プレＳＥ、「少額訴訟」 第二章 その８

打ち合わせが終わると、片山は入館申請書を丸山に託し、確認印を貰った。

二人は礼を述べて会議室を出て、黙ったまま出口へ向かった。
先ほどとは逆のルートを通って、階段を降り守衛所に向かう。

そこで、確認印の入った申請書と丸バッジを返却する。

守衛は台帳に何かを書き込んでご苦労様でした、と言い、
もう一人の守衛と揃って敬礼をして片山と御厨を見送った。

駅までの道程で、片山は御厨に感触を聞いた。

「部長、これからどうされますか。」

「ちょっと、整理したいこともあるから、渋谷へ戻るよ。」

「どうですか。いけそうですか。」

「うーん。まだなんともいえないけど。
　うちの部じゃ全部はちょっと難しいかな。」

「えっ。できませんか。」

「まあ、判決文のところはいけそうだけど。利息計算はちょっとどうかな。」

「難しいですか。」

「ああ。でも日元ファイナンスの担当者に連絡を入れて
　少し話を聞かせてもらうことにしているんだ。
　場合によっちゃ巻き込んででもやるよ。」

「お願いします。」

御厨は、渋谷本社にもある自席で今日の打合せ内容の整理にかかった。

先週連絡した富田に電話を入れ、近々に訪問できないか確認をした。
富田は明日の午後ならいいとの返事だった。

その日は小田原事業所で朝から本部の月次業績検討会が予定されていたが、
新橋に午後二時なら何とかいけそうだった。

御厨は翌日のヒアリングしたいことも念頭に入れながら作業をすすめた。

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