腕時計修理専門店・トゥールビヨン店主のブログです
腕時計の修理の詳細や腕時計のトリビア、店主の個人的な趣味の話などを気の向くままに書いております。
 



ここ最近、一昔前のROLEXをよくお預かりします。
そこでふと気付いたというか、「そう言えば!」と思い出したので、人気シリーズ“ROLEXの秘密”に書きたいと思います。本日は第9回目。


以前のブログで、ROLEXの内部機械(ムーブメント)は厳格な検査に合格した証に“クロノメーター規格”を授かっているものがある、と書きました。

しかし、全てのムーブメントがクロノメーターを取得しているわけではないのです。

例えばこちらのエアキング

大阪市鶴見区在住のS様のエアキング。Ref.5500。シリアルNo.から1977年に製造されています。

そして次はこちらのオイスターデイト

大阪府堺市在住のY様。Ref.6694。こちらはさらに古くて1960年代後半のもの。


どちらのROLEXも文字盤の6時位置(中央よりやや下)に“PRECISION”と表記されています。

「プレシジョン」・・・「正確な」とか「精密な」という意味。

そう、ROLEXのノンクロノメーターにはプレシジョンと書かれているのです。(何も書いてないものもありますよ)
別に古いROLEXだけではありません。現行のエアキングにもバッチリ入ってますぜ。

で、クロノメーター規格を取ってないから精度が悪いのか?と思われる方も多いかと思いますが、とんでもハップン、歩いて15分!(?)
プレシジョンの名に恥じない非常に良い精度を出します。クロノメーターと比べても何の遜色もないように思われます。
では、何故クロノメーターを取らないのか?

...コストがかかるからですよ。
なるべく安く良いものを提供する、というメーカーの姿勢を感じます。

毎回辛辣にROLEXを書いているので、今日はちょっと持ち上げ気味な感じで締めたいと思います。


プレシジョンな仕事を心がけたい腕時計修理専門店トゥールビヨン店主。

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