『映画探偵―失われた戦前日本映画を捜して』(高槻真樹)
いつの間にか消えてなくなってしまった、戦前日本映画の名作たち。それら失われた映画に心を奪われ、フィルムを捜す「映画探偵」を追いかけた初のドキュメント。
「失われた戦前日本映画」
「一九四五年の断裂」敗戦と日本映画(フィルムセンター1)
「はじまりの一歩」『忠次旅日記』(フィルムセンター2)
「海のむこうへ」ゴスフィルモフォンド探索記(フィルムセンター3)
「情熱の星」プラネットと安井喜雄
「地域のアーカイブとして」(京都文化博物館)
「復元すれど収集せず」(映画保存協会)
「大学が映画を集めるとき」(早稲田大学・立命館大学)
「てのひらの映画」おもちゃ映画と太田米男
「語って集めて」活動弁士とフィルム保存
「コレクターたちの伝説」(安部善重・杉本五郎)
「映画を見つけたい」古道具市の海の中で
「復活」映画の保存とデジタル修復
「謎解き」「曼珠沙華」一九四五年九月
「映画探偵」とはよくぞ名付けたもの。このルポは映画フィルムをめぐる一種のミステリーとしても読める。フィルムセンター(現・国立映画アーカイブ)や大学がやっと発掘調査や保存に乗り出したのは遅過ぎる感もあるが、何もしないよりはましか。それにしても個人コレクターの映画フィルムへの偏愛ぶりはもはや常軌を逸しているとしか思えない。何ともすごい世界だ。
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