海に青雲(あおぐも)生き死に言わず生きんとのみ 金子兜太
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昭和50年 「金子兜太全句集」生長より。
「青雲」は「青雲の交じり」を重ねているのでしょう。
兵士として同じ運命共同体、
トラック島兵士の食料調達が兜太さんのお役目だと聞いている。
限られた食料、次々に出る餓死者
幾人死ねば、何日生きられる、
と密かに計算もしたという。
やっと終戦になり、生き延びて、
圧倒的な大海原を前に、
青雲、青雲の交じり」の「せいうん」でなく「あおぐも」と読ませているところに
複雑なやりきれない無念の思いが伝わってきます。
「あおぐも」は混濁の思いが顕わで、
それを胸に生・き・て・終戦になった、
生かされていることの
青さ、「生き死に言わず生きんとのみ」は兜太さんらしい重い口調です。
この口調、近年の海程誌に、
アメリカ9.11を詠まれただろうと思われる句がありました。
危し秋天報復論に自省乏し
背高泡立草は自滅する花驕るなよ
「驕るなよ」という言葉が出てくるのも、
多くの戦友を死なせてしまった無念さが言わせる言葉でしょう。
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昭和50年 「金子兜太全句集」生長より。
「青雲」は「青雲の交じり」を重ねているのでしょう。
兵士として同じ運命共同体、
トラック島兵士の食料調達が兜太さんのお役目だと聞いている。
限られた食料、次々に出る餓死者
幾人死ねば、何日生きられる、
と密かに計算もしたという。
やっと終戦になり、生き延びて、
圧倒的な大海原を前に、
青雲、青雲の交じり」の「せいうん」でなく「あおぐも」と読ませているところに
複雑なやりきれない無念の思いが伝わってきます。
「あおぐも」は混濁の思いが顕わで、
それを胸に生・き・て・終戦になった、
生かされていることの
青さ、「生き死に言わず生きんとのみ」は兜太さんらしい重い口調です。
この口調、近年の海程誌に、
アメリカ9.11を詠まれただろうと思われる句がありました。
危し秋天報復論に自省乏し
背高泡立草は自滅する花驕るなよ
「驕るなよ」という言葉が出てくるのも、
多くの戦友を死なせてしまった無念さが言わせる言葉でしょう。
http://www.shuu.org/newpage24.htm より転載