![]() |
![]() |
高尾九段の囲碁で「少し地を取りすぎていたので(この局面で)相手に地を与える手を打った」と感想があったように覚えている。思わず、目から鱗!たしかに10目も20目も勝つ必要はない。最後に半目勝てばいいのである。
棋力がよほど離れている場合は別として、そう簡単に勝勢になるとは期待できない。地に偏っても、厚みに偏ってもいけない。要はバランスだろう。一回も疑問手を打たないことはあり得ないのだから、焦らずヒタヒタと付いていく冷静さが必要。
黒番の場合は、いろいろな戦法が解説されているので、構想をたてやすい。しかし、確率1/2で白番が当たるのである。取りこぼしなく「勝つ」には、白番対策、「白番の打ち方」を勉強する必要がある。これには、最近の書では、横田九段の「白番は楽しい!」が分かりやすく、小松九段の「白番布石の教科書」(Kindle版あり)は、様々な黒の戦法に対する具体的な対応法が解説されている。特に前者がオススメ。
白番を黒番と同じように力で打っていてはだめだろう。ヒタヒタと黒に付いていき、最後、コミ6目半を手に入れて勝つことができれば勝率倍増だろうと。
今日の「囲碁フォーカス」、「マジカル手筋~ワン!」が「マジカル~ワン!」になっている。本人によると言い忘れた(^^;とのこと。録画なので取り直しというのもあるのだろうが、気軽なフォーカス番組なので、それも一つの話題ということで(^^;
将棋の5種のプログラムと、将棋の現役プロとの対戦は、プログラムの3勝1敗1引き分けだった。
囲碁の六冠を達成した井山氏の特番が、NHKで16時に組まれている。
プロもプログラムもすべての手を読むわけではない。そんなことをしていたのではとても時間が足りない。見込みがない道は読まず、有望な道を深く読むのだ。つまり、いかに読みを絞るか(無駄な道をいかにすてるか)が勝負のポイントになる。ただ、手を読むという能力は、プロもプログラムもそう変わらないのではないか。
最近、人間が捨てた道(読み筋)に実は有力なものがあって、そこをコンピュータが拾って勝っているような気がする。で、井山氏の強さも同じようなところにあるのではないか。相手の読みが欠落した筋で勝つという・・・。
コンピュータの囲碁ソフトがいつの間にか強くなっている。
以前は、生き死にが読めてなかったり、一回休みのような手を連発したり、どう考えてもそんなところに打たないでしょというアレ~という手があったが、それらがかなり改善されている。コンピュータが打っているとはあまり気がつかないほど打ち手が人間に近くなっているように感じられる。
先日、石田芳夫九段(二十四世本因坊秀芳)に4子で勝利した「クレージー・ストーン」は、同じバージョンではないと思うが、WINDOWS用ソフトやiPad用のアプリが出ているが、これでもそこそこ強く、初心者では勝つことができないだろう。厚み重視で、大きな地を作ろうとするので、ナメていると足りなくなったり、石を殺しにきたりする。
将棋では、対等の手合いではプロが分が悪いかもしれない。コンピュータは、緊張しないし、あせることもないし、うっかり間違いもしない。囲碁は、4子の差があるが5年後にはどうなっているだろう。
2月に「囲碁クロック(IgoClock)」というiPadアプリをつくりましたが、そのiPhone版ができました。名前は「囲碁対局時計(IgoTimer)」といいます。
本日、囲碁の対局時計のiPhone用アプリ「囲碁対局時計(IgoTimer)」をリリースしました。
アップルストアで無料で配布しています。ぜひ一度お試しを!
- 切れ負け(サドンデス)方式、秒読み方式、考慮時間方式、カナダ方式の4モード。
- 持ち時間、秒読み時間、考慮時間、手数等の組合せを設定でき、持ち時間にはハンデをつけることが可能。
- 読み上げは、無音、電子音、日本語、英語の設定ができます。
サポートページは、こちら(http://www.facebook.com/takedatksApps)です。
しばらくプログラムしていましたが、
囲碁の対局時計のiPad用アプリ「囲碁クロック(IgoClock)」をリリースしました。
アップルストアで無料で配布しています。ぜひ一度お試しを!
- 切れ負け(サドンデス)方式、秒読み方式、考慮時間方式、カナダ方式の4モード。
- 持ち時間、秒読み時間、考慮時間、手数等の組合せを設定でき、持ち時間にはハンデをつけることが可能。
- 読み上げは、無音、電子音、日本語、英語の設定ができます。
サポートページは、こちら(http://www.facebook.com/takedatksApps)です。
囲碁で、昨日、井山が王座のタイトルを獲得し7大タイトルのうち五冠を達成した。5つとは、「本因坊」「天元」「碁聖」「十段」「王座」で、残るは「棋聖」と昨年失った「名人」である。「棋聖」を持ってるのは今回王座戦で戦った張なので、勢いにのると六冠までいくかもしれない。
ところでNHKの報道で気になる表現が使われた。「囲碁の井山裕太四冠が、22日、神戸市で行われた王座戦の第3局で勝って、王座のタイトルを獲得し、日本人として初めて、囲碁の7つのタイトルのうち5つを獲得する、五冠を達成しました。」この「日本人として初めて」というのは不適切な記述だろう。
以前、五冠を達成したことがあるのは、今回、王座タイトルを戦った張栩だ。張は台湾出身だが、10歳の時に日本に来て林海峰の内弟子になりずっと日本で活動していておなじみの人である。囲碁を知っている人であれば、誰も外国人だと区別して考える人はいないだろう。ここでことさら「日本人として」などと持ち出すのは報道機関としてはずかしい。ましてNHKは、歴史のあるNHK杯というテレビ囲碁トーナメントを主催していて囲碁のことは熟知しているはずである。因に日経新聞は「張前王座が3年前に達成した囲碁界の最多記録に並んだ。」と報道している。
さて、棋聖戦は、井山は六冠を狙って、張は今回の雪辱と棋聖タイトルを死守するため、両者ともものすごいプレッシャーのなかで壮絶な戦いになりそうである。棋聖戦は来年1月から始まる。注目したい。
実際の安井算哲(先番)と本因坊道策の「天元の局」寛文10年(1670年)は、このような棋譜であった。
初手天元は、地に甘く、天元の石を活かす、その後の打ち方が難しい。初手天元に対する最善手は空き隅を占める手のはずだ。実際、道策もそのように打っている。高尾九段のページでも解説されているが、道策は算哲の初手天元を完全に封じたようである。そもそも将軍の御前で行う御城碁である。本因坊道策が算哲の手にのるような打ち方をするはずはない。
ただ、映画「天地明察」の中では、お話上、この進行を並べる訳にはいかないだろう。
初手天元にはロマンがある。初手天元に応え、天元の石の働きと直接競う最善手とは、天元の石の隣しかないだろう(勝つための最善手ではない)。映画ではこういう細かいところまでこだわっているところが面白い。
この時代、コミがなかったのだから、初手天元はあり得る手だったのではないだろうか。ただ、道策ほどの打ち手には通じないだろうが。最初から、目ハズシにカカッてきたらカケて天元を封じようとしていたか。
それにしても、初手天元は、現代でもタイトル戦で現れれば皆たまげるだろうに、当時、御城碁で実際に打った算哲は、よっぽどスケールが大きかったか、変わっていたか(^^)
ただ、皆が仰天したのは確かだろう。
映画「天地明察」で、安井算哲(先番:初手天元)と道策が打った囲碁は上の図で始まる。しかし、これは映画のために創作された棋譜である(全棋譜が囲碁ワールド9月号に掲載されている)。
創作なので、あまり手順を追ってもしかたがないが、20手毎、60手までの手順は以下のとおり。
ところで、実際に安井算哲(先番:初手天元)と道策が打った棋譜は、「天元の局」寛文10年10月17日(1670年11月29日) 安井算哲(先番) - 本因坊道策にあり、全棋譜も公開しているサイトがある。さすがに道策に対し初手天元は甘く、大差で道策が勝っている。
さて、囲碁の「手抜き」の呼吸。囲碁は、単純に大きいところから打っていけばいいというものでもない。
下の図。二連星から黒5とカカルと、白は小ケイマに受けるのもあるのだろうが、模様の碁にしたくない場合、白6と厳しく挟んでくる。
この場合、黒は、「三三に入ったり」、「両ガカリしたり」、「一間に飛んで白6の石にカケたり」する選択手が見える。明らかにこれが最善!という手があればそれを打てばいいが、盤面がまだ広く、最善手がよく分からなかったり相手に変化(対応)の余地があってこちらの意図を外されたりすることがある。
その場合、例えば、左下を手抜きして左上に黒7とカカッテみる。相手の打ち方によって、「三三に入ったり」、「両ガカリしたり」、「一間に飛んで白6の石にカケたり」する候補のうちどれが最善かをはっきりさせ、自分の打ち方を決めていこうという高等戦術である。相手が打った手の価値を小さくしてしまう効果がある。
因に次の図は、黒7に対し白が8と受けた場合の進行の一例。黒9と両ガカリして、この場面では白の厚みの働きが今一で、白の石が偏った感じになっている。黒7で、先に左下に両ガカリした場合、後から左上に黒がかかっても、白は受けずに左下の厚みをバックに挟んでくるはず。
黒7に対し白が8と挟んできた場合の一例は、次のとおり。黒19が右下の白石の価値を減じている。
布石で、先行しなければとバタバタ決めてしまうのではなく、相手に打たせてその価値を減ずる面白い感じではある。
似た局面で、手抜きのもう一例。
この一連の手順は、黒が実利をかせぎ、かつ右辺に打ち込みが生じているので、わりと好きで打っていた。白が右辺を守れば黒は左辺をワリウチすればよい。
最近、白は、ここで手抜きをして、黒の小ゲイマジマリにツケて様子を見るというのが常用の筋。黒は知らないと対応の仕方が悩ましい。
対応の仕方が5通りくらいあるが、黒11と外に伸びると以下のように進む。白は右上隅に活きる浸食手段を残しているのがミソ。
ツケに対して、黒が外から押さえるとこうなって互角の分かれ。
最近は、ツケて様子を見るタイミングが早くなって、以下の図の時点だと白は、右下隅で、押さえるのと、ナダレルのと2つの選択を残しているのが利点。
さらにこの時点でツケルのもあるという。ここまで来ると素人には難しすぎる。