今日は、寝坊しちゃった、携帯のタイマー入れるの忘れて。お母さんも、今日は、ゆっくりでいいのかしら、と思ってただって。
いつもより、二本遅れの電車に乗り込む。すると、そこには、折原先輩。
「あれっ、堀越さん。おはよー」
「あっ、先輩! おはようございます」
「堀越さんて、この電車だったの」
「はい」
「電車で会うのって、初めてだよね」
「あぁ、そうですね。私、いつも、20分前の電車に乗ってゆくんです。でも、今日は寝坊しちゃって」
「そうなんだ。もっと早く聞いておけばよかったね」
先輩と、同じ電車に乗って通学できるなんて、寝坊してラッキーだわ。
「そうだ、line交換しない」
「えっ! いいんですか」
「うん、部活の事も、lineで教えられるしね」
「ああっ、そうですね。はい。よろしくお願いします」
携帯、カバンから取り出して、先輩とID交換。男子とID交換するの初めてで、どきどきしちゃった。
次の朝、lineが来る、先輩からだ。
「おはよう。起きてる」
「おはようございます。もう起きてますよ」
「今日も、昨日と同じ電車に乗る? 」
「はい。そのつもりです」
「じゃあ、待ってるね」
「はい。乗り遅れないように、行きますね」
交わす言葉は、少ないけれど、他愛のないlineのやり取りが、すごくうれしくて、落ち込んだ朝でも、元気が出てくるんです。
いつもより20分後の電車を、プラットフォームで待つ。私、時間、変えちゃった。
前から三両目の前の入り口。
窓越しに手を挙げている。
「おはよう」
「おはようございます」
ドアが閉まると、クーラーの冷たい風で、汗ばんだシャツが、少しひんやりした。
下着、透けてないかな。先輩、気づいてないかな。
「期末試験、どうだった」
「……それがぁ、余りできなくて。先輩は? 」
「そうだなぁ、まあまあかな。でも、自力じゃないからなぁ」
「塾とか? 」
「ううん。加藤が優秀だから、たまに教えてもらってる。それがなけりゃ、駄目かも」
胸がチクってした、こんな気持ち知られたくないな。気にしないふり、気にしないふり。
「でも、まあまあなんて、さすがですねぇ。私、夜更かしできなくて、どうしても寝ちゃうんですよね」
先輩、「フフフッ、それ、僕も」って、笑ってる。笑顔、可愛い。
「文化祭の出展作品はどう? 」
「順調ですって言いたいところなんですが、私、遅筆なので、遅れてます」
「そうかぁ。でも、一年目だから、そんなもんだよ。部長の芳川さんなんか、一年生の時、未完のまま出展して、先輩から、こっぴどく注意されたって聞いてる。」
「そうなんですか」
「うん。あの人のマイペースぶりは、天才的だからね」
「なんだか、わかる気がします」
先輩との雑談も、自然にできるようになって、私、少し成長したみたい。
電車が駅に近づき、減速、私、体のバランスを崩して、先輩の胸に、よりかかったんです。
「大丈夫? 」
先輩、私を優しく抱きとめた。
「あっ、ありがとう。ふらふらしてすいません」
「いいよ」
あれっ、先輩、耳が赤い。照れているのかしら。
いつもより、二本遅れの電車に乗り込む。すると、そこには、折原先輩。
「あれっ、堀越さん。おはよー」
「あっ、先輩! おはようございます」
「堀越さんて、この電車だったの」
「はい」
「電車で会うのって、初めてだよね」
「あぁ、そうですね。私、いつも、20分前の電車に乗ってゆくんです。でも、今日は寝坊しちゃって」
「そうなんだ。もっと早く聞いておけばよかったね」
先輩と、同じ電車に乗って通学できるなんて、寝坊してラッキーだわ。
「そうだ、line交換しない」
「えっ! いいんですか」
「うん、部活の事も、lineで教えられるしね」
「ああっ、そうですね。はい。よろしくお願いします」
携帯、カバンから取り出して、先輩とID交換。男子とID交換するの初めてで、どきどきしちゃった。
次の朝、lineが来る、先輩からだ。
「おはよう。起きてる」
「おはようございます。もう起きてますよ」
「今日も、昨日と同じ電車に乗る? 」
「はい。そのつもりです」
「じゃあ、待ってるね」
「はい。乗り遅れないように、行きますね」
交わす言葉は、少ないけれど、他愛のないlineのやり取りが、すごくうれしくて、落ち込んだ朝でも、元気が出てくるんです。
いつもより20分後の電車を、プラットフォームで待つ。私、時間、変えちゃった。
前から三両目の前の入り口。
窓越しに手を挙げている。
「おはよう」
「おはようございます」
ドアが閉まると、クーラーの冷たい風で、汗ばんだシャツが、少しひんやりした。
下着、透けてないかな。先輩、気づいてないかな。
「期末試験、どうだった」
「……それがぁ、余りできなくて。先輩は? 」
「そうだなぁ、まあまあかな。でも、自力じゃないからなぁ」
「塾とか? 」
「ううん。加藤が優秀だから、たまに教えてもらってる。それがなけりゃ、駄目かも」
胸がチクってした、こんな気持ち知られたくないな。気にしないふり、気にしないふり。
「でも、まあまあなんて、さすがですねぇ。私、夜更かしできなくて、どうしても寝ちゃうんですよね」
先輩、「フフフッ、それ、僕も」って、笑ってる。笑顔、可愛い。
「文化祭の出展作品はどう? 」
「順調ですって言いたいところなんですが、私、遅筆なので、遅れてます」
「そうかぁ。でも、一年目だから、そんなもんだよ。部長の芳川さんなんか、一年生の時、未完のまま出展して、先輩から、こっぴどく注意されたって聞いてる。」
「そうなんですか」
「うん。あの人のマイペースぶりは、天才的だからね」
「なんだか、わかる気がします」
先輩との雑談も、自然にできるようになって、私、少し成長したみたい。
電車が駅に近づき、減速、私、体のバランスを崩して、先輩の胸に、よりかかったんです。
「大丈夫? 」
先輩、私を優しく抱きとめた。
「あっ、ありがとう。ふらふらしてすいません」
「いいよ」
あれっ、先輩、耳が赤い。照れているのかしら。