下校児の駆け出す声や青田風 法夢子

田植えがすむと風景はまるで変わる
田水の満ちた面を風が通り抜けて
人も鳥も虫たちもが歌いたくなるようだ
学校帰りの子供たちはじっとしてはいられない
藤に酔ういにしえびとの心地かな 法夢子
藤の花の季節は短い
じととき目を閉じて香りにつつまれると
万葉ひとの心地がしてくる
手をひけば滴りもとに奔りたり 法夢子
山で湧水は天の恵みか奇跡かと思う
岩肌から滴りおちているものがまた格別
滴るまでの何百年いや何千年かも知れぬ旅の途中だ
そっと手を伸べて口を拭い再び手をひく
何事もなかったように滴りは奔る

田植えがすむと風景はまるで変わる
田水の満ちた面を風が通り抜けて
人も鳥も虫たちもが歌いたくなるようだ
学校帰りの子供たちはじっとしてはいられない
藤に酔ういにしえびとの心地かな 法夢子
藤の花の季節は短い
じととき目を閉じて香りにつつまれると
万葉ひとの心地がしてくる
手をひけば滴りもとに奔りたり 法夢子
山で湧水は天の恵みか奇跡かと思う
岩肌から滴りおちているものがまた格別
滴るまでの何百年いや何千年かも知れぬ旅の途中だ
そっと手を伸べて口を拭い再び手をひく
何事もなかったように滴りは奔る
「竹とんぼ第9回」便り6 今回は法夢子(筆者)