発病前なら即出席で、会場へは一番乗りして、最後までいて大いにお酒を頂き、10年分ぐらい忘年をするところですが、今では体が思うように動きません。この上少しでも酩酊したら何を起こすか予測不可能、かくして、残念ながら欠席の返事を書きました。
僕は確かに「三途の川」の途中まで行って、引き返してきました。
救急車の中でのことは記憶もマダラですし、付き添ってくれた家内の話してくれる経緯と僕の記憶が一致しません。これは貴重な体験です。
はっきりしていることは、少しも痛くなく、苦しくもなかったことです。ですから、クラス会で皆に伝えたいことは「我々の年齢になれば、三途の川を渡るのは少しも苦しくないぞ」ということです。
体全体がもうそろそろ休みたいと思っている訳で、無駄な抵抗はしないのでしょう。ありがたいことです。
年を取ると大切な宝ものは「想い出」です。
若かった頃の自分を赤裸々に思い出し慈しむのも楽しいことでこの楽しさは年配者の特権でしょう。
欲を言えば僕の場合
①羊蹄山を登りたかった(後日「鳥海山」に訂正)
②冬にスエーデンあたりに行って白夜とスターダストを見てみたかった。
③那須高原で夏を過ごしてみたかった。
④フェリーで車・家内と一緒に北海道へ渡り、一夏北海道をふらふらするという計画は真剣に考えていました。
発病がもう1年遅かったら多分これは実現していたと思います。
昨今は、一億総活躍とか消費拡大とかです。安部さんから表彰状が来そうな話で、赤面・汗顔の思いです。当時は年金を貰いながら私立大学のお手伝いをし、子どもたちも職についていましたので、つかの間、少し豊かでした。
《補足)羊蹄山について少し説明します。この山は山形県と新潟県の境界ぐらいにあって、標高は1300mぐらいで、いわゆる岳人が好む山ではありません。この山の魅力は
①登山道のあたりを流れる清水のせせらぎと
②山から日本海方面を見たときの眺望です。冬の間に吹き付けた雪や霰が岩陰に溜まり、それが夏になって溶けだしてせせらぎを造っているのです。この山にいわゆる土はありません。全部風で吹き飛ばされてしまうからです。だから水は清く飲用可能です。登りで缶ビールを此処へ埋め込み帰りに掘り出せば適温に冷えたビールを楽しむことができます。
また、この山から見る真っ赤な夕焼は格別だそうです。夕焼雲が日本海に映り、思わず目を水平線の方に走らせると、日本人は、そこに、極楽浄土を見るといいます。これはある仏教学者の本に出ていました。(T)