『プロパガンダ映画のたどった道 日本の選択4』(NHK取材班)
1986年放送の「NHK特集ドキュメント昭和 世界への登場〔4〕トーキーは世界をめざす 国策としての映画」を書籍化した『トーキーは世界をめざす』の文庫版を古書店で見付けたので久しぶりに再読。
第一次世界大戦が終わり、初めて国際政治の表舞台に登場した日本が、その後どのようにして太平洋戦争に突入していくのかを国際的視野で描くドキュメンタリーシリーズ。
第4集は、トーキー映画の登場をナショナリズム高揚の時代の潮流と重ね合わせ、日本をナチスドイツと対比させながら映画がどのように国策に利用されていったのかを描く。
アメリカのトーキー映画『ジャズ・シンガー』(27)の公開は、世界の映画界を一挙にトーキー革命の荒波に巻き込んだ。日本でも『マダムと女房』(31)をはじめトーキー映画が作られ始めたが、音と言葉を得た映画は、娯楽としてではなく、宣伝手段としても強い力を発揮することになった。例えば、アーノルド・ファンク、伊丹万作共同監督、出演・原節子、小杉勇ほかの日独合作映画『新しき土』(37)には、日独防共協定締結という時代状況が強く反映されている。
Ⅰトーキーがやってきた
「ニッポンの挫折」 お楽しみはこれからだ 日本的トーキーの誕生
Ⅱことばの壁をうちやぶれ
ことばの壁とハリウッド ことばの壁とウーファ 日本映画の状況
Ⅲナショナリズムとトーキー
ナチスの「朝やけ」 映画国策への胎動 「新しき土」の教えたもの
Ⅳ映画と政治
映画法への道 「コルベルク」と「カサブランカ」 アジアへ向かう日本映画 エピローグ さらば映画
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