囲碁で、昨日、井山が王座のタイトルを獲得し7大タイトルのうち五冠を達成した。5つとは、「本因坊」「天元」「碁聖」「十段」「王座」で、残るは「棋聖」と昨年失った「名人」である。「棋聖」を持ってるのは今回王座戦で戦った張なので、勢いにのると六冠までいくかもしれない。
ところでNHKの報道で気になる表現が使われた。「囲碁の井山裕太四冠が、22日、神戸市で行われた王座戦の第3局で勝って、王座のタイトルを獲得し、日本人として初めて、囲碁の7つのタイトルのうち5つを獲得する、五冠を達成しました。」この「日本人として初めて」というのは不適切な記述だろう。
以前、五冠を達成したことがあるのは、今回、王座タイトルを戦った張栩だ。張は台湾出身だが、10歳の時に日本に来て林海峰の内弟子になりずっと日本で活動していておなじみの人である。囲碁を知っている人であれば、誰も外国人だと区別して考える人はいないだろう。ここでことさら「日本人として」などと持ち出すのは報道機関としてはずかしい。ましてNHKは、歴史のあるNHK杯というテレビ囲碁トーナメントを主催していて囲碁のことは熟知しているはずである。因に日経新聞は「張前王座が3年前に達成した囲碁界の最多記録に並んだ。」と報道している。
さて、棋聖戦は、井山は六冠を狙って、張は今回の雪辱と棋聖タイトルを死守するため、両者ともものすごいプレッシャーのなかで壮絶な戦いになりそうである。棋聖戦は来年1月から始まる。注目したい。