羊頭狗肉みたいな器やに翻弄されたので、気分をかえて
昨日は銀座のなじみの骨董やさんのところへ、
年末の挨拶にいった。少し主人に借金があったので、
それを手渡すと、いつものように丁寧に玉露を入れてくれた。
「いい染付けですね」と答えると、「清水六兵衛です。いいでしょう」
と主人。お菓子はぼくの大好きな山田饅頭だ。
この骨董屋は、来年80歳になる。古色蒼然としたその店で
生まれ、ずっと銀座で生きてきた。人は彼のことを「銀座のななふしぎ」
とか「都会の仙人」とかいう。本人も「変った人」や「古いもの」をこよなく
愛するので、彼のもとには、変人やボロが全国から集まってくる。
ある日、骨董仲間と酔っ払って、不思議な掛軸を買ったらしい。
絵も書も書いてなく、ただ古い和紙が表装された掛軸らしい。
それを奥さんに見せたら、「かなり酔っ払ってましたね」といわれた
らしいが、数日後に「これはいい」と買っていったお客がいたとか。
昨日はそんな話や、いつものように京都の寺や奇僧の話をして
いたら、あたりが暗くなった。主人のイスの後に張り紙があって
「二時間以上は話をしないようにお願いします」と書いてある。
だいたい本人が一時間半くらい一方的に話をして、ガラス越しの
公園の木々などを見ながら、おいとまする、というのがならわし。
「一服のお茶を楽しみながら冬枯れの木々を愛でる」
人間の尊厳を無視したような不当解雇みたいな事件が
毎日報じられているけど、ぼくたち日本人には、
お茶のようなすばらしいものを先人が伝えてくれている。
せめて、1日に一回くらいは、そんな時間を持ちたいものだ。
昨日は銀座のなじみの骨董やさんのところへ、
年末の挨拶にいった。少し主人に借金があったので、
それを手渡すと、いつものように丁寧に玉露を入れてくれた。
「いい染付けですね」と答えると、「清水六兵衛です。いいでしょう」
と主人。お菓子はぼくの大好きな山田饅頭だ。
この骨董屋は、来年80歳になる。古色蒼然としたその店で
生まれ、ずっと銀座で生きてきた。人は彼のことを「銀座のななふしぎ」
とか「都会の仙人」とかいう。本人も「変った人」や「古いもの」をこよなく
愛するので、彼のもとには、変人やボロが全国から集まってくる。
ある日、骨董仲間と酔っ払って、不思議な掛軸を買ったらしい。
絵も書も書いてなく、ただ古い和紙が表装された掛軸らしい。
それを奥さんに見せたら、「かなり酔っ払ってましたね」といわれた
らしいが、数日後に「これはいい」と買っていったお客がいたとか。
昨日はそんな話や、いつものように京都の寺や奇僧の話をして
いたら、あたりが暗くなった。主人のイスの後に張り紙があって
「二時間以上は話をしないようにお願いします」と書いてある。
だいたい本人が一時間半くらい一方的に話をして、ガラス越しの
公園の木々などを見ながら、おいとまする、というのがならわし。
「一服のお茶を楽しみながら冬枯れの木々を愛でる」
人間の尊厳を無視したような不当解雇みたいな事件が
毎日報じられているけど、ぼくたち日本人には、
お茶のようなすばらしいものを先人が伝えてくれている。
せめて、1日に一回くらいは、そんな時間を持ちたいものだ。