『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(2023.12.19.MOVIX亀有)
親にも学校にも不満を抱える高校生の百合(福原遥)は、進路をめぐって母親(中島朋子)とけんかになり、家を飛び出して近所の防空壕跡で一夜を過ごす。
翌朝、百合が目を覚ますと、そこは1945年6月の日本だった。通りがかりの軍人・彰(水上恒司)に助けられ、軍の指定食堂に連れて行かれた百合は、おかみのツル(松坂慶子)を紹介され、食堂で働くことになる。
百合は、食堂に出入りする勤労学生の千代(出口夏希)や、彰と同じ隊の石丸(伊藤健太郎)、板倉(嶋崎斗亜)、寺岡(上川周作)、加藤(小野塚勇人)らと仲良くなり、次第に彰の誠実さや優しさに引かれていくが、彼は特攻隊員で、間もなく出撃する運命にあった。
SNSを中心に話題を集めた汐見夏衛の同名小説を映画化。戦時中の日本にタイムスリップした現代の女子高生と特攻隊員の青年との切ない恋の行方を描く。監督はCMディレクター出身の成田洋一。福山雅治が主題歌を担当。
若者向けの映画かと思いながらも、タイムトラベル物には目がないので見てみた。その結果、タイムスリップの処理の仕方や、主人公の百合の描き方に疑問が残るなど、突っ込みどころは多いし、きっと百合は、戦争の時代を体験したことで改心するんだろうなという予想もついた。
とはいえ、この話をアニメではなく実写で撮った点と、特攻隊員たちの心情を割としっかりと描いていた点には好感を持った。それ故、安易な悲恋劇にはならなかったのだ。などと偉そうなことを言っても、自分にしても戦中のことは想像するしかないのだが…。監督は若い人かと思ったら、自分と同年代と知って驚いた。
福原遥の高校生役はちょっときつかったが、岡田健史改め水上恒司が好演を見せる。彼は高校時代にも特攻隊員を演じたことがあるという。また元高校球児ということもあってか、この映画でもピッチャーをするシーンがあった。大河ドラマ「青天を衝け」の尾高平九郎、朝ドラ「ブギウギ」の村山愛助もそうだが、レトロな役がよく似合う。
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