峰猫屋敷

覚え書と自己満足の場所

高橋まゆみ人形展 『故郷からのおくりもの』

2006年10月13日 09時12分47秒 | ○○展の話
以前、記事にしました、高橋まゆみさんの人形展が入間市博物館でとうとう始まりました。
昨日が初日でサイン会もあり、早速行ってまいりました。

写真集や高橋まゆみさんのHPでは作品を見たことがありますが、実物を見るのは初めて。
見事なんです。細部の作りまでが見事なんです。
でも、そういう技術的なこと以前に、作品の前に立つとなんかこう、波動といいますか、不思議なモノが伝わってきます。
私はそういう感性が優れているわけではないのに、それでも感じるものがあり、涙がじわっと滲みました。

高橋さんの人形にはユーモアもあります。
たとえば、おばあちゃんと、おばあちゃんの肩を叩く男の子の人形。
ただ、孝行な孫と幸せなおばあちゃんっていう人形じゃありません。
おばあちゃん、口を開けたサイフを握っています。
思わず、「そうそう、これがバアちゃんと孫の関係」 と、ニヤリとします。
おばあちゃんも、お小遣いをあげるのが嬉しいのよね。

また、私がグッときた展示に、葬式の家族6人の人形がありました。
無表情なお婆さん。もう若くはない息子。泣いている嫁と小さな子。中学生くらいのお姉ちゃんは神妙にしているけれど、ちょっと退屈そう。小学生くらいの弟は、しびれる足に我慢できなくて顔をしかめている。
人形の前には、お婆さんに視点を合わせた言葉がありました。
たしか、「途方にくれている。泣くでもなく、ただ途方にくれいている」 というような言葉でした。
(帰ってから写真集で確認しようと思ったら、載ってなかったので残念。)
亡くなったのは、お爺さんでしょう。
この言葉を見て、お婆さんの無表情の奥にある心の重さが伝わってきました。
同時に、作家である高橋まゆみさんの視点の妙 (「いうにいわれぬほど優れていること」の意) に感銘を受けました。

ほかにも、素晴らしい人形がたくさんありました。
人形の大道具として昔の家や庭などもあり、それも郷愁をそそられます。
また、ジャガイモ・サツマイモなどなどの小道具も良く出来てます。
一度見ただけではもったいないので、期間中何度か行こうと思っています。

さて、会場には高橋まゆみさんご本人がいらっしゃいました。
先日、高橋さんのブログにもコメントさせて戴いたので、
「あのぅ、ブログに時々お邪魔させて戴いております、みね…」 まで言ったら、
「ああ、峰猫さん!」 と分かってくださったので感激。
サイン会の少し前だったというのに、図々しくもしばらく個人的なお話などさせて戴きました。

しかし、驚きました。
パンフレットの写真でお顔は知ってましたが、ああいう写真っていうのは2割増し3割増しになるのが普通かと思ってたのに、実物の方が美しかった。
柔和なお顔立ちで、輝いているようでした。

高橋さんとのお話の中に、一休さん (高橋さんのブログでは「たそがれ清兵衛さん」) の話題も出ました。

ふっふっふ。
九州出張中の一休さん。
実物に会えて、羨ましいでしょ~。

高橋さんも仰っていたけど、ネットの繋がりって不思議で楽しいですね。



       10/14 追記 
昨夜、『作品集・草の道』 をよく見たら、お葬式のお人形の写真が出ていました。
一昨日は見落としてしまったみたいです。