ITニュース、ほか何でもあり。by KGR

ITニュースの解説や感想。その他、気になる話題にもガンガン突っ込む。映画の感想はネタばれあり。

映画VoD「The Wave ウェイヴ」

2016-06-19 23:33:59 | 映画感想
ビデオ・オン・デマンドで鑑賞。

2008年のドイツ映画。

**

ドイツのある高校。

1週間の特別授業で「独裁制」と「無政府主義」のクラスが実施されることになった。

体育教師で水球のコーチのライネル・ベンゲル(ユルゲン・フォーゲル)は、
「無政府主義」が希望だったが、ライバル教師に先にとられ、
校長から指示されて「独裁制」について教えることになった。

ベンゲルは「独裁の模擬実験」を行うことにした。
「独裁制」を取った生徒はいつもと同じようにだらけた態度で、
まともに授業を聞いているものなどいない。
自分勝手に行動し、ベンゲルが質問しても独裁を否定する声ばかり。

ベンゲルは10分間の休憩をとり、生徒が教室に戻ったときには、
机は整然と並べられていた。

独裁の実験だとして、ベンゲルは3つのルールを提示し、生徒に強制する。
・机に不要なものは出さない
・先生を「ベンゲル様」と呼ぶ
・発言は挙手してから、起立して行うこと

隣同士の者は助け合うことも求められた。
それぞれの得意/不得意が補完しあうような配置にしたという。

そして「無政府主義」を担当するライバル教師のクラスに勝とう、とぶち上げる。

制服が決められ、ロゴマークと敬礼の様式が決まるなど、規律が動き始める。

当然反発する者もいたが、多くの生徒たちはベンゲルの思い以上に
グルーブに入れ込んでいく。

生徒たちは規律を守り、礼儀正しく、結束し、助け合い、
そして過剰に過激になっていく。

果たしてその結末は。

**

1969年、アメリカの高校で実際に起きたことがもとになっている。
第2次大戦のナチの授業で、ヒトラーの言うとおりになるなんてありえない、
信じられない、と全否定する生徒が多かったため、教師が一計を案じ
「規律を作って守ってみよう」と提案した。

教師は反発を予想していたが、生徒たちはゲーム感覚でこの規律に従っていった。

それは授業の時間を超えても続いた。
教師はこれを「ウェイヴ」と名付け、規律が力を生む、と力説した。

生徒は賛同し、敬礼、ロゴマーク、会員章などを作り始め、
他クラスの生徒も勧誘、さらに結束を強めていった。
瞬く間にウェイブは学校中に広まり、脱退者は密告され、
制裁を受けるまでになった。

あまりにも簡単に扇動された生徒たち。

教師は改めてヒトラーの行動について映画を見せ、
これがナチのやり方であると説いた。



アメリカで実際にあった話をドイツで脚色して映画化したところが面白い。

イスラエルの教育TVでもドラマとしても放送されたようだが、
最後はみんなが目が覚めて体育館から立ち去るシーンで終わっているので、
この映画のほうがより結末がきつい。

出演者は歴史上の人物になぞらえてあるとの意見もあるが、
上げられた人物はいずれもよく知らない。

ただ、クラスのメンバーが貧富、民族とも多様になっているが、
どちらかというと不利な立場にある者や家庭で居場所のない者が、
当初から運動に積極的であるように描かれている。

運動への入れ込みの程度は個々様々でより現実味がある。



本作の趣旨とは異なるが、教室の机の配置、制服の着用、挙手、起立などは
日本の学校ではごく当たり前のもので、これを全体主義とか、独裁服従の
第1歩と言われてしまうと立つ瀬がない。

教師と生徒はもとより対等ではない。
権威をかさに理不尽な行動を強いるのはよくないが、
個人の権利意識をはき違えたモンペも困る。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画「64 ロクヨン 後編... | トップ | USLPGA、マイヤーLPGA結果 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画感想」カテゴリの最新記事