日曜日の朝を尾瀬、鳩待峠の駐車場で迎えました。天気はあまり期待していなかったのですが、予想に反してご覧の晴天です!紅葉シーズンを迎えてまだまだ観光客は多いようで、今朝も4時には満車となったそうです。満車になると標高で500m下の戸倉駐車場まで戻らなくてはいけません。戸倉には、鳩待峠が満車であれば表示が出ている(昨日、お風呂の方に教えてもらった)のでご注意ください。
今日は予定通り、鳩待峠から尾瀬ヶ原に200mほど下り、山の鼻から至仏岳に登り、鳩待峠に戻る周回コースとしました。距離もさほどではなく、紅葉の尾瀬をしっかり楽しもうと思います。何しろ、昨日の武尊山で最近のオーバーペース(むしろオーバーヒート)を感じ、疲れによる怪我を心配していることもあります。
尾瀬ヶ原に向かう道から至仏岳が顔を出しました。紅葉と、朝焼けが映えます。昨日、鳩待峠まで登る道は、紅葉が素晴らしく、夕暮れの紅葉の海をかき分けて進むような感覚を味わいました。
尾瀬ヶ原に降る道もご覧の素晴らしい紅葉ですっっっ!!
今日の天気は変わりやすく、太平洋側と日本海側の分水嶺にあたるこの辺の天候は読みづらい。天気のよいうちに早く山頂まで行ってしまおう、と昨日からの反省をすっかり忘れさせるこの光景です。
鳩待峠から尾瀬ヶ原に流れ込む川上川に注ぐテンマ沢に架かる橋からは息を呑むような紅葉を見ることができました。広角のレンズで撮影したい場所ですね。
40分ほど降ると尾瀬ヶ原の入り口、山の鼻に着きます。ここから方向を西に変えて、至仏岳への登山ルートに入ります。湿原には朝靄がかかり幻想的です。ここから山頂まで水平距離2kmで標高差が800m、平均斜度40度の急登が始まります。さらに、この山は蛇紋岩に覆われていて、特に濡れると無茶苦茶滑ります。オーバーヒート気味の体には堪えます。アポイ岳や早池峰山も同じような地質だそうです。
それでも振り返ると朝霧と草紅葉の尾瀬ヶ原とその向こうに燧ヶ岳が見えます。これ以上を望むべくもない、光景です。この燧ケ岳の右側に尾瀬沼があり、その水は尾瀬ヶ原に注がれます。尾瀬ヶ原の水は、燧ヶ岳の左側を通って只見川となり、阿賀野川となって日本海に注ぎます。鳩待峠から流れる川上川も尾瀬ヶ原経由、日本海に流れ込むのです。そう、鳩待峠は、まさにその分水嶺となっていて、北側に降った雨は尾瀬ヶ原経由日本海に、南に降った雨は、片品川となって、利根川となり、太平洋に流れ込みます。昨日、戸倉からは、片品川、利根川に合流する津奈木沢沿いの林道を登ってきました。
これが恐怖の蛇紋岩。雨の日の登山はやめた方が無難です。岩のグリップを使って登れないのは、相当な負荷を体にかけます。こういう山では、一歩一歩慎重に歩きましょう!
至仏山山頂間近、でもなかなか辿り着きません。それでも晴れている間につけそうです。昨日登った武尊山の遠景をまだ見たことがないため、この山頂からの眺めを期待しています。
8:25、山頂着。登りの最中、暑い暑いと思っていたら、昨晩着込んでいた冬用のアンダーを着たまま登っていました。暑いはずです。おかげさまで山頂ではTシャツ一枚で。今日は風もほとんどなく最高の状態でした。
武尊山全景。右から武尊山、中の岳、家の串山、前武尊山。昨日は手前から中の岳経由、登っています。
北西に越後三山(駒ヶ岳、中の岳、奥に八海山)。少し左に見えるのが巻機山。
巻機山(と信じている)
この時間から北風がガスを運んできてかすみ始めました。谷川岳を期待していたのですがガスがかかって見ることができませんでした。
東の日光白根山と右の皇海山。
山頂の景色を楽しんだ後は、紅葉の山を降ります。帰路は南の小至仏経由、東に折れて鳩待峠に戻る、なだらかなコースです。
途中、小さな湿原が見事な草紅葉を見せていました。
高度を下げるとシラビソの森です。中の楓やぶな、もみじの紅葉を眺めながらのんびり降りながら、この尾瀬と東京電力との関係を思い出しました。「冬の東電小屋」という怪談を昔聞かされました。それは、
「冬のある日、吹雪に巻かれた2名の登山者が尾瀬ヶ原にある東京電力の水量調査のための小屋に避難しました。その吹雪は何日も止む事なく続き、一人の登山者は寒さと飢えで亡くなりました。残されたもう一人は遺体を外の雪の中に埋めました。吹雪はなお続き、小屋から脱出できない登山者がある晩目を覚ますと、外に埋めたはずの遺体が小屋の中に戻っているのです。ぎゃあー」というものでしたが、ググってみても出てきませんでした。雪に親友を埋めたことに対する自責の念が、遺体を掘り出して小屋に戻すのですが、寝ている間にそのことを忘れて驚く、という結末でした。尾瀬は、今の国立公園の40%を東京電力が所有しています。もちろん、かつて、水力が主力の電源であったためで、現在も尾瀬の下流には奥只見ダム、田之倉ダムなど大きな水力発電所が並んでいます。水力が主電源の座から降りて以降、東電はその自然保護に随分力を入れてきて今の景観を保つ原動力となっています。福島の原発事故以来、東電の経営は厳しく、SDGsに力を入れている場合か、という批判もありそうですが、何しろ国が株主ですからこの辺はうまくバランスをとって欲しいものです。
木道にもTEPCO
鳩待峠一帯は大改造されて、駐車場やバス乗り場(シーズン中は自家用車の乗り入れ禁止)は少し下に移設されました。おかげで広いスペースを登山、観光客が利用できるようになりました。
麓の戸倉にあるビジターセンター(としては少しシャビーですが)に日帰り温泉があります。隣が鳩待峠行きのバス乗り場と大駐車場。原則、ここまで車、ここからバスで尾瀬に向かい、帰りがけに戸倉温泉に癒されて帰る、です。600円で強アルカリ性の良いお湯でした。
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