないことには話しにならない。
私がいつも言うのは「3ヶ月、頑張って下さい。」最初の3ヶ月で工房の雰囲気や流れもある程度判って来ます。精神的にも少し落ち着いて、自分のペースができてきます。体も慣れてきて一日中同じ作業をしてもそんなにキツクなくなります。向いていない人は最初の1ヶ月も続きません。3ヶ月頑張れたら1年は続けれます。1年頑張れたら、初めてスタートラインに立つ事ができます。なんにしても、基礎技術をつけるまで大変ですよ!頑張ってください!