硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

はつこい、なんです。

2016-05-16 21:47:24 | 日記
私、女子高生。一応、大学、目指してて、勉強に、クラブ活動に、忙しいけれど、好きな人がいて、はつこい、なんです。

出逢いは、4月。私、絵、描くのも、観るのも好きだから、進学したら、美術部へと思ったけれど、いざとなると、勇気がなくて、美術室の前で、もじもじ。

「入部希望 ? 」

振り向くと、先輩、爽やかに微笑んでた。私、うなずくだけで精一杯。

「じゃあ、一緒に入ろうか」

ドアを開けて、私の背中を軽く押すと、奥の椅子に腰掛けて、アートの本を開いていたのは、顧問の安藤先生。

「安藤先生。こんにちは」

「おおっ、折原か……。んっ、その子は」

挨拶しなきゃと、思ったけれど、すごく緊張して、言葉が出てこないんです。

そしたら、先輩、察してくれて、

「安藤先生、この子、入部希望だそうです」

って、紹介してくれたんです。私、本当に、あがり症で、人前であいさつするの、苦手なんだけど、優しさが、うれしくて、テンション上がっちゃって、

「・・・堀越 祥子です。入部したいです。よろしくお願いします」

って、自己紹介、出来たんです。

「本年の入部、第一号だな。堀越は、何組だ」

「あっ。C組です」

「……駿河先生のクラスだな。じゃあ……。あれっ、おい、芳川はどうした」

先輩、少しあきれ顔。

「先生~、芳川部長は今日も欠席です……、いつものことじゃないですかぁ」

「おおっ、そうだったな。このクラブはまとまりがなくて、どうも遺憾。じゃぁ、折原、いろいろ教えてやってくれ」

先生、そういうと、本を閉じて、部室から出て行ったんです。大丈夫なのかしら。

二人きりの部室、わずかな沈黙、音楽室から管楽器の不慣れな音が聞こえてくる。先輩、ふぅと息を吐くと、

「えっと、僕は、2年B組の折原 啓太です。よろしく」

といって、握手を求めてきたんです。

私、握手、求めらたの初めてで、はずかしくって、うつむいたまま、手を出した。

先輩の手、華奢にみえたけれど、意外にごつごつして、固い。

男の人の手って、不思議と魅力を感じちゃう。私、変なのかしら。

気持ち、悟られないように、美術部の年間行事だとか、備品の使用についてだとか、思いつくまま、質問したら、先輩、とても丁寧に教えてくれたんです。

私、言葉を逃さないように、必死でメモってたら、

「やぁ、折原くん……。その子は? 」

といって、部室に入ってきたのは、素敵な女性。

「えっと、1Cの堀越 祥子さん、入部希望です」

美術部員なんだ。私、また、緊張。

「あっ、堀越 祥子です。よろしくお願いします」

「私は、美術部の副部長、南です。よろしくね」

微笑んだ、笑顔も素敵、男性なら、好きになっちゃうんだろうな。

「そういえば、さっき、安藤先生とすれ違ったけど、先生から、何か聞いた」

「いえ、すぐに部室から出ていかれて……」

「じゃあ、説明は、折原君が? 」

「うん。まあ、いつものことだけどね」

「えっ、そうなんですか」

「安藤先生って、いつもあんな感じなのよ、でも、腕は確かで、若い時に個展開いたことある人なのよ」

「へぇ! すごい方なんですね」

「でもさぁ、あれって本当なのかなぁ」

南さん、ニヤッとして、

「私達は観たことがないし、自己申告だからねぇ」


宇能 鴻一郎さんに憧れて。

2016-05-16 21:45:08 | 日記
昨年、平松洋子さんの「野蛮な読書」を図書館で見つけ読んだところ、とても面白く、中でも、宇能 鴻一郎さんを紹介する「わたし、おののいたんです」にはとても衝撃を受け、すぐに書店で宇能さんの本を探すも全く見当たりませんでした。しかし、そんな欲望を察してか、宇能さんの「むちむちぷりん」が再刊されていて、書店に並んでいたのです。
早速、購入し、一気に読破。官能小説なんだけれど、芥川賞受賞作家の片りんを示す表現やリズムのある文体に感動。

こんな風に文章が書けないかなあと考えていたら、創作意欲が湧いてきたので、宇能鴻一郎さんのお力を拝借して、短編を描いてみようと思い立ちました。もちろん「官能」的な部分も描いてみようと思いますので、しばらくお付き合いくださいませ。