田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『フレイミング・パイ』(ポール・マッカートニー・97)

2020-08-20 09:48:30 | ビートルズ

 アコースティックギターが基調の「ザ・ソング・ウィー・アー・シンギング」、スティーブ・ミラーが参加した「ヤング・ボーイ」は軽快だがどこか哀愁もある。渋い「カリコ・スカイズ」「フレイミング・パイ」と来て、リンゴが参加した「ビューティフル・ナイト」では、マッカートニー節がさく裂する。  

 大プロジェクト『ビートルズ・アンソロジー』を終え、『フラワー・イン・ザ・ダート』(89)『オフ・ザ・グランド』(93)と続いた、コンサートツアーのバックバンドとの息の合った共演も終わりを告げた。何だか、祭りの後の寂しさを感じる。

 このアルバムは、基本的にポールとプロデューサーのジェフ・リンによる多重録音だという。派手さはないが、心にしみるいい曲が多く、ビートルズ解散時の最初のソロアルバム『マッカートニー』(70)や、ジョンの死が影響を与えた『タッグ・オブ・ウォー』(82)を思い起こさせるものがあるが、今回は、愛妻リンダの闘病が大きく影響しているのだろう。どうも、ポールは寂しさや喪失を感じた時に、いいアルバムを作る気がする。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『デイ・アフター・トゥモロー』 | トップ | ポール・マッカートニー ロ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ビートルズ」カテゴリの最新記事