放課後、いつものように美術室に行くと、窓際の席で部長が、気持ちよさそうに居眠り。
安藤先生は、また、いらっしゃらないみたい。
私、そっと入って、イーゼルを立てて、書きかけのカンバスをのせると、椅子に座り下書きの続きをはじめた。
テーマは「真摯」
静かな美術室、絵の具の匂い、カーテンを優しく揺らす風、すべてがとても心地いいんです。
黙々と鉛筆を走らせていると、ドアを開いた。南先輩だ。
「堀越、きょうもはやいね」
ほっそりとした身体、長い手足、肩まで伸びた黒髪をなびかせて、颯爽と歩く、凛とした姿は、私のあこがれ。
でも、少し尖がっている性格が、玉に瑕。
「ぶちょう! 芳川ぶちょう! ほら、もう起きる! 」
部長の芳川先輩、もじゃもじゃ頭をかきながら、
「おおっ、おはよう。南ちゃん、きょうもすてきだね」
それは、南先輩に対する決まり文句なんだけど、気に入らないみたいで、いつも不機嫌になる。
「そんなことはいいから、早く、作品制作にとりかかりなさい」
実質の部長は南先輩。部員の中では、周知の事実。
「なにいってんの。それ見てごらんよ」
そういって、指さす方向には、30センチほどの、小便小僧の石膏像。
「んんっ」
南先輩、凝視すると、
「なっ。これ昨年につくったやつじゃん! 」
って、怒ったんです。それでも部長ったら、
「いやぁ。ばれてしまいましたか」
何食わぬ顔で、へらへらしている。南先輩、小便小僧像を持ちあげると、部長の顔の前に近づけ、
「嘘をついては、い・け・ま・せ・ん。恥ずかしくありませんか」
と、小便小僧を通して説教。部長、懲りたのか、
「うへっ。ごめんなさい」
といって、あやまった、何とも不思議な二人。
「おぃ~す」
次に、ドアを開けたのは、A組の小菅君、ちょっとチャラいけれど、ガチのアニオタ、作品も何とかと言うアニメのヒロイン。でも、絵、色彩、群を抜いて上手いんです。
「またやってるんっスか。すきだなぁ。ほんとは、二人、つきあってるんじゃないスか」
小菅君、ほんと、空気読まない人、私が焦ってしまう。
「こ~す~げ~。おまえ、そんなこと言っていいとおもってんのかぁ~」
南先輩、小菅さんのこめかみ、両手をぐうにして、ぐりぐりしている。
「うううっ。すいません。もういいません。ごめんなさい」
部長、その様子を見て、微笑んでる。どこまでも、のんきな人だわ。
安藤先生は、また、いらっしゃらないみたい。
私、そっと入って、イーゼルを立てて、書きかけのカンバスをのせると、椅子に座り下書きの続きをはじめた。
テーマは「真摯」
静かな美術室、絵の具の匂い、カーテンを優しく揺らす風、すべてがとても心地いいんです。
黙々と鉛筆を走らせていると、ドアを開いた。南先輩だ。
「堀越、きょうもはやいね」
ほっそりとした身体、長い手足、肩まで伸びた黒髪をなびかせて、颯爽と歩く、凛とした姿は、私のあこがれ。
でも、少し尖がっている性格が、玉に瑕。
「ぶちょう! 芳川ぶちょう! ほら、もう起きる! 」
部長の芳川先輩、もじゃもじゃ頭をかきながら、
「おおっ、おはよう。南ちゃん、きょうもすてきだね」
それは、南先輩に対する決まり文句なんだけど、気に入らないみたいで、いつも不機嫌になる。
「そんなことはいいから、早く、作品制作にとりかかりなさい」
実質の部長は南先輩。部員の中では、周知の事実。
「なにいってんの。それ見てごらんよ」
そういって、指さす方向には、30センチほどの、小便小僧の石膏像。
「んんっ」
南先輩、凝視すると、
「なっ。これ昨年につくったやつじゃん! 」
って、怒ったんです。それでも部長ったら、
「いやぁ。ばれてしまいましたか」
何食わぬ顔で、へらへらしている。南先輩、小便小僧像を持ちあげると、部長の顔の前に近づけ、
「嘘をついては、い・け・ま・せ・ん。恥ずかしくありませんか」
と、小便小僧を通して説教。部長、懲りたのか、
「うへっ。ごめんなさい」
といって、あやまった、何とも不思議な二人。
「おぃ~す」
次に、ドアを開けたのは、A組の小菅君、ちょっとチャラいけれど、ガチのアニオタ、作品も何とかと言うアニメのヒロイン。でも、絵、色彩、群を抜いて上手いんです。
「またやってるんっスか。すきだなぁ。ほんとは、二人、つきあってるんじゃないスか」
小菅君、ほんと、空気読まない人、私が焦ってしまう。
「こ~す~げ~。おまえ、そんなこと言っていいとおもってんのかぁ~」
南先輩、小菅さんのこめかみ、両手をぐうにして、ぐりぐりしている。
「うううっ。すいません。もういいません。ごめんなさい」
部長、その様子を見て、微笑んでる。どこまでも、のんきな人だわ。