本日の高住神社の状況です。
◆晴れ
◆11℃
今日は黄砂がひどく、遠方から見た英彦山の山並みも視界が悪くなっていました。
化学物質が混じっているのか、朝からくしゃみが止まりません。
先日、鹿を埋葬したことを地元の方に話したところ、その方から助けた鹿の話を聞きました。
『先代がまだいた頃の話。
ある日、山で怪我をした鹿を見つけた。別の者が食べようと言ったが、身籠っていたのか、腹が膨れている鹿を可哀相と思った先代は、鹿を連れて帰り、手厚く看護した。
手当ての甲斐もあって元気を取り戻した鹿は、自分たちの姿を見ると近寄ってきて、頬をすり寄せるほど懐いた。
しかし野生の身、飼うことはできない。しばらくして傷も癒えた頃、山に帰すことに決めた。
沢を越えたところに鹿を放ち、人間の臭いを追って戻って来れないようにした。
だが、それでも鹿は逃げない。尻を打ち『はよう行け!』と怒鳴り、無理やりに山へ帰す。
鹿は振り返り、いつまでも名残惜しそうに見つめていた。
──しばらくして知ったのだが、その鹿はどうやらよそから来た山作業の者たちに捕らえられて食べられてしまったらしい。
なまじ人に慣れてしまったせいで捕まったのだろう。可哀想なことをした。』
といったお話。
最後は悲しい結末ですが、つかの間ながらも人と鹿が心通い合わせたという話。
鹿も助けてもらった恩を感じたのでしょうか。不思議なものです。
山道でも鹿に遭うことがありますが、可愛いから近づいてみたいと思う反面、人間を恐怖してほしいという気持ちもあります。
それは車との接触事故で不慮の死を遂げる野生動物が多いから。
動物たちにとっての人災なのでしょう。出来得る限り、人間側が避けてほしいものです。
さて、今日の花の写真はこちら。
◆タチネコノメソウ(ユキノシタ科ネコノメソウ属)
ユキノシタ科の多年草で、山地の陰湿な場所を好んで生えます。
名の由来は裂開した果実が猫の目に似ているからだそうです。
ネコノメソウの仲間は種類が多く、この花をタチネコノメソウとしたのは熊谷信孝氏の本を資料とした結果。
通常のネコノメソウは卵円形~楕円形の鈍鋸歯の葉。これは深い5つの切れ込みなので違います。
さらにヤマネコノメソウは花茎に白毛を生やしていることから、無毛なのでタチネコノメソウと同定しました。
図鑑を見た結果ですが……正直自信がありません。
間違っていたらご指摘いただけると助かります。
この写真を撮影してから再度見に行ったところ、すでに株がなくなっていました。
シカの食害か、はたまた盗掘か。
現物がなくなってしまうと比べようがないですね。
くれぐれも山野草の採取はおやめ下さい。