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ふるさと納税に思う

2017-02-07 15:02:39 | 政治経済
ふるさと納税、個人個人にとっては相当魅力的な優遇税制であり、
だからこそ大勢の人が利用しているわけだが、巷間言われるように
「ふるさと振興に使う」ことよりも「返礼品競争」になっている。

もっとも、返礼品の多くは地元産品なので、地元産業、すなわち地域経済に
貢献しているといえるとは思うが、行政サービス/公共サービスのために使うのが
地方税の本来の役割だと思うので、ちょっと違う気がしないでもない。

ただ、それでもかつての自治体ごとに1億円配った政権があったが、
もらったほうは使うあてがなく、金塊作ったり金のカツオ像作ったよりははるかにまし。

私が気になるのは流出しているほうの自治体。
最近まで知らなかったが、ふるさと納税で減収した分の3/4は地方交付税が増えるらしい。

国税庁は2千円の得、流出自治体は流出分の25%のみの減収に抑えられ、
流入自治体は増収と地域振興。
そして納税者は税が増えるわけでもない上に地方特産品など豪華返礼品が手に入る。

みんな得、あるいは損も抑えられ、万々歳のように見えるが、東京にとっては大打撃。
何しろ東京は地方交付税の分配がない。
当然減収分の補てんもない。

財政は豊かだと言われるが、地方税(だったはず)の地方法人税はすでに召し上げられて
地方交付税の原資となっているし、某都知事候補が総務相の時に東京から地方に税金を
振り分ける地方交付税特別枠が作られたり、どんどん税金が取り上げられている。

そのうえでさらにふるさと納税で減収が激しい。
2016年度の東京都のふるさと納税による減収分は130億円に上るらしい。

最も減収が多いのは世田谷区の16億円だったかな、それが今年は30億円に増えると
予想されているから、同様の比率で増えれば、都全体では240億円もの減収になる。

東京はもともと税収が高い、法人も多いし、本社を置いている企業も多い。
したがって法人税も潤沢でちっとも困らない、と思う人もいるでしょう。

会社が多いということは働く人も多い。
先日区長選挙のあった千代田区など昼間人口と夜間人口の差が激しい。
つまり、働きに来る人は多いけど住んでいる人は少ない。
働きに来る人は日中、都内で諸々の公共サービスを受ける。
しかし、在住の人々は高齢化が進み、働き手が減っている。

区にとっても収入は減り、支出が増える中で、財政が潤沢だから
税金が多少減っても堪えないでしょ、という議論はどうなのか。

東京でも返礼品を豪華にしてふるさと納税を喚起すれば良い?
果たしてそうか。
税金は本来公共サービスに使われるべき性格のもの。

地域の企業に金が落ちるならまだ救いようがあるが、23区の中には
地方の特産品をふるさと納税の返礼品にして、地方と東京でwin-winなんて
言っている区があるから勘違いも甚だしい。

大体が、豪華な返礼品を出しても公共サービスの質が落ちないのなら、
その分の税収はもともと公共サービスとしての必要分をオーバーしているのでは。

ともかく、制度創設時の意味合いは理解できても、本来の趣旨を逸脱して
返礼品合戦になっている現状は憂慮せざるを得ない。
なくすまでは必要ないにしても、そろそろ制度の中身を見直したほうがよくはないか。
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