『スタンピード』(66)
19世紀末、夫を亡くしたイギリス人のマーサ(モーリン・オハラ)は、娘のヒラリー(ジュリエット・ミルズ)と共に牛を連れてセントルイスにやって来た。彼女は、亡き夫の遺志を継ぎ、英国原産のヘレフォード種という角のない牛をアメリカに移入しようと考えていた。
だが、当時のアメリカではロングホーン種という角の長い牛が幅をきかせていたため、雌牛はただの乳牛として買い取られてしまったが、1頭だけ連れてきた雄牛のビンジはテキサスの牧場主ボーウェン(ブライアン・キース)に2000ドルの高値で買い取られた。
そこでマーサはカウボーイのサム(ジェームズ・スチュワート)を雇い、ビンジをボーウェンのもとに送り届けるため、テキサスを目指す。だが行く手には、雄牛の横取りを企む牧場主の妨害や大自然の猛威が次々と立ちはだかる。
監督アンドリュー・V・マクラグレン、撮影ウィリアム・H・クローシア、音楽ジョン・ウィリアムズ、悪役ジャック・イーラムのほか、ベン・ジョンソン、ハリー・ケリー・ジュニアも顔を見せる。
『マクリントック』(63)同様、アンドリュー・V・マクラグレンお得意のコメディータッチのホームドラマの趣がある。よくいえば悠揚たるテンポだが、悪くいえば、殴り合いのシーンのしつこさなどもあり、少々ダレるところがある。また、今見ると、スクリーンプロセスがあまりにも露骨に映り、興ざめさせられるところもあった。ただ、牛の売り買いの仕方や繁殖のさせ方などは興味深いものがあった。