高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

漆塗り 3

2009年03月16日 06時01分17秒 | 竹細工作業工程

漆というのは、乾いた所では乾かない。ちょっとヘソ曲がりなのだが、素人考えで考えると、乾燥していたほうが乾くように思えるのだが、漆の場合は逆で、湿気が無いと乾かないのだ。適度な温度と湿度があると、どんどん乾いていく。一度乾いてしまえば、乾燥していても、いなくても変わりなくなる。

314_001 漆は生きているのだ。適度の温度と湿度が漆のエネルギーになっている様だ。私の所では、「室」という乾燥器に入れて乾かしている。廃材を利用して、開け閉めにはサッシの窓を付けた。回りを保温のため、暑さ3センチくらいの発泡スチロールで囲い、保温力を高めてある。窓ガラスの部分にも発泡スチロールを貼ってある。これは結露しないようにする為だ。以前、ガラスに発泡スチロールが貼ってない時に、結露した水滴が漆を塗った作品に落ち、大失敗したことがあるのだ。

314_003「室」の中には、電気ヒーターのシートが入っており、その上にスポンジを置く、スポンジに水を含ませ、ヒーターの電気を入れると、暖かくなり少しずつ湿度が上がっていく。これも、いろいろ失敗してこの方法に行き着いた。

昔、竹細工を始めたばかりの頃は、ダンボールに霧吹きで湿らせ、毛布などで囲ってやっていた。もう少し、量が多くなってきた頃は、お風呂場の中に手すりを付けて、家族みんなが風呂に入った後にぶら下げたものだ。それも、時たま、湯船の湯気が直接作品に当たったりすると、白く漆が焼けたりして失敗をしたものだ。

これ位の大きさの「室」を専門業者で注文すると、おそらく100万円位するだろう。しかし、私の所では廃材やサッシなどで自作したので、全部で5万円くらいで作ることができた。

314_010 最後に、部屋を暖めているストーブ。このストーブももう20年くらい使っている。古くて汚いが、暖めるという仕事だけを考えれば、十分役に立つ。最近のストーブより、シンプルで丈夫な可愛いヤツである。

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