竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

下校児の駆け出す声や青田風 法夢子

2014-05-16 | 
下校児の駆け出す声や青田風 法夢子







田植えがすむと風景はまるで変わる

田水の満ちた面を風が通り抜けて

人も鳥も虫たちもが歌いたくなるようだ

学校帰りの子供たちはじっとしてはいられない







藤に酔ういにしえびとの心地かな  法夢子



藤の花の季節は短い

じととき目を閉じて香りにつつまれると

万葉ひとの心地がしてくる







手をひけば滴りもとに奔りたり  法夢子




山で湧水は天の恵みか奇跡かと思う

岩肌から滴りおちているものがまた格別

滴るまでの何百年いや何千年かも知れぬ旅の途中だ

そっと手を伸べて口を拭い再び手をひく

何事もなかったように滴りは奔る





「竹とんぼ第9回」便り6 今回は法夢子(筆者)

啼き果ての屍を肩に忠魂碑 法夢子

2014-05-10 | 
strong>啼き果ての屍を肩に忠魂碑 法夢子





立夏もすぎて鳥たちの囀りも変化している

伴侶をもとめる囀り

子育てに懸命の囀りもあった

雛の小さな囀りも可愛い

思うに任せず鳴くだけ泣いて果てた鳥たちもたくさんいる

近くの忠魂碑

囀る元気な鳥たちのかたわらに

その肩には鳥の屍が干からびていた

風薫る葉の多弁癖おさまらず  法夢子

2014-05-09 | 
薫る葉の多弁癖おさまらず  法夢子





風薫る五月とはよく言ったものだ

新緑をぬけてくる南風

田水の上をはしってくる風もここと良い

風そのものが香るはずもないが

香りの正体を確かめては野暮だろう

木々の葉は風にそよいでしきりに話し始めてとまらない

この上機嫌は周囲をシアワセにしてくれる

田水満つ小皺のやさしどこまでも 法夢子

2014-05-08 | 
田水満つ小皺のやさしどこまでも 法夢子







田植えの季節だ

用水の順番があったり人での都合もあったりなのだろう

田んぼの表情は様々だ

田植えをまつ田水満水のもの

黒田のままのもの

た家を済ましたばかりのもの



それぞれの田圃のそれぞれの生き物が集まっている

空はふぉこまでも晴れ渡り

平和日本が眼前にある

子を知らず川を埋めたる鯉幟  法夢子

2014-05-07 | 
子を知らず川を埋めたる鯉幟  法夢子






山峡や川をわたる鯉幟

鯉のぼりの由来は諸説あるがやはり男児の霧氷息災と成功を念じるのが相応しい

過疎の村や客寄せに目玉のない観光地での鯉のぼりの姿はむなしく感じる


鯉のぼりの由来

江戸中期になると庶民の間から町民のアイデアで鯉のぼりが生れました。中国に古くから伝わる登竜門の伝説になぞらえ、 竜門の滝を登り切ると鯉が竜になるように、我子も健康に育ち、将来は大きく出世して欲しいとの気持を込めたものです。また、「わが家に男の子が生まれました。どうぞお守りください。」と天の神様に伝え、守っていただく意味があるとも伝えられています。

鯉のぼり幼馴染の上機嫌 法夢子

2014-05-06 | 
鯉のぼり幼馴染の上機嫌 法夢子









こどもの日の鯉幟

最近は観光地などの川や溪に渡らせてあることが多い

子供や孫が大きくなってお役御免の姿のようだが

あたらしい鯉幟を町や村でみることがほんとうに減った



少子高齢化

鯉のぼりのもとで真昼の温泉に入る幼馴染は機嫌が良い

かくいう私もすこぶる上機嫌

鯉幟洩れくる気合相撲部屋  法夢子

2014-05-05 | 
鯉幟洩れくる気合相撲部屋  法夢子





深川界隈には相撲部屋がたくさんある

下町に立派な外車や高級車が複数とまっている鉄筋の建物

大男の出入り

ときおり異様な音声お響



立夏を過ぎれば五月場所相撲が始まる

揚雲雀できたての朝ほしいまま 法夢子

2014-05-04 | 
揚雲雀できたての朝ほしいまま 法夢子





朝の空は鳥たちの舞台だ

しれぞれの役まわりも決まっているらしい

舞台に登場の順序の決まりもあるようだ

早い時間は雲雀の挨拶が次々と

できたての朝空をほしいままに謳歌している

遺すものなんにもなくて芝焼きぬ 法夢子

2014-05-03 | 
遺すものなんにもなくて芝焼きぬ 法夢子




70才を超えれば余生というものだろう
責任義務から解放されたのは喜ばしいが
役まわりや権利なども喪失する
世間とのかかわりが日に日に希薄になってくる
あれほどに密度の濃かった年月も
現実のものだったかと思われるほど遠くなった
なにも残ってはいない
まして引き継ぐものなどなんにもない
芝を焼きながらその火を眺めているとなぜか納得してしまう




俳句結社「D」は会員1000名を超える
"
会員になって2年に満たない

掲句が奇跡的に主催SM氏の推薦をいただいた

投句数3000句超のなかで推薦句は30句なのだからこれは事件だ

150ページの冊子の10ページに掲載されてなんとも面映ゆい

作品の講評も身にあまるもので実感はないが

励みになったことは間違いない

普段 不断 の積み重ねの少しの手応えを感じる

怒気噴気辛気かさねて連翹花 法夢子

2014-05-02 | 
怒気噴気辛気かさねて連翹花 法夢子







連翹の濃い黄色が苦手だ

それも凝集して重なり合って咲いているとなんとも煩く感じられる

あの色のなかに人の怒り憤り

そして厭気や辛気までをからかっているように思えてくる

黄色は好む色なのだが連翹の色は許せない

贈り手の知れぬ実存蝮草 法夢子

2014-05-01 | 
贈り手の知れぬ実存蝮草 法夢子





蝮草は毒草である、噛んでいされるものではないが存在している

用い方によっては薬用にもなるという



誰の仕業かは不明だがこうした手に余るものの存在がたくさんありそうだ

存在するものに意味のないものはない

と言われているがその用い蚊帳を謝れば怖いものにもなる



贈りては知らぬが

送り手の理由はもっとしれないが

しっかりと実存の物体はあとらこちらに増殖している

不気味である




マムシグサ(蝮草、学名:Arisaema serratum)は、サトイモ科テンナンショウ属の多年草である。有毒植物。 ... の2つの葉鞘部分が重なってできたもので、紫褐色のまだらな模様がある。この模様がマムシに似ていると考えられたところからこの名がつけられた。