2016/3/9、109シネマズ木場。
1番スクリーン、会員なら通常価格で座れるプレミアムシートのH列を選択。
*
クリスチャン・ベール、スティーブ・カレル、ブラッド・ピット、ライアン・ゴズリング
**
2005年頃、住宅景気に沸くアメリカで、だれもが儲かると信じて
買い続けていたデリバティブ証券。
そんな日々が続くころ、一人の投資家、マイケル・バリー(クリスチャン・ベール)は、
格付けの高い多くのデリバティブが、実はずっとリスクの高い危ない商品であると考え、
CDS(クレジット・ディフォルト・スワップ)を銀行に持ち掛けるが、
けんもほろろと相手にされない。
主要な出資者のフィールズ(トレーシー・レッツ)もバリーの意見には大反対だ。
バリーはあきらめず、ついにドイツ銀行のジャレッド・ベネット(ライアン・ゴズリング)
から莫大な金額のCDSを買うことに成功する。
若手投資家のチャーリー・ゲラー(ジョン・マガロ)と、
ジェイミー・シップリー(フィン・ウイトロック)は、自分たちの案を
証券会社に持ち込むが、まともに相手にされない。
そこでかつて凄腕の金融マンで今は一線を退いているベン・リカート(ブラッド・ピット)に
協力を依頼する。
ゲラーとシップリーはやがてバリーがCDSの大量買いをしていることに気が付く。
その頃、ドイツ銀行のベネットはゴールドマン・サックスの金融ディーラー、
マーク・バーム(スティーブ・カレル)の元にはったりをかましてCDSの話を持ち込む。
こうして市場の予測に真っ向から対立するプレーヤーが出そろった。
しかし、ことはそう簡単に思惑通りには運ばない。
バリーはCDSの保証金に汲々し、リカートらもCDSが手に入らない。
一方、バームは調査を進め、市場がとんでもない方向に進みつつあることに気づく。
*
サブプライムローンの破綻を予測してリーマンショックを切り抜け、
大儲けした人たちの話、といった単純なものではありません。
はっきり言って金融証券の仕組みがわからないと、難解な映画でした。
緊迫感があったなどと書いている人が多いですが、
チラシにある「空売りとは」を読んで、なるほど、などと思っている人に
緊迫感が伝わるとは到底思えません。
私見ですが、映画にドキドキした人はよほどの金融通か、能天気な人です。
逆に金融通の人はすっきりするどころか、後味悪いかも。
CDS、CDOは初耳でした。
大体、CDSを買っているわけで(CDSもデリバティブの一種)空売りなんかしてないし、
ましてや「華麗な」面は一つもなく、何が大逆転なのか不思議です。
また、彼らが一つの商品に固執して山を張っていると思っていたら見誤ります。
バリーですらCDOを持っていたし、他の金融商品をたくさん持っているはず。
バームの会社もCDSでは儲けたのにCDOで大損こいてますからね。
最低でもデリバティブ、ヘッジ、スワップ、オプションの意味くらいは
分からないと何を売り買いしているのかすらわからないと思います。
一般的な意味合いではなくデリバティブの個別商品の値付けの仕組み、
その売買(当初の売買だけではなく償還前の市場取引)がどのように行われるのか、
そもそも償還前の途中売買ができるのか、市場があるのかさえもわかりません。
デリバティブは多種多様多岐にわたり、デリバティブ証券の中身を十分理解してから
投資する人はそうはいないでしょう。
バリー(クリスチャン・ベール)が目論見書を全部読んだと言って驚かれますが、
バリーは、組み込まれた個々のデリバティブもきちんと吟味しています。
バブル崩壊前には、バブルの崩壊はもちろん、バブルの真っただ中にいることも
予測できていなかったでしょう。
バブルがはじけるというと、一気に壊滅的な収縮を想像しますが、
実際には徐々に空気がけるようにしぼんでいくものです。
気づいた時にはもう遅い、というか、二度と膨らむことがありません。
実はサブプライムローンが破綻しても、住宅価格が上がり続ける限り
モーゲージ証券は破綻しません。値上がりした担保の家を売ればいいだけだから。
ローンの借り手は破綻するが、それは銀行にとってはどうでもいいことで、
顧客のことよりもどうやって稼ぐかの方が大事なんでしょう。
リカート(ブラッド・ピット)も銀行のやり口が嫌になったと言っています。
CDS、クレジット・ディフォルト・スワップとは、対象となる金融商品の価格が
下がったときに出る損害を補填するスワップ。
補填の対象や保証料の率なんかは相対でかなり自由に決められたようです。
いずれにしてもかなりのハイリスクハイリターン
対象の証券の価格が下がらない場合は一定の率の保証金を払い続けることになる、
いわば、損害補填保険で保証金はその保険料のようなものでしょう。
CDOはコラテライズド・デット・オブリゲーション、日本語では債務担保証券。
担保で債務を保証する証券。
債券を担保に資金を調達する債券ですが、その担保となる債券のリスクが
もろにCDOのリスク。
ただ、個別の債券のリスクは様々でリターンも多様なので、うまく組み合わせれば、
ローリスクハイリターンにできそうな気もしますが、大元の担保証券/債券がクズなら
必然的にCDOもクズだと言うのはわかります。
住宅ローンが焦げ付けば銀行がやけどをすると思うのは早計で、
そのためのモーゲージ証券であり、リスクは銀行から投資家に移転されます。
さらにそれを担保にオプションやらスワップを組み合わせて、
劇中でセリーナ・ゴメスが解説していたように取引を何倍にも膨れ上がらせた結果、
大元がこければ総崩れ。
なお、ライアン・ゴズリングが、ジェンガを使って説明していたとき、
一旦は崩れたジェンガが出ますが、次のカットではまだ崩れておらず、
撮影の時系列が逆転しています。
*
シネコン版の表紙には、メインキャストの4人が並んで歩いているような絵があります。
邦画のタイトルから想像すると、まるで金融版オーシャンズ11みたいに
4人が結託して債券市場に華麗な逆転劇を仕掛けたように勘違いしますが、
完全にミスリードなカットですので、先入観を持たない方がよろしいかと。
1番スクリーン、会員なら通常価格で座れるプレミアムシートのH列を選択。
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クリスチャン・ベール、スティーブ・カレル、ブラッド・ピット、ライアン・ゴズリング
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2005年頃、住宅景気に沸くアメリカで、だれもが儲かると信じて
買い続けていたデリバティブ証券。
そんな日々が続くころ、一人の投資家、マイケル・バリー(クリスチャン・ベール)は、
格付けの高い多くのデリバティブが、実はずっとリスクの高い危ない商品であると考え、
CDS(クレジット・ディフォルト・スワップ)を銀行に持ち掛けるが、
けんもほろろと相手にされない。
主要な出資者のフィールズ(トレーシー・レッツ)もバリーの意見には大反対だ。
バリーはあきらめず、ついにドイツ銀行のジャレッド・ベネット(ライアン・ゴズリング)
から莫大な金額のCDSを買うことに成功する。
若手投資家のチャーリー・ゲラー(ジョン・マガロ)と、
ジェイミー・シップリー(フィン・ウイトロック)は、自分たちの案を
証券会社に持ち込むが、まともに相手にされない。
そこでかつて凄腕の金融マンで今は一線を退いているベン・リカート(ブラッド・ピット)に
協力を依頼する。
ゲラーとシップリーはやがてバリーがCDSの大量買いをしていることに気が付く。
その頃、ドイツ銀行のベネットはゴールドマン・サックスの金融ディーラー、
マーク・バーム(スティーブ・カレル)の元にはったりをかましてCDSの話を持ち込む。
こうして市場の予測に真っ向から対立するプレーヤーが出そろった。
しかし、ことはそう簡単に思惑通りには運ばない。
バリーはCDSの保証金に汲々し、リカートらもCDSが手に入らない。
一方、バームは調査を進め、市場がとんでもない方向に進みつつあることに気づく。
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サブプライムローンの破綻を予測してリーマンショックを切り抜け、
大儲けした人たちの話、といった単純なものではありません。
はっきり言って金融証券の仕組みがわからないと、難解な映画でした。
緊迫感があったなどと書いている人が多いですが、
チラシにある「空売りとは」を読んで、なるほど、などと思っている人に
緊迫感が伝わるとは到底思えません。
私見ですが、映画にドキドキした人はよほどの金融通か、能天気な人です。
逆に金融通の人はすっきりするどころか、後味悪いかも。
CDS、CDOは初耳でした。
大体、CDSを買っているわけで(CDSもデリバティブの一種)空売りなんかしてないし、
ましてや「華麗な」面は一つもなく、何が大逆転なのか不思議です。
また、彼らが一つの商品に固執して山を張っていると思っていたら見誤ります。
バリーですらCDOを持っていたし、他の金融商品をたくさん持っているはず。
バームの会社もCDSでは儲けたのにCDOで大損こいてますからね。
最低でもデリバティブ、ヘッジ、スワップ、オプションの意味くらいは
分からないと何を売り買いしているのかすらわからないと思います。
一般的な意味合いではなくデリバティブの個別商品の値付けの仕組み、
その売買(当初の売買だけではなく償還前の市場取引)がどのように行われるのか、
そもそも償還前の途中売買ができるのか、市場があるのかさえもわかりません。
デリバティブは多種多様多岐にわたり、デリバティブ証券の中身を十分理解してから
投資する人はそうはいないでしょう。
バリー(クリスチャン・ベール)が目論見書を全部読んだと言って驚かれますが、
バリーは、組み込まれた個々のデリバティブもきちんと吟味しています。
バブル崩壊前には、バブルの崩壊はもちろん、バブルの真っただ中にいることも
予測できていなかったでしょう。
バブルがはじけるというと、一気に壊滅的な収縮を想像しますが、
実際には徐々に空気がけるようにしぼんでいくものです。
気づいた時にはもう遅い、というか、二度と膨らむことがありません。
実はサブプライムローンが破綻しても、住宅価格が上がり続ける限り
モーゲージ証券は破綻しません。値上がりした担保の家を売ればいいだけだから。
ローンの借り手は破綻するが、それは銀行にとってはどうでもいいことで、
顧客のことよりもどうやって稼ぐかの方が大事なんでしょう。
リカート(ブラッド・ピット)も銀行のやり口が嫌になったと言っています。
CDS、クレジット・ディフォルト・スワップとは、対象となる金融商品の価格が
下がったときに出る損害を補填するスワップ。
補填の対象や保証料の率なんかは相対でかなり自由に決められたようです。
いずれにしてもかなりのハイリスクハイリターン
対象の証券の価格が下がらない場合は一定の率の保証金を払い続けることになる、
いわば、損害補填保険で保証金はその保険料のようなものでしょう。
CDOはコラテライズド・デット・オブリゲーション、日本語では債務担保証券。
担保で債務を保証する証券。
債券を担保に資金を調達する債券ですが、その担保となる債券のリスクが
もろにCDOのリスク。
ただ、個別の債券のリスクは様々でリターンも多様なので、うまく組み合わせれば、
ローリスクハイリターンにできそうな気もしますが、大元の担保証券/債券がクズなら
必然的にCDOもクズだと言うのはわかります。
住宅ローンが焦げ付けば銀行がやけどをすると思うのは早計で、
そのためのモーゲージ証券であり、リスクは銀行から投資家に移転されます。
さらにそれを担保にオプションやらスワップを組み合わせて、
劇中でセリーナ・ゴメスが解説していたように取引を何倍にも膨れ上がらせた結果、
大元がこければ総崩れ。
なお、ライアン・ゴズリングが、ジェンガを使って説明していたとき、
一旦は崩れたジェンガが出ますが、次のカットではまだ崩れておらず、
撮影の時系列が逆転しています。
*
シネコン版の表紙には、メインキャストの4人が並んで歩いているような絵があります。
邦画のタイトルから想像すると、まるで金融版オーシャンズ11みたいに
4人が結託して債券市場に華麗な逆転劇を仕掛けたように勘違いしますが、
完全にミスリードなカットですので、先入観を持たない方がよろしいかと。
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