長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

押上リトルシアターも千秋楽 いや~ 素晴らしい

2013-06-29 08:19:57 | Weblog
3日間の出し物も今日が千秋楽。楽しい時は「アッという間」で終わり。
人生も同じ。ぼくたちは、この星のつかの間の旅人。生きている刹那の
中で、したいことやらないと、家に帰った時に後悔する、きっと。
「ふるさと」という歌は、そんな歌だ。天国がふるさと。
♪志をはたしていつの日か帰る場所。山が青く、水がきよき場所。父母がいる場所。

昨日の「夢従夜」が終わった後の、作曲家でピアノを弾いてくれた難波研さんが、

「そういえば、いつもの猫ちゃんがいませんね」という話になった。
「こないだの日曜日の満月の夜に、仲間をさそいにいき、琵琶の演奏を聴こうと
十間橋を渡ろうとした時に、車にはねられて死んだ」話をした。

思いかえせば、前回の秋の「おてがみ」の時、脚本
を書いた天城凛太郎君が
テラスの引き戸の前で、道化師の格好をして坐っていたとき、後ろで
背伸びをして、「おれさまは休符だ。腹減ったんでごはん」と引き戸のガラスを
彼の背中ごしに何度も繰り返したことを思い出した。 


「休符」というのは一昨年の5月の「墨田ぶらり下町音楽祭」の時に、開場
のひとつのspice cafeの前に迷い込んだ子猫がいて、その猫を、その音楽祭
の発起人であり、クラシックオーボエ奏者の「かよちゃん」が、「あたしが飼う」
といって、やまね家の家族になった話に由来する音楽祭の縁であり白に黒の模様がト音記号に似て
いるので「音符♪」と命名され、今も元気にやまね家で、クラリネットやオーボエ
やピアノや、昨年生まれた嫡男「たくみ」くんの笑い声の中で幸せに暮らしている。

その日に、もうひとつの開場の黒崎竹信堂の黒崎さんが、
「あの猫には、もう一匹兄弟がいるよ」と教えてくれた。さすがに、アドマチック天国で
一位になったことがあるだけの名にし負う「下町のコンシェルジュ」の情報。しばらくたってから
音符に似た子猫が、天真庵のオープンエアーな場所に遊びにくるようになった。
屋久杉のイスが気にいってしまい、警戒しながらもそこに座りにくるようになり、誰ともなく「休符」
というようになり、軒先で、仙人のように坐っていき、まるで売茶翁の「通仙亭」
みたいにお店の看板になってくれているので、寸志として「水」と「ごはん」を与えたら、そこの屋根
に飾ってある珈琲の麻袋をハンモックのようにして寝るようになった。

「猫裁判」もあるくらいこの世の中が、猫にとって生きにくい場所になりつつある。
近くに細い男根よろしくツリーができ、界隈の空き地や、古い長屋や、昔からのコミュニティー
の場である銭湯などが壊され、建売やマンションになっていく。そのたびに、猫たちの居場所も
失われつつあるのだ。昨年の秋、華奢でかわいらしい猫を連れてきた。「チビ」という。しばらくして
おなかが大きくなった。休符は、うちの常連の名医さんに去勢の手術をしてもらったので、てておや
は、彼ではない。台風がくるとラジオでニュースをやっている日、チビとあかちゃん猫4匹が、引っ越し
をしてきた。いきなり6匹の扶養家族が増え、マロという営業のうまいネコも加わり、7匹のネコ
が家族になった。
子猫は3匹が里親がきまった。2匹はぼくの「そば教室」の弟子で、二匹の雌猫の親になってくれ
文花という地名で生まれたので「文ちゃん」「花ちゃん」としておてんばいっぱい育っている。
残りものに福があると昔から言われてきたので「福」という名にした子も里親がきまり、
そろそろおわかれという1月15日ころ雪が降り、福とチビが、死んでしまった。その事実を
認識できない休符は、毎日ふたりをさがしてはさみしそうに泣いた。
そんな日々が続いていく中の「満月」の夜やった。

血の繋がってていない家族を命がけで愛し、仲間たちの「たつき」(生計)までも心配して、躰を
はって十間橋を毎日往復した彼の短い一生は、素晴らしい一生やった。





27日(木)~29日(土)朗読劇『夢従夜』

宮下弘充(朗読・エーエス企画)・杉山由恵(朗読・スリートゥリー)

天城凛太郎(脚本)

難波 研 (作曲&演奏 aim music development)

制作 : aim music development

制作協力 : エーエス企画・スリートゥリー

19時開場 19半時開演 ¥4,000(お酒・肴・蕎麦・珈琲付き)



30日(日) 『〇』 まる ライブ

演奏:luna(ヴォーカル)・田嶋真佐雄(コントラバス)

19時開場 19時半開演 ¥4,000(お酒・肴・蕎麦・珈琲 付き