これを書くのはちょっと恥ずかしいから、書こうかどうか迷ったのだけれど書くことにする。
僕、実は、昨年の2月から大阪北のターミナルの近くにある楽器店の経営する音楽教室でボーカルの個人レッスンを受けている。
先生は、女性の先生だ。
年齢なんてもちろん聞けるわけないけれど、見た感じが、今、ネットで話題になっている小川彩佳さんと同じくらいの年格好に見えるのできっと35歳くらいなのではないかと思う。
もちろんこれは僕の勝手な想像だけれど。
ボーカルのレッスンの部屋は防音室になっている。なのでセキュリティ上の問題なのか、それとも先生が僕のことを信用していないのか、それは、わからないけれど、レッスンの時間が終わると先生はすぐに防音室のドアを全開にしてしまわれる。
それで、僕もどういう意図で先生が部屋のドアを全開にされるのかはわからないものの、先生がそうされる以上、早く部屋を出るのが礼儀だろうと勝手に思って、先生がドアをあけたらできるだけ早く部屋の外に出て、細かい荷物の整理や、服を着たりするのは、防音室の外のロビーでするようにしている。
僕は、荷物をかばんに入れたり、服を着たりするのに男の割には時間がかかる方だ。
それで、レッスンが終わったあと、僕がロビーで服を着たり、かばんにものをしまったりしている間に、先生が僕の脇をすりぬけて化粧室に行かれるというのがなんとなく習慣化してしまった。
そのロビーには、モニター画面があって、いろんなアーティストが演奏する場面が映し出されている。
先日、先生が化粧室に行かれている間、僕は、服を着たりかばんにものを片付けたりしながら、そのモニターの画面を見ていた。
なんかどことなく見覚えのあるような女性シンガーがその画面には映し出されていた。
それを見ているうちに先生が化粧室から戻ってこられた。
僕はモニターの画面を指差しながら
「先生、今、画面に映っているこの人、誰ですか?」と言った。
「ああ、それlisaですよ」と先生はおっしゃった。
「ああ、そうですか、かっこいいですねえ」と僕は言った。
そう思わず言ってしまった瞬間に、僕はちょっとまずかったかなと思った。
先生も十分かっこいいと言うかキレイなのに、その先生の前でlisaのことをかっこいいと言ってしまうなんて、ちょっとまずかったかも、と一瞬だけ思った。
先生はちょっと間を置いて
「そうですね、かっこいいですよ」とおっしゃった。
「lisaの歌、何か知っていますか?」と先生はおっしゃった。
「タラーラー タラーラー」ていうやつだけ知ってます。と僕はいまいろんなところで流れているメロディを口ずさんだ。
「ああ、紅蓮華ですね」と先生は言った。
「紅蓮華ですか。歌のタイトルど忘れしてました」と僕は言った。
「ホムロという歌もいいですよ」と先生は言った。
「ホムロ?」と僕は言った。
「炎と書いてホムロっていう歌があるんですよ」と先生は言った。
「炎と書いてホムロですか。難しいですねえ。でもまたユーチューブで聴いてみます」と僕は言った。
「そうですね。聴いてみてください」と先生は言った。
「じゃあ、また次回、レッスンよろしくお願いします」と僕は言った。
それで帰ろうとして、モニターと先生の方から視線を離して、出口の方にあるカウンターを見ると、カウンターの中に座っていた二人の若い女性職員の方が、二人とも、下を向いて必死に笑いをこらえているというような感じだった。
あの、笑いをこらえる様子は本当にまるで漫画の一つのシーンのような感じだった。
一体、なにがおかしかったのだろう。
まあ、若い女性は、はしが転がってもおかしい年頃と言われることもあるから、まあ色々と笑いたくなることもあるのだろうけれど。
でも、なにが可笑しかったのだろうと思うとちょっと気になってしまう。
気軽に人に話しかけられるタイプの人だったら、その場で「何がおかしいの?」と聞くところだろうけれど、僕はそれができるタイプではないし、、、。
何か、良からぬことにならなければいいのだけれど、、、。
なんとか毎日無事に過ごせること、それを第一に願っている。