昨日はおとこ組のかっぽれ。
朝からゆっくり仕込みをしながら、本を読んだり、散歩したり、
する予定だったけど、宅急便がうまくタイミングがあわず、けっきょく
ひねもすのたりのたりでお店に閉じこもったまま終わった。「籠の鳥」状態。
宅急便の再配達の割合が多くなっていて、運送会社が成り立ちにくくなっているらしい。
どの世界も価格とサービスの競争が激しく、いきつく先は、お手上げ、みたいな話が多くなってきた。
老人介護しかり、居酒屋チェーン店しかり、携帯電話業界しかり・・・
しばらく日本いや世界は斜陽の方向にいくと思う。落ちていく時は、ゆっくりと歌でも
口づさみながら、沈む夕日の落日感を味わうのがよろし。昔、貧乏長屋に住む有名な落語家が
「貧乏はするもんじゃない。楽しむもんだ」とのたまった。そんな風雅な気持ちが必要な時代かもなんばん。
昨日は、長野の大鹿村の豆腐を藻塩につけて酒肴にした。炭火で炊いた「おでん大根」は、くるみ味噌で風呂ふき大根。
酒は岡山の御前酒。1802年創業の老舗で、その地の殿様に献上していてその名がついた。
風呂ふき大根の「ふろ」とは、塗師、つまり漆に由来する。
昔の城下町を散策していたら、古い骨董屋があり、覗いたら「根来の折敷」に風合いの似た
朱色の盆があったので、東京に連れてきた。
昨日はそれに、久保さんの備前の徳利と斑唐津のぐいのみを並べ、その向うに、織部の向附けを
置き、志野の箸置きに奈良井宿の塗師巣山さんの利休箸を並べてみた。平成から桃山までの悠久な時間が流れる。
来週はまたIT業界のお歴々が「座敷で蕎麦遊び」にくるので、そんなしつらえで「おもてなし」してみたいと思う。
IT業界の友人たちも還暦を過ぎ、次の世代にバトンタッチする時がきたみたい。お金は残したけど、人を育て
ていない人もすくなからずいる。いや、ほとんど一代かぎり、期間限定商品みたいな会社ばかりかもなんばん。
煎茶や玉露をゆっくり飲んだり、昼の「そば前」を、お気にいりの作家の酒器に注ぎ、ゆっくり2合ほど飲み、
ジャズでも聴きながら珈琲を飲んだりする至福の時間を味わってほしいものだ。
もうすぐ正月。正月におもちなどに飾りをする葉のことを「ゆずりは」という。
新旧がうまく入れ替わる自然をよろこぶ縁起からきている。いつまでも地位とか名誉とかにしがみつくことは無粋であり
不自然であることを教えてくれる。
昔から「金を残すは下根、事業を残すは中根、人を残す は上根」という。