腕時計修理専門店・トゥールビヨン店主のブログです
腕時計の修理の詳細や腕時計のトリビア、店主の個人的な趣味の話などを気の向くままに書いております。
 



時々、お客様から修理に持ってこられた腕時計のおおよその見積金額をお伝えすると「この時計、修理する値打ちあるの?」と聞かれることがあります。

今朝もご年配のお客様に電話でオメガの自動巻きのOHの見積金額をお伝えした際

お客様「その時計、直した方がよろしいか?」

と聞かれた。


腕時計の価値ってどこにあるのか?

高価で希少な素材を使っている、ダイヤなどの宝石が散りばめられている、内部の機械が複雑で多くの職人が何年もかかって作っているなどなど。

値段が高い理由は色々あります。


が、“値段が高い=価値がある”っていうのは一概にそうとも言えない。


何かの記念で買った、誰かに貰ったとなると値段の高い安いは関係ない。



その時計に対してどのくらい思い入れがあるかによって価値は変わる。


安物の時計でも「幾らかかってもいいから直してください」というお客様もいれば、割と高級な時計を「修理代に○千円もかかるんだったら、他に時計あるし、直さない」という方もいらっしゃる。


「え!?この時計、修理する価値なんかありませんよ!」と言った時点で時計修理屋失格。


価値はお客様が決めるもの。


貴金属としての価値を知りたい場合は、質屋とか貴金属買い取センターとかリサイクルショップへ行ってもらった方がいい。


今朝の電話のお客様(おじいちゃん)とも時計の価値の件で言い合いになってしまった。

おじいちゃんはどうしても私に修理した方がいいのか止めておいた方がいいのかを決めさせたいようで「わしゃ分からん」の一点張り。

なかなか頑固なお客様で困りました。

何度も価値はお客様で決めるものですから、と言ってるのに「分からん」と言われるので、最終的には金額の話になってしまった(><)

以下の会話

店主「このオメガはどなたかからのプレゼントか何かでしょうか?」

おじいちゃん「いや、わしが自分で買うた」

店主「何かの記念で?」

おじいちゃん「いや、そういう訳でもないけど、まだオメガなんかあんまり出とらん時に買うたやつやな」

店主「結構高かったんとちゃいますか?」

おじいちゃん「そうやな、当時10万くらいしたかいな」

店主「高いじゃないですか!」

おじいちゃん「そやけど、今やったら安うて売ってるやろ」

店主「そんなことないですよ。オメガの自動巻き、10万ではなかなかないですよ」

おじいちゃん「そうか、ほんなら修理してもらおかのぅ」


と、あっさり修理を進めることを承諾してくれた。

とにかく直って帰ってきたら大事に使って欲しいと願います。



では、修理品のご紹介。
こちら↓
 ROLEX デイトジャスト Ref.16013G 自動巻き

大阪府寝屋川市在住のM様所有。
リュウズ交換、ケースパイプ交換、フラッシュフィット(弓カン)×2交換、バネ棒×2本交換、固定ネジ交換、パッキン交換、防水検査を行いました。

コンビで10ポイントのデイトジャスト。
固有番号から1986年~87年製造のモデルと判明しました。

リュウズがねじ込めなくなったとのことで、リュウズ及びケースパイプの交換となりました。
フラッシュフィットとは時計本体とブレスを繋いでいる部分のパーツのことです。
M様大事にお使いくださいませ。



中学入学の際に祖父に買ってもらったSEIKOのダイバーウォッチは今も大事にしている腕時計修理専門店トゥールビヨン店主

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