竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

一人と帳面につく夜寒かな   一茶

2016-11-01 | 一茶鑑賞
一人と帳面につく夜寒かな



一人旅で安宿に泊まった。
一人旅は宿の者から胡散臭く見られるもの。
宿帳に「一人」と書かれて、
夜の寒さがいっそう身に沁みる。〔季語〕夜寒

江戸時代の庶民にとって旅は簡単に出来るものではなかったが、
農村では「伊勢参り」が夢で、
みんなで積み立てた金(伊勢講)で何人かの代表者が毎年行っていた。
信仰の色合いはあったが、遊びが目的だった。
江戸から歩いて12日だから道中の費用も大変である。
食事と宿泊料金を節約した。
安い宿(木賃宿)は一泊素泊まりで120文(1両は6000文)だった。
一茶が泊まった宿もその類(たぐい)だったのだろう。
「一人ですか?」と言う主人の問いかけが夜寒と共に、一茶の寂寥感を増す。
この句から、当時、一人旅は珍しかったことが分かる。