遺すものなんにもなくて芝焼きぬ 法夢子
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70才を超えれば余生というものだろう
責任義務から解放されたのは喜ばしいが
役まわりや権利なども喪失する
世間とのかかわりが日に日に希薄になってくる
あれほどに密度の濃かった年月も
現実のものだったかと思われるほど遠くなった
なにも残ってはいない
まして引き継ぐものなどなんにもない
芝を焼きながらその火を眺めているとなぜか納得してしまう
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70才を超えれば余生というものだろう
責任義務から解放されたのは喜ばしいが
役まわりや権利なども喪失する
世間とのかかわりが日に日に希薄になってくる
あれほどに密度の濃かった年月も
現実のものだったかと思われるほど遠くなった
なにも残ってはいない
まして引き継ぐものなどなんにもない
芝を焼きながらその火を眺めているとなぜか納得してしまう
俳句結社「D」は会員1000名を超える
"
会員になって2年に満たない
掲句が奇跡的に主催SM氏の推薦をいただいた
投句数3000句超のなかで推薦句は30句なのだからこれは事件だ
150ページの冊子の10ページに掲載されてなんとも面映ゆい
作品の講評も身にあまるもので実感はないが
励みになったことは間違いない
普段 不断 の積み重ねの少しの手応えを感じる