気配りを生来知らず放屁虫 流伴 2017-12-16 | 秋 気配りを生来知らず放屁虫 放屁虫は虫の仲間なので季語は秋の分類だが 人間の飼っている放屁虫は 炬燵の中などで無礼きわまりない 気配りは生来知らず これって最高だな(笑) 原句 12/8/2016 街123 気配りはもともと苦手放屁虫 わかっているから苦手 生来知らずは許せるわけではないが(笑)
日記買ふ健康余命の五年用 流伴 2017-12-15 | 冬 日記買ふ健康余命の五年用 長女は小学生の時から日記を続けていて ときおり昔の話を思い出したように教えてくれる 10年日記が何冊にもなっているらしい 自分は苦手な日記だが 書店で日記を物色した 74才 健康余命はあとどのくらいだろう 日記を買うにも思案が必要だ 発表 2015/12/10 遊牧101
追ふでなく追はれるでなく懐手 流伴 2017-12-14 | 冬 追ふでなく追はれるでなく懐手 懐手はなんとも便利だ 逡巡の表情を隠すにも実際に凶器を隠すこtにも使える 淋しい時の気取った振舞にも適う 最近は懐手でグーチョキパーのリハビリもありそうだ 坂本龍馬の懐手とちがって 余生の無為無聊の懐手が多い 発表 2015/12/2 遊牧101
落人を祀る百戸や冬日差し 流伴 2017-12-13 | 冬 落人を祀る百戸や冬日差し 栃木県湯西川温泉じゃ平家の落人だったといわれる その子孫が存えているのだが 訪れとこの奥深い山間の地に どうやてあの西国から落ちのびてきたかと 思わざるを得ない 川沿いに藁ぶきの家が並んでいて冬の日差しが当たっている しばらくすると雪の中に埋もれた村となるのだが 発表 2014/12/1 遊牧089
百年に一度伸びする冬の海 流伴 2017-12-11 | 冬 百年に一度伸びする冬の海 東日本大震災は春だったが その大津波をみせた海もこの冬しずかに凪である 百年に一度くらい 生きている地球は大きく伸びをするのだろう 後は静かに恵みを育てて届けてくれる 発表 遊牧083
奥つ城の人待ち顔や十二月 流伴 2017-12-10 | 冬 奥つ城の人待ち顔や十二月 朝の散歩のコースは5とおりほどあって 先祖の墓のある墓域に面した道を歩くこともある 月に一度は墓に寄るつもりだが ここのところの寒さや気忙しさでとんとお参りしていない おそらくご先祖様は待っているのではないだろうか 発表 2013/12/1 遊牧083
残り蚊の翔ぶ気の失せてただよえる 流伴 2017-12-09 | 冬 残り蚊の翔ぶ気の失せてただよえる 冬の蚊は残り蚊とよんだりする 蚊にも哀れを感じるこの国の粋人には ほとほと感心する 血を吸う気力も体力も失せているのだが ただようように存える 人もいつしか「残り人」となりそうだ 原句発表 2012/12/1 遊牧082 残り蚊や飛ぶ気のなくて飛んでおり 句意は同様だが 「翔」「ただよう」と推敲して掲句を得た
夜勤明け冬満月のうすつぺら 流伴 2017-12-08 | 冬 夜勤明け冬満月のうすつぺら 夜勤明けのホーム 寒空を見上げると満月 そのうすっぺらな白色が全身に沁みる 発表 12/22/2016 地梼圏70
小さくも叶わぬのに股火鉢 流伴 2017-12-07 | 冬 小さくも叶わぬのに股火鉢 火鉢が生活から消えて久しい 手をあぶる こんな言葉もあまり聞かない 股火鉢 太ももが火傷しそうななった昭和がなつかしい 発表 12/1/2016 地梼圏70 原句 小さくて叶わぬものに股火鉢 「小さくて」を「小さくも」に変えてみたが
埋火やこころの角(すみ)におく焔 2017-12-06 | 冬 埋火やこころの角におく焔 囲炉裏や火鉢にあたりながら 寒さのなかでの家族の談笑が懐かしい 昭和の初期まではみなこの体験をもっている 就寝時には最後に母が炭を灰に埋める そのぬくもりは火がみえなくなっても消えない 発表 2015/12/24 地梼圏66
歳晩や生きるつもりの先おくり 流伴 2017-12-05 | 冬 歳晩や生きるつもりの先おくり 歳晩は年の暮 昨今は年末と云っても何も変わらない 何をしなければならない という事もない 気になることがないでもないが 明日でも来年でも困るほどの言でもない まあー といって先送りする 年末に天寿ということもあるまい 発表 2015/12/17 地梼圏66 原句 歳晩や生きるつもりのやりのこし やりのこし」を「先送りに としてみたが
凩や山まるごとの磨崖仏 流伴 2017-12-04 | 冬 凩や山まるごとの磨崖仏 宇都宮の大谷には大矢観音はある 冬の北風をうけてもその目は涼しい 半目の眼差しは平和観音の名にふさわしい 山まるごとが有難くなってくる 発表 2015/12/6 地梼圏66 原句 木枯らしや山まるごとの磨崖仏 木枯らし」を凩」に推敲した 観音様はダイレクトの風を真正面に受けている
白鳥の本音を聞いて小半日 2017-12-03 | 冬 白鳥の本音を聞いて小半日 隣町の大沼と呼ばれる公園に毎年白鳥がわたってくる 白鳥は長い飛行の旅を終えて水に漂う ときおり仲間たちと水を浴びせ合ったりする 頸をからめてのコミニケーションもある そんな姿をみていると半日ぐらい寒風も気にならない ふと呟くのは私のほうだ 発表 12/28/2016 岳40-3
身の重みかけて漫然霜柱 流伴 2017-12-02 | 冬 身の重みかけて漫然霜柱 霜柱を踏む とたんに心は少年めいてくる 足下の音は一足ごとに微妙に違う なにか大切な落とし物をみつけたような 満足感が沸いてくる しばらく佇んで漫然とした面持でそこを去る 発表 2015/12/10 岳39-2
冬欅千古をつなぐ風のなか 流伴 2017-12-01 | 冬 冬欅千古をつなぐ風のなか 鎮守さまの境内にはきまって大きな欅がそびえている いつごろからのものかを知る者はいない 祖父が物心ついや頃にはもう同じ姿だったと聞いている その欅が葉をすっかり落として木枯らしのなかに 「千古の風のなか」がふと浮かんだ 発表 2013/12/1 岳36-2