竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

下校児の駆け出す声や青田風 法夢子

2014-05-16 | 
下校児の駆け出す声や青田風 法夢子







田植えがすむと風景はまるで変わる

田水の満ちた面を風が通り抜けて

人も鳥も虫たちもが歌いたくなるようだ

学校帰りの子供たちはじっとしてはいられない







藤に酔ういにしえびとの心地かな  法夢子



藤の花の季節は短い

じととき目を閉じて香りにつつまれると

万葉ひとの心地がしてくる







手をひけば滴りもとに奔りたり  法夢子




山で湧水は天の恵みか奇跡かと思う

岩肌から滴りおちているものがまた格別

滴るまでの何百年いや何千年かも知れぬ旅の途中だ

そっと手を伸べて口を拭い再び手をひく

何事もなかったように滴りは奔る





「竹とんぼ第9回」便り6 今回は法夢子(筆者)