昔の歌って、セリフの入った歌が結構多かった。
最も有名なものの一つは加山雄三の君といつまでも。
“”しあわせだなあ、 僕は君といるときが一番しあわせなんだ
僕は死ぬまで君を離さないぞ いいだろ“”
とか、、、。
大阪でももっともディープな地域にあるカラオケ喫茶であるおばちゃんが
もう寅さんの啖呵売の口上のように、調子のいいセリフがいっぱい入っている歌を
歌っていた。
歌があるところにさしかかっとき、そのおばちゃんはカラオケのモニターの字幕を見ながら
「あれ、ここセリフのとこやったかなあ。歌のところやったかなあ。
わからんようになった」と言った。
気合を入れてセリフを語っているうちに気持ちが入りすぎて
歌とセリフの区別がつかなくなったという感じだ。
カラオケの字幕は歌のところとセリフのところでは自体が違う。
僕は字体を見て、「ここは歌のところですよ」と言った。
するとおばちゃんは、しばらく考えてそれからまた
きりのいいところから歌い始めた。
そして、歌はまた、長いセリフの部分に入った。
そこは細かい字でセリフがいっぱい出てくる。
おばちゃんはセリフに出てくる字幕が多すぎてついていけなくなってしまった。
セリフを二行くらい飛ばして読んで
「あかん、セリフが早すぎて、ついていかれへんようになったわ」
と言って、そこで歌が終わった。
こういうおばちゃんって僕、好きだなって思う。
失敗も多い代わりに、歌に勢いがあるので聴いていて気風が良くて心地よい。
おばちゃんが歌った歌の中の一曲に「赤いランプの終列車」という歌があった。
カラオケのモニターに出てくるクレジットを見ると春日八郎と出ている。
春日八郎は僕、「お富さん」一曲だけ知っている。
それでお富さんを僕の順番が来たときに歌ったらそのおばちゃんは体をスイングさせながら聴いてくださった。
お富さん 赤いランプの終列車の二曲を並べてイメージして、いやあ、今まであまり気づかなかったけれど、春日八郎ってなかなかいいなと思った。
それでちょっとウィキペディアで調べてみると
藤山一郎に憧れて歌手になったとのこと。
そして春日八郎に続く形で、村田英雄、三波春夫、都はるみ、北島三郎などが出てきて、美空ひばりも演歌を積極的に歌うようになったため、春日八郎を演歌の第一人者と見る向きも多いというようなことが書いてある。
そう言われればそうだなと思う。