アコースティックギターが基調の「ザ・ソング・ウィー・アー・シンギング」、スティーブ・ミラーが参加した「ヤング・ボーイ」は軽快だがどこか哀愁もある。渋い「カリコ・スカイズ」「フレイミング・パイ」と来て、リンゴが参加した「ビューティフル・ナイト」では、マッカートニー節がさく裂する。
大プロジェクト『ビートルズ・アンソロジー』を終え、『フラワー・イン・ザ・ダート』(89)『オフ・ザ・グランド』(93)と続いた、コンサートツアーのバックバンドとの息の合った共演も終わりを告げた。何だか、祭りの後の寂しさを感じる。
このアルバムは、基本的にポールとプロデューサーのジェフ・リンによる多重録音だという。派手さはないが、心にしみるいい曲が多く、ビートルズ解散時の最初のソロアルバム『マッカートニー』(70)や、ジョンの死が影響を与えた『タッグ・オブ・ウォー』(82)を思い起こさせるものがあるが、今回は、愛妻リンダの闘病が大きく影響しているのだろう。どうも、ポールは寂しさや喪失を感じた時に、いいアルバムを作る気がする。
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