『時をかける少女』(83)(1983.9.21.東急レックス.併映は『探偵物語』)
『転校生』(82)同様、自らの故郷である尾道を舞台にした、大林宣彦独特の映像には魅せられたが、いま一つアイドル映画の域を脱し切れなかった恨みが残った。
そう思うのは、かれこれ10年あまり前に、同じく筒井康隆の原作を映像化したNHKドラマ「タイム・トラベラー」2部作の印象が強過ぎたせいかもしれない。
まあ、考えてみれば、子どもの頃にあの2部作(特に石山透脚本の「続タイム・トラベラー」)を見ていた自分は、少年ドラマシリーズをうたいながら、実はヒロインの芳山和子と未来人のケン・ソゴルの切ないラブロマンスだと感じたのだが、それから10年あまりたって、今度は自分が登場人物たちよりも年上になって見れば、このストーリーに対する思いが異なっても不思議ではないのかもしれない。
ただ、タイムトラベルを扱った絵空事の物語であるだけに、未来人(この映画ではケン・ソゴルとは名乗らないが…)を演じた高柳良一の、『ねらわれた学園』(81)に続いての、まるで学芸会のようなセリフ回しに失笑させられたのが、大きなマイナスとなったことは否めない。逆に、新人の原田知世の初々しさや『転校生』に続いての尾美としのりの好演が光って見えたのは確かだったが…。
【今の一言】公開時は上記のように感じたのだが、あれから40年近くがたって、大林監督が亡くなった今となっては、映される風景、若々しい出演者たち、「土曜日の実験室」という印象的なセリフ、「桃栗三年柿八年」の歌(大林監督作曲の「愛のためいき」)、原田が歌ったユーミン作詞・作曲の主題歌など、何から何までが懐かしく思える。過日、偶然、この映画の舞台の一つとなった艮(うしとら)神社を訪れたことも印象深い。
尾道『さびしんぼう』『時をかける少女』
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