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原油安で円安のデメリットも一息

2014-12-14 01:18:12 | 政治経済
このところずっと1バレル100ドルを超えていた原油価格が
9月上旬に100ドルを切って以来下落が続いて、
ついに60ドルを切る辺りまで下がってきた。

このため、今年前半には1ドル100円台前半だったドル円レートが
120円まで円安が進んだのを相殺してお釣りがくるくらいになった。

日本の輸入の最大品目であり、貿易赤字の主因である原油が
下がることは日本経済にとって朗報と言えるだろう。

ところが、相変わらず、原油安は家計への恩恵になるが…として、
「原油安で物価が下振れすれば、政府・日銀が目指す「脱デフレ」には逆風」
と書いているメディアがある。

「物価下落=デフレ」だと信じて疑わないんでしょうね。

確かに物価下落はデフレ時に起こる現象ではあるが、
デフレ時の物価下落とは「価格を下げても売れない」のであって、
どちらかというと「需要の減少」が先だ。

「需要の減少」に伴い「価格が下落」したのに、
「需要は喚起せず、減少が続く」ことで「さらなる価格の低下」を招く。

要は「売れない」=>「値下げ」=>「まだ売れない」=>「もっと値下げ」
これの繰り返しになるのがデフレ。

これに対し、今の物価下落、例えばガソリン価格の低下で需要が増えれば、
デフレではない。

もっとも需要の増に対して価格の下落の方が大きければ、
総売り上げは減少するし、その逆なら増加する。

ただ、原油価格の下落が直ちに物価下落になるかというとそうでもない。

それは、報道される原油価格はいわゆるスポット価格であり、
石油元売りなどは長期契約によって価格を決めている比率が多いのと、
原油が石油製品になるには時間がかかるからだ。

勿論スポット価格が下がれば長期契約の価格にも効いては来るだろうが、
これも時間がかかる。

ところで、枯渇するすると言われ続けてきた原油が一向に枯渇しないのはなぜか。

新しい油田が次々と発見されているから?
勿論それもあるでしょうが、最も大きい理由は原油が値上がりしているから。

1973年の第1次オイルショック直前の時の原油価格は何と1バレル3ドル!
これが5ドルとなり、翌年には12ドルとなった。

値上がり率はすごいが、今の60ドルと比べても激安。

レアアースの騒動の時を思い起こしてほしい。
レアアースは原油のように特定の国に偏在しているわけではない。
騒動以前は世界各地で産出していた。

ところが、激安価格で販売する国が現れ、価格競争に負けた他の国は撤退。
寡占状態となって価格つり上げ、あるいは輸出制限にでるという、
これまた経済学の教科書に出てくるような手を使って混乱を引き起こした。

しかし、価格上昇と危険分散の観点から再び他国での開発、生産が行われるとともに、
レアアース自体を使わない技術開発によって寡占状態から脱却した。

価格下落で生産を止めるということは一定価格を下回れば供給が0になること。
逆に言えば、一定価格を上回れば供給されるということ。
需要供給曲線の「供給曲線」は原点までつながってはおらず途中で切れている。

判りやすく言うと採算ベースに乗らないと生産しないということ。

1バレル10ドルなら採算が取れないけど、1バレル60ドルならできる、
1バレル100ドルならもっと採算の取れる範囲が広がる、
つまり、生産可能埋蔵量が増える、ということ。

まあ、価格の決まり方には需要供給のバランスだけではなく、
思惑や戦略などが複雑に絡みますから、そう単純ではないけど、
いずれにしても「物価が下がる=>デフレになる」ではない。

そんなのTVに出ている評論家、コメンテイターの方々なら
とっくにご承知と思いますけどねぇ。





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