青年鹿を愛せり嵐の斜面にて 兜太
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昭和36年 「金子兜太句集」神戸 より。
4,5年前に吉野の桜を見たいと思い出かけたことがありました。
奈良市内に宿を取ったので若草山など、市内をぶらぶらしましたが
奈良はほんとうに鹿が多い。
どこを歩いていても、鹿に会う。
鹿って静かでやさしいですね。
獣と言う感じがしません。
とても植物的な動物だと思います。
そんな鹿のことを思い出しながら、この句を読んで、
「青年鹿を愛せり」に、
青年の香気さがみごとに詠まれているように思います。
下句に、「嵐の斜面にて」ときますが、
青年のおかれている場が嵐の斜面だ
という比喩で詠まれています。
嵐の斜面はまず、
私の浅い知識では「嵐が丘」を連想します
映画で見た暗いヒースの荒野をふと描きましたが、
「嵐の斜面」というのは響きが明るいので、
「嵐が丘」と違ってもっと明るい荒野ではないかなあ。暗いイメージはしない。
青年に相応しい、爽やかな場の響きがあります。
青年は嵐に揉まれながら、
斜面という変化を象徴するところで、
鹿と対峙しているのだ。そして、その鹿を愛するという、
青春性がみごとに詠まれている。
兜太さんも若かったんだと、改めて、その瑞々しさに惹かれる。
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昭和36年 「金子兜太句集」神戸 より。
4,5年前に吉野の桜を見たいと思い出かけたことがありました。
奈良市内に宿を取ったので若草山など、市内をぶらぶらしましたが
奈良はほんとうに鹿が多い。
どこを歩いていても、鹿に会う。
鹿って静かでやさしいですね。
獣と言う感じがしません。
とても植物的な動物だと思います。
そんな鹿のことを思い出しながら、この句を読んで、
「青年鹿を愛せり」に、
青年の香気さがみごとに詠まれているように思います。
下句に、「嵐の斜面にて」ときますが、
青年のおかれている場が嵐の斜面だ
という比喩で詠まれています。
嵐の斜面はまず、
私の浅い知識では「嵐が丘」を連想します
映画で見た暗いヒースの荒野をふと描きましたが、
「嵐の斜面」というのは響きが明るいので、
「嵐が丘」と違ってもっと明るい荒野ではないかなあ。暗いイメージはしない。
青年に相応しい、爽やかな場の響きがあります。
青年は嵐に揉まれながら、
斜面という変化を象徴するところで、
鹿と対峙しているのだ。そして、その鹿を愛するという、
青春性がみごとに詠まれている。
兜太さんも若かったんだと、改めて、その瑞々しさに惹かれる。
http://www.shuu.org/newpage24.htm